表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

102/238

101 父様視点

 父様視点(公爵家についたその夜)


「ケビンは寝たか?」


 応接室に入って来たイーサンとロナウドに声をかける。


「はい、俺たちと寝るのが嬉しいと精霊達とはしゃいでいましたが、すぐ寝てしまいました」


「そうか、ルガリオ達も一緒に寝たのか。今日も大変な一日だったな」


「そうですね。まだ公爵家に来たばかりなのですが、ケビンがやらかすのが目に浮かぶようで心配です」


「公爵様は私たちの結婚に尽力を注いでくれたお方なんだ。感謝しても仕切れないほどの恩がある。公爵様のためになるならと思うのだが、ケビンがなぁ、あいつのやる事はなぜか事が大きくなる、なぜなのだろうか」


「でも、父様、イーサン兄様、ケビンの考えることは楽しいことなのでワクワクしてくるのです。そしてケビンの盾にならなければと思ってしまうのです。全くあいつは俺たちを忙しくさせる。父様とお祖父様はお酒、母様とお祖母様は美容、イーサン兄様は魔道具、そして俺は立ち上げたばかりなのに商会が大忙しです。それに巻き込まれた辺境伯、フレッド様、ドバイン様、ウェルス様みんなが忙しいですね。ふふふっ。今度は公爵様が、と言うよりステファン様が忙しくなりそうな予感がしますね。だいぶステファン様はけいば?というものに興味がおありだ。どんなものになるのか。ただ、父上、公爵様とフレッド様から申し出なのですが、この公爵領に商会の支店を作れば、公爵家専用車両で魔導列車での運びが安心で楽になるのではと言われました」


 ロナウドもまた公爵領に支店の打診を受けたのか。商会もまた大きくなりつつある。まだ始めたばかりなのに。


「ああ、私も提案された。それに関しては家族みんなで話し合おう。話し合い、協力し、助け合っていくのが我が家だ。イーサン、ロナウド、お前達も大変になるだろうがこれからも頼むぞ」


「「はい、父様」」


 ケビン、あの子はどこに行っても嵐を巻き起こしす。嵐だよ。はじめはメルシーのスキルを解読したことから始まる。メルシーのスキルで食料問題が解決した。そしてお酒を造り、魔道具を作り、商会まで立ち上げてしまった。


 そして姉のクラウディアがいる辺境伯にまで嵐を巻き起こした。スタンピードがなかったことになり、今や人手が足りないとぼやかれるほど五本指靴下とビールの生産が止まらない。冬の内職でお金が稼げるようになったことはうれしい悲鳴だそうだ。クラウディアとルガリオ達の土精霊の魔力で農作物も育つようになり、餓死者を出さないようになったのは我が領と一緒だ。もう食料の在庫の心配をせずとも領民にお腹を満せる量が賄えるようになったのだ。本当にありがたい。姉思いのケビンは辺境伯でも頑張ってしまった。温泉を作り、家を建て、快適な辺境伯領に生まれ変わってしまった。


 我が家も外見は変わらないが屋敷内は快適な部屋になっていた。もうどう言えばいいのかわからないが、快適なんだ。外は全く変わらないから、貧乏と見えてしまうかもしれない。しかし、屋敷の周りは近代的なガゼボ?魔導工房と事務所、社員寮、家族寮と立ち並んでいる。余計我が家が古ぼけて見えるんだよなぁ。いいんだけど、中は快適だから。敷地内は自転車で移動できるようになった。土魔法士に道の整備を頼んだので、快適に自転車走行できるのだ。ほんのちょっと農作業の見回りに行く時も便利だ。馬を準備しているよりも早く出かけられる。なぜなら自力走行だから急いでいる時は早く漕げば早く移動できる。脚力増強になるんだよ。笑えるのが、ケビンは従者ルーアンの前に設置した補助椅子で移動。その後ろを事務官のブラッドが走行。これがセットなんだ。それを見た領民が笑顔でケビンに手を振るんだよ。ケビンも照れくさそうに手を振る。あの光景は本当に笑える。でんどうあしすと?を作ってとまたイーサンに言っていたがよくわからん。どうして次々に思い浮かぶのか!


 公爵領に来て、まだ一日目なのに明日は料理教室。私と父上はお酒関係の商談、イーサンは魔道具、ロナウドとフレッド様は公爵領に商会を立ち上げた場合の話し合い、フレッド様の奥様アンジュ様はステファン様の奥様アニーベル様と一緒に化粧品関連をこの公爵領で窓口になっていただける。メルシーが表立ってしまうと、よからぬもの達が近づいてくる。守りきれない状況を作りたくない。だからアンジュ様の申し出はありがたかった。領内は母上が窓口になってくれる。本当に目まぐるしく状況が変わってきた。


 扉を叩く音が聞こえ、イーサンが出迎えると公爵様、父上、ステファン様、フレッド様がお越しになった。


「よいよい、友人として、酒を飲もうではないか。この酒は美味いなぁ」


「ブランデーやウイスキーはねかせればねかせるほど、味わいが深くなってくるそうです。これでも十分美味しいのですが、樽で寝かせ、その樽自身の味わいがあったり、それがもしワインで使われていた樽だったとすると、その味が移りまた違った味わいになったりと、味というのは同じ味にはならないそうです。そして、違う土地土地で材料の風味が違うので、また違った味わいになると言ってましたね」


 ケビンの蘊蓄を並べてみた。


「ほー、誰が言っていたのだ?ルーク。まぁ誰かはわかるけど、子供が酒の味がわかるのか?」


「ケビンは飲まないので、そう言われていると聞いたことを偉そうに言ってましたよ」


 ああ、ついケビンと言ってしまったよ。誰でもわかるか。


「その土地土地の材料か。なぁ、ロイド、ルーク、その材料はうちで作っているものがあるのか?もし作っていたら、それで作ってみないか?味がどのように変わるのか知りたい。どうだ?」


「それは願ってもないことです。ぜひ作らせてください。イーサン、設備を作れるか?」


「ええ、大丈夫です。そちらの方は絶対増えるであろうという目論見がありましたので作ってあります。ドバイン様に仰っていただければ、すぐにでもドルトンとギダン達が作ると思います」


「ああ、親方達か。それでは公爵領の材料を預からせていただき、お酒にして返します」


「ルーク、その時は労働に対する賃金を公爵家から出す。そうさせてくれ。頼む。あー、あと試飲していいが、大量に飲むなとドワーフ達に伝えて欲しい」


「ライアン様、かしこまりました。労働に対する対価はいただきます。ギダン達にはうちのお酒を渡すので大丈夫です。試飲はさせていただきますが」


「わははは、ライアン、お前、うちに遊びに来い。楽しいぞ」


「父上、勝手にことを勧めないでください。物事には順序があるのですから」


「なに、固いことを言っているんだ。ルーク」


 全く父上は後先考えずに言ってしまうのだから。今、うちに来たら絶対びっくりする。領内もそうだが施設とか、はぁ。


「そうだな、イーサン達が帰って来たら、一緒にフォーゲリア領に行くとしよう。フレッド、帰る前に必ず連絡、いや、二日に一回は魔鳥で連絡するように」


「は?父上、二日に一回って。そんなに変わったことなどありませんよ、たぶん?まぁ、帰る時に列車の時刻を教えますよ。その時は迎えに来てください」」


 フレッド様も断言はできないのだな。そりゃ、ケビンがいるからな。


 ケビン達が王都に行く頃、我々も公爵領の小麦、大麦を持って帰ろう。そして早速作るぞ。どんな味になるのだろう。楽しみだ。ドルトンやギダンは早々と作るだろうなぁ。ん?そう言えばギダン、お前帰らなくていいのか?今頃気づいた。辺境での仕事ははいいのか、ギダンよ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ