100 公爵家二日目〜公爵家で料理教室2〜
僕は今、公爵家の厨房に立っている。それもエプロンをつけて立っている。
僕の両左右にうちの料理長トーマス、副料理長ランドルが立っている。
そして目の前には公爵家寄子の料理人達が集結したらしい。みんな早馬で朝方やってきて少し休憩を取り、今に至る。
「皆、よく来てくれた。皆の意気込みが分かるぞ。今日はレシピを考案したフォーゲリア伯爵の三男ケビンくんと料理長トーマス、副料理長ランドルによるレシピの注意点などを教えてもらえることになった。皆の疑問点、心配事などをここで教えてもらうことになった。どんどん忌憚なき発言を頼む。そして西地域を活性化をしようではないか」
「「「「「おー」」」」」
「ケビンくん挨拶するかい?」
「いえいえ、僕は大したことできないので、料理長よろしくお願いします」
「何を言っているのですか?ケビン様が挨拶をしないとダメでしょう」
「僕、子供だから舐められちゃいます」
グイグイ背中を押され前に連れて行かれた。しょうがないなぉ。よし、可愛く言おう。ぺこり。
「皆さん、お忙しい中お集まりいただきありがとうございます。皆さんと料理教室をして楽しく過ごしていきたいと思います。手順と味をよく覚えてください。そして、今度は自分の味を作っていってください。これはほんの足がかりです。料理人さん達の熱い思いを料理に託してください。必ず料理は答えてくれます」
意味がわからないことを言ったぞ?いいのか?
うおー、と熱い声が聞こえて来た。意味わかったのかな?
「ケビン様、感激いたしました。料理が答えてくれる、そうですね。我々の思いを料理に託すこと、料理人冥利に尽きます、それが重要ですね。ケビン様語録として取っておきます」
やめてー、何その語録って。
「みんな、聞いてくれ、ケビン様のお言葉に、パン作りではおいしくなぉれ、おいしくなぁれと気持ちを込めながら、パン種を練っていくことが大切なんだ。これはケビン様語録の第一のお言葉だ」
やめてー、本当にやめて。それパクリですからー。本気にしないでよ。
もう僕のHPポイントが減った。
「まずパン作りからしましょうか?」
動くのは料理長のトーマスと副料理長のランドルほか二人。四人が一緒に旅行について来てくれた。この料理教室で僕は少し口を挟む程度。優秀な料理人だ。それからパン作り。パンは基本的ロールパンから応用編フランスパンや惣菜パン。そしてこの前作ったソーセージ。ホットドッグだよ!マヨネーズ、ドレッシング、スープ、焼き物などを作った。卵は必ず浄化をしてから使用すること、そして肉は下拵えが大事であることを豪語した。血抜きは大事。そして繊維を切り、叩いたりオニオンやアポーを擦ったものを漬け込むと繊維が柔らかくなることを教えた。ハンバーグを最初に教えた。これは色々と活用できるから。ハンバーガー、ミートソース、ミートローフ、ひき肉さえあれば何でもできる。
生パスタの作り方も教えたよ。
肉をソテーにして、ソースや付け合わせのものを一緒に考え作った。ハーレクインでよくグレービーソースとマッシュポテトが出てくるのでグレービーソースも作った。男なのにハーレクインを読むのかと言われると困るが、義姉が好きだったので僕に回って来て、それを古本屋に売るというサイクルができていたのだ。はははは。あの本はイケメン、高学歴、高収入、高位身分しか出てこなかったから恋愛の指南書には全く当てにならーん。義姉のこれでも読んで勉強しなさい、は、無理だね。けっ!
デザートで気分を盛り上げよう。
そして後から来た寄子の領主様達がやって来て、試食することとなった。
「ケビン様、料理がすごく楽しいです。こういう機会をまた作って欲しいですね」
料理人みんなが頷いていた。
公爵様がそれを聞き、みんなに約束していた。
「料理人の交流会をしていこう。こういう集まりをして、料理人の基礎の底上げをして美味しいものを食べよう。ところでケビンくん、このてりやき?という料理が美味しいのだが、調味料は手に入らないのか?フレッドやルーク、ロナウドに聞いたがケビンくんに聞いて欲しいと言葉を濁すんだ」
「えーと、すみません、錬金釜で錬金して作りました。僕しか作れません。あとは大豆から作るしかないです」
「ほー、ケビンくん錬金で?錬金で作れるのか?」
「調味料の錬金は僕だけが作れるのです。スキルかなぁ?魔力量があるからかなぁ?どうでしょう」
「そうなのか。では作るとしたらだいず?というものから作れるのか」
「大豆というのは豆と小麦と塩が材料です。工程が大変な作業です」
「ケビンくんの錬金なら食べられる量ぐらいは作れるのかな?」
「あ、はい、たくさんでなければ?」
「まぁ、ルークに相談するよ」
良かったぁ。僕だけじゃ決められない。公爵様グイグイ来るから怖いよぉ。兄様達と離れない方がいい。一人は怖い。
料理教室は二日に亘って行った。デザート類も好評で、留守居をしている奥様方にお土産を大量に作りましたよ。俺はマジックバッグ小を作り、バッグは公爵家のものだから後日返すよう伝え、料理を大量に入れてお渡ししました。留守居の料理人さん達にもあげることを約束してお開きになりました。
まだ王都経由東と東南地域に行けない。一体いつ王都に行けるのだろうか?
「父様、まだ僕たちは魔道列車に乗れないのですか?」
「まだ公爵様がお話があるということだ。そしてここまで引き延ばしてしまったから、公爵家で所有している魔導列車の上級個室を用意してくれることになった。お前達全員個室での移動となる」
「ほえ?上級個室。すごーい。やったぁ」
「ケビン、お前わかっているのか?そんな破格な待遇は多分、けいばの運営のことを聞かれるぞ」
「えー、まだ王都にも行けない、トホホ」
競馬か。土地を整備し、観覧席作って、馬を走らせればいいのではないか?この説明が全てだ!
早く海が見たいよぉ。




