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第1章 第10話「無尽蔵の巨躯」

レ・ミィナ要塞を抜けた今、帝都は目と鼻の先だった。バインディングロードとは、本来一本道で、その中間に双子要塞を建造することで、長年帝都への襲撃を防いできた。しかし、それは逆にとれば要塞さえ突破してしまえばあとは帝都へ一直線、ということでもあるため、要塞の果たすべき役割は非常に大きいものとなっている。


「あとちょっとで、帝都だね。ああ、早く帰りたいなぁ~♪」


「あんたねえ………里帰りしに行くんじゃないのよ? まずはちゃんと、レインシアを送り届けないと」


ファインが遠い目で呟くところに、すかさず突っ込みを入れるリュネ。それを微笑みながら一瞥し、レインシアは口を開いた。


「すみません、シルフィー」


「うん? 何がじゃ?」


「今回のことです。あなたには関係のないことなのに、巻き込んでしまって………」


「なぁに、気にすることはない。私達は親友であろう? 余計な気を遣う必要はないぞ。その………マクス殿にも出会えたしの」


「そう……ですか」


「そうじゃ。だから気にすることなど何もない。………じゃろ?」


「はい、ありがとうございます」


そう頷いたレインシアの様子に、微笑みながらシルフィーは頷いた。


「おっ、見えたぞ」


先頭を歩いていたマクスが、前方を指差しながらそう告げる。


壮麗な門であった。各所に装飾が施され、その出で立ちは堂々としている。その向こう側に見える帝都の町並みは、外から見ただけでも今まで通ってきた町や村とは比べ物のならないと断言できるほどの大きさ、壮麗さを兼ね備えていた。


「おお……いよいよ帰ってきたんだ~!」


「待てコラ」


喜びのあまりいきなり走り出そうとしたファインの服の襟元を掴み、マクスが制止する。いきなり服を引っ張られたファインは当然首を絞められる格好となり、げほげほと咳き込む。


「げほっ、ごほっ………い、いきなり何するんだよ、マクス!」


「やかましい。あれをよく見ろ」


「え?」


ファインは不思議に思いつつ、門の方を見やった。見ると、数人の鎧を着込んだ人物が門の前に立っている。その手には槍が握られていた。


「帝国兵ね」


「ああ。このまま突っ込んでったら、今頃お前、あの槍で蜂の巣にされてたぜ?」


「じ、じゃあどうするのさ? 帝都にはあそこからしか入れないんだよ?」


「残念だけど、ファイン君の言うとおりよね。一体どうするつもり?」


「まあ待て。俺に考えがある。着いて来い」


マクスに連れられ、一行は門とは違う方向へ回り込む。正面口とは打って変わって寂れた場所に行き着いた。


「さあ、これに入れ」


「これ、って………」


マクスが言う『これ』とは、もう使われていない地下水をくみ上げるもの……平たく言えば、井戸のようなものである。滑車を使うものではなく、タンクのような出で立ちをしており、内部は水をくみ上げる機構をしており、蛇口を捻ることで水を得ることが出来る。灌漑システムが整備される以前に使われていた、過去の遺産だ。


「井戸だよね」


「井戸ね」


「ああ、そうだ。こんなこともあろうかと、俺が改造して抜け道に使えるようにしておいた。ほったらかしにされたままだから軍のやつらにも知られていない。これなら見つかることはないだろう」


「そ、それはつまり、私に下水を通れと言っておるのか?」


おそるおそる訊くシルフィーの様子に、にんまりと笑みを浮かべ、


「いかにも」


「嫌じゃ、私は絶対に通らぬぞ!」


「言うだろうと思ったぜ。じゃあどうするんだ? いいんだぜ? お前だけ置いていっても」


「うっ……じゃが、嫌なものは嫌じゃ」


「あ、それじゃあ僕が抱えて行きますよ!」


「それも嫌じゃ」


きっぱりと言い切られ、ファインが完全に硬直する。


「つーか、第一お前の体格と筋力じゃ、嬢さん抱えて行くのは無理だろ。どれ、ここは俺がやろう」


「えっ!!!?」


一気に顔を真っ赤にしてうろたえるシルフィー。マクスは訝しげに尋ねた。


「何だ、不満か? 文句があるなら置いてくことになるが」


「い、嫌ではない! それどころか、むしろ大歓迎というか、その………」


真っ赤になってもじもじとする彼女の様子を肯定ととったのか、マクスは満足そうに笑みを浮かべ、


「よし。………よっ、と」


いきなり、シルフィーの体を抱え上げた。


「うひゃあっ!?」


「素っ頓狂な声上げやがって。一体どうしたってんだ?」


「な、何でもないわ!」


そう言って、ぷい、と顔を背けるシルフィーを不思議に思いながらも、マクスは井戸に向かって歩き出す。


「よし、まとまったところで、そろそろ行くぞ。着いて来い」


シルフィーを抱えたままマクスが井戸装置の蓋をこじ開けて飛び込み、その後にレインシアが梯子を使って降りていく。


「…………ファイン君。気持ちは解らなくもないけど、そろそろ行かないと、本気で置いてかれるわよ。ほら、泣かないの!」


「…………うん」


やっとのことで硬直を解いたファインは、リュネに連れられるようにして、涙目のまま井戸の中へと飲み込まれていった。

















地下水道の内部には、未知の空間が広がっていた。途中までは普通の下水だったが、途中からは道幅が広くなってきていた。


「ねえマクス、あとどのくらい歩けばいいの?」


「もうちょっとだ。次の角を曲がれば、貧民街(スラム)第二区画に出る」


貧民街(スラム)とは何ですか?」


小首を傾げて問うレインシアに、振り返らずにマクスは答える。


「着けば解る。ほら、見えたぞ」


角を曲がると、そこには異空間が広がっていた。道幅はこれまで通ってきた道よりさらに広くなり、両脇に通路が出来ている。そして、その通路の半分ほどをおんぼろテントが占拠し、いくつも連なっていた。


「ここが、貧民街だ。帝都の恩恵に肖れない、貧しい者達が辿り着く成れの果ての街。それがここだ」


「酷い………」


「酷い……だと?」


レインシアが思わず零した一言に、近くを歩いていた男が立ち止まる。痩せこけていて、目には光が宿っていない。放っておけば、今にも倒れそうである。


「けっ、小奇麗にしやがって。お前達上の者の恩恵は、俺たちのような負け犬の上に成り立ってるということを知らないんだろ?」


「え……あ、あの………」


怯えるレインシアに畳み掛けるように、周りにいる男達もいつの間にか群がってきて、捲くし立てる。


「そうだ、そうだ!」


「どうせ俺たちの事なんか、どうも思ってねぇんだろ!?」


「ふざけんな、貴族どもが!」


仲間の罵倒を背に、最初に突っかかってきた男が続ける。


「いいよなぁ、あんたら、表の住人は。そうやって、俺達を踏みつけてれば生きていられるんだからなぁっ!」


男が今にも殴りかかろうとした時、いつの間にかマクスの腕から抜け出したシルフィーが、両者の間に立塞がる。


「何だぁ、お前は?」


「れ、レインシアに手を出すな!」


「シルフィー………」


「ふん、貴族風情が。出しゃばりやがって。俺はな、お前みたいに貴族の椅子にふんぞり返っている奴が一番嫌いなんだよ。そんなに殴られたいなら………お望みどおりにしてやるよっ!」


男は、思いっきり拳を振り上げた! しかし、その拳は振り下ろされることなく、空中でとまっている。


「やめろ」


男の手を止めていた人物が声を発した。見た目は20代半ばといったところであろうか。緑色の髪をしており、ぼろいことには相違ないが、他の住人よりは幾分いい身なりをしており、さらに他の住人と違うのは、その黄緑色の瞳が濁っておらず、澄んだ光を放っているということだ。負ではなく、正の活力が精神に宿っている証拠である。


「ば、バルクさん!」


取り巻いていた男達が明らかにうろたえる。その男を睨みつけつつ、バルクと呼ばれた青年は続けた。


「このお嬢さん方にあたってどうする。お前達が憎むべきは、大人の、とりわけお前達を追いやった下衆どもだろう」


「で、でもこいつら………!」


「言い訳は聞きたくない。これ以上御託を並べ立てるというのなら仕方ない、俺が相手になろう」


そう言って男は、帝国騎士の上級階級が着ているような服のマントを翻し、腰に下げたダガーナイフを抜き放つ。きらりと銀の光沢を放つその短剣を構える姿に隙はなく、一目で只者ではないと理解できた。忽ち、男達の間にどよめきが起こる。


「うっ………わ、解りました」


青年の威嚇によって、男達はすごすごと自分のテントに戻っていった。


「大丈夫だったかい?」


ダガーを鞘に収め、青年は振り返りそう尋ねる。


「は、はい。ありがとうございました」


「すまないね。ここの連中は貴族に自分の家や土地を取り上げられた者達ばかりでね。貴族を憎んでいる者も少なくないんだよ」


「そうでしたか…………」


「よっ、久しぶりだな、バルク」


マクスがそう言うと、青年―――――バルクも彼に気付き、瞬間、笑みを浮かべた。


「マクス、やはり君の仕業か」


「ああ」


「あの………お知り合いですか?」


レインシアの問いにマクスはちょっとな、と答え、続ける。


「気付いていたのか」


「そりゃそうさ。ここの皆は、口は悪いが結束は固い。あの井戸の抜け道を知ってるのは、皆と俺を除けば、君だけだからね。で? 今回は一体何の用だい? とんでもないゲストもいらっしゃるようだし、ただの帝都観光、ってわけじゃないんだろう?」


そう言うと、そのままバルクはレインシアを一瞥する。


「当然だ。ただの観光なら、わざわざこんな辛気くせえところなぞ通るわけねえだろ」


「だろうな。…………だが、君をこのまま通すわけにはいかない」


「ほう? そりゃまた何故だ?」


バルクはテントの方を見やると、再びマクス達に向き直り、告げた。


「手を……………貸してほしい」

















「さて、まずは改めて自己紹介をしておこうか。俺の名はバルク=レイモンド。この貧民街第二区画の区長を任されている」


バルクは椅子にかけると、そう言って軽く会釈をした。バルクの家に通されたマクス達は、彼に示された椅子に座っている、『テント』ではなく『家』と表現したのは、他の住人のそれと違い、木を使って建造された小屋のようなものであり―――――おそらく、廃材を使ったのだろう―――――ぼろくはあるがきちんとした家の様相を見せていたからに他ならない。


「………で? 何なんだよ、頼みってのは」


マクスは椅子に足を組んで座り、そう尋ねる。


「ここには帝都のあらゆる廃棄物が集まってくることは、君も知っているだろう?」


「ああ」


彼の言う『ここ』というのは、彼らが現在いる地下―――――第二区画ではなく、地下に存在する貧民街第一区画のことである。第一区画とは元々、帝都中の廃棄物を集積していた処理場で、現在は政府が放棄した場所に貧民や没落貴族といった人々が流れ着いて興った場所なのだ。やがて、そこに人が溢れ、収容し切れなくなった分の人々の住処として新たに白羽の矢が立てられたのが、ここ第二区画、地下の町だ。


「集まる途方もない量の廃棄物………。生きるために必死なここのやつらにしてみれば、宝の山だな」


マクスはそう皮肉った。


「だが、その宝の山が今、悪魔の遺物と化そうとしていると言ったら………どうする?」


「………どういうことだ?」


怪訝な表情となったマクスに、バルクは告げる。


「………オーガ、という魔物のことは知っているか?」


「オーガ………確か、周囲の物体に宿って自在に操る、霊族の魔物、だったかしら?」


リュネがそう答えると、満足そうな笑みを浮かべてバルクは頷いた。


「その通り、よく知ってるな」


「こいつの魔物のことに関しての知識は一級品だからな。んで? そいつがどうかしたのか?」


「第一区画に現れ、周囲の物体を巻き込んで巨大化しては、自分の活動時間である夜になると、手当たり次第暴れている。正直、手が付けられない状態だ」


「どうしてそんなやつが? 確かオーガって、こんな都市圏には生息していない魔物よね? 使われていないお墓なんかにたまにいるっていうのは、聞いたことあるけど」


リュネの問いに頷きつつ、バルクは答えた。


「ああ。どうやら、軍の研究施設で研究用に確保していた個体が逃げ出したらしい。飼育ボックスにかける磁気を誤らなければ、まず問題ないはずなのだが………」


「大方、管理を怠ったんだろ。それより、俺に頼みたいことってのはそいつの駆除か?」


「頼む。本来なら俺がやるべきことなのだろうが、俺の術は炎の術。霊族の魔物にはあまり効果は期待できない。君の雷・光系の術に頼るしかないんだ」


「OK、そういうことなら任せろ。俺にかかれば、どんなやつにも負けやしねえぜ」


「ありがとう。よし、作戦決行は今夜だ。少々手狭だが、それまではここでゆっくりしているといい」


「ありがとうございます、バルクさん」


「いえいえ、礼には及びませんよ。レインシア皇女殿下」


「わ、私のことをご存知だったのですか!?」


「こいつはな、昔軍にいたんだよ」


両手を口元にあてて驚きを表しているレインシアの横で、マクスが補足した。


「軍に!?」


マクスの口から告げられた事実に、レインシアを始めとする中間達は仰天する。


「こら、マクス。そのことを無闇に喋るなと言っただろう?」


「いいじゃねえか、別に。『そこは』隠す必要なんてねえだろ?」


「やれやれ………。やはり相変わらずだな、君は」


呆れたようにそう呟き、バルクは苦笑した。


と、そこにノックの音が響き渡る。


「ちょっと失礼」


そう言ってバルクがそれに応じると、屈強な体つきをした男が一人、戸口に立っていた。


「バルクさん、お取り込み中のところすまねえ」


「いや、いいよ。話も丁度終わったところさ。それで、何があったんだい?」


「実は…………」


男がバルクに耳打ちすると、僅かにバルクの表情が険しくなる。


「………そうか。解った、すぐ行こう」


「すまねえ」


バルクは振り返ると、短く、じゃ、とだけ言い残し、男と共に家を出て行った。


「………行っちゃったね」


「………ねえマクス、さっきから気になってたんだけど、現役時代のバルクの階級って、一体何だったの?」


「知りたいか?」


にっ、と意地の悪い笑みを浮かべるマクスに、リュネは


「うんうん♪」


と何度も首を縦に振る。


「あ、僕もそれ知りたい!」


「私も興味あるのう」


ファインとシルフィーものってきた。


「そうかそうか。だが残念、軍役時代の話は、あいつと俺だけの秘密ってことになってるからな。話すわけにはいかねえのさ」


「ええっ、いいじゃない、そんなの!」


「そうだよ! 誰にも言わないからさ、ねっ?」


「ほれ、ここまで言っておるのじゃ。勿体ぶらずにさっさと白状せい!」


脇に控えたシュペイゲルや、その様子を見て苦笑いを浮かべているレインシアを放って、興味津々な様子で詰め寄る3人に、心底面倒そうな様子で溜め息をつくと、マクスは、「誰にも言うなよ?」と念を押し、告げた。


「…………大佐だ」


本日二度目の驚愕の事実に、瞬間、一行はそのままの姿勢で固まった。

















そして、夜。マクス達は、オーガ討伐のため行動を起こした。マクス、バルク、リュネ、ファインを先頭に、神術が使え、戦闘に耐えうるであろう第二区画の有志が続々と土管から外に出てくる。そしてその後から、何故かレインシアやシルフィー、他の第二区画の住人らといった非戦闘員までもが、その姿を現した。


「全員いるな?」


バルクが問うと、昼間にバルクを呼びに来た屈強な青年が頷いた。


「へい。万事、抜かりなく進んでますぜ」


「よし。では、これよりオーガ討滅作戦を開始する。これまでの我々の調査により、オーガの活動時間は夜中のみと限られていることが解っている。奴が現れてから、明日の夜明けまでに決着をつけることが出来れば、この作戦は成功だ。今夜はまだ現れていないようだが、各自、十分に注意を…………」


そこまでバルクが言いかけたとき、不意に周囲に強風が吹き荒れる。


「な、何、一体!?」


「奴だ……!」


「へっ、いよいよお出ましか」


マクスとバルクは不敵に笑い、マクスは長剣の、バルクは短剣の柄に手を添え、身構える。


一同の真上の空中に、足がなく、不完全な人型を模したような半透明のものが浮遊し、周囲の廃棄物を片っ端から吸い込んでいる。オーガだ。 


「さあて、どんだけでかくなるか、お手並み拝…………見………」


マクスの言葉が最後に途切れ途切れになったのには理由がある。簡単だ。周囲の廃棄物を吸い込んだオーガが、数十メートルはあろうかという、人型の巨大な化け物に変貌していたからである。


「でか過ぎだろ、これ………」


さすがのマクスも、その大きさにはただ呆然とするしかなかった。尤も彼の場合、他の者とは違い、恐怖というよりは呆れからくる反応であったのは言うまでもないかもしれない。


オーガはマクス達を見下ろすと、真っ直ぐに、その巨大な拳を振り下ろす。それを咄嗟にかわし、マクス達はようやく我に返る。すかさずオーガの視界に入らないよう、瓦礫の影への全力疾走を開始する。

ゆっくりと近づいてくる巨躯を敢えて振り返らないようにしながら、マクス達は、元が何だったかもわからないような廃材の影に滑り込んだ。途端に、標的を見失ったオーガは周囲を探索し始める。


「おいおいおいおい、バルク、てめぇっ! こんなにでかくなるなんて聞いてねえぞ!?」


「それはそうだ、言ってないからな」


「そ、そんな滅茶苦茶なっ!」


マクスの不平をさらっと受け流すバルクに、未だに驚きで上ずった声で、ファインがマクスの隣から極めて小さい声で喚く。


「とにかくあれはなんとかしねえと被害がでかくなる一方だな。俺が囮になって奴を引きつけるから、その隙に…………」


と、そこまでマクスが言ったところで、オーガが不意に動くのを止め、咆哮にも似た声を上げる。


「グ、グゴオオオオオオオォォォォォ!」


「な、何なの、一体………?」


リュネが呟き終わるのとほぼ同時に、辺りに再び旋風が巻き起こる。


「う、うわっ!」


「不味いな。あいつ、ここいらの廃材全部吸収して、俺達を見つける気だぜ」


「どうする、出て行くか?」


「いや、今出て行って吸い込まれたらもっと不味い。ひとまずここはやり過ごすしかねえ。てめえら! なんとしても持ちこたえろよっ!」


マクスの言葉を皮切りに、旋風は一層強くなり、辺りのあらゆる物体が、オーガの巨体に吸い込まれていく。


と――――――――――。


「きゃああっ!」


突然レインシアの悲鳴が聞こえ、マクスがそちらを見やると、彼女の体が宙に浮いていた。


「ちいっ!」


マクスは地面を思い切り蹴り、迷わずレインシアのもとに跳んだ。着地すると、すかさず近くの廃材に片手で掴まり、もう片方の手をレインシアに伸ばす。が、その手はわずかな距離を縮めること叶わず、レインシアは大声でマクスの名を叫びながら、オーガの巨躯に飲み込まれていった。


「レインシアァーーッ!!」


マクスが叫ぶ。すると、ようやく吸収を終えたのか、旋風が止んでいた。


「ど、どどどどどどうしよう、姫様が、姫様がっ!」


「馬鹿、うろたえんな! 絶対に取り返してみせる。行くぜ、てめえらっ!」


おう! と、一同から声が上がる。


(あの時のようにはさせるかよ。絶対に、俺が………俺が助けてみせる!)


マクスは、自分でも、自らが言い知れぬ焦燥に駆られていることに気付かなかった。

















巨躯から繰り出された拳に、一行は方々に散り、かわした。ズズン、という大きな音とともに、地面が大きく抉られ大きなクレーター状の穴が出来上がった。


「さて、よけてはみたけどどうしたものかな、マクス」


バルクが不敵に微笑みながら言う。その頬には、一筋の汗が伝っていた。彼の視線の先では、逆側に回り込んで、オーガが作った穴を見て騒然としている他の勇士達の姿がある。


「俺が知るかっ! 早く姫さん助けねえと、おちおち攻撃も出来やしねえ………!」


「せめて、レインシアの場所さえ解れば…………」


リュネが、悔しそうに拳を握り締める。


「…………ねえ、僕、殿下の場所、解るよ」


「何?」


ふっとマクスが振り向くと、ファインが額に両手の人差し指と中指を当て、目を瞑っていた。


「あの巨人の……大体胸のあたりかな。中心から……ちょっと右側にずれた辺り」


「待て待て。何でてめえにそんなことが解るんだよ?」


「微かにだけど、殿下の神力の波動を感じるんだよ。何でかな………自分でも解んないや」


マクスには、ファインが嘘を言っているとは思えなかった。こんな時に嘘を言うようなやつではない。この状況でそんなはったりを言うようなら、とっくに殴り飛ばしている。何より、ファインの表情は真剣そのものなのだ。


「解った。てめえの言うこと、信じてやるぜ。リュネ、バルク!」


「うん!」


「まずは、奴の動きを封じよう。皆! 奴の四肢に集中攻撃! マクスとリュネさんを援護するんだ!」


彼ら以外の貧民街の人間はオーガのあまりの大きさに呆気にとられていたが、おう! という歓声とともに我に返り、各々の武器を構える。己の身体能力のみで立ち向かうには荷が勝ちすぎる相手であるため、主に彼らが持っているのはロケット砲やバズーカといった、軍の廃棄物から拝借してきた重火器類の数々だ。廃棄されていたとはいえ、まだまだ実戦に耐えうるものが多い。

砲口が一斉に火を吹き、オーガの手足を直撃した。手足を吹き飛ばすまでには至らなかったものの、衝撃に、オーガの巨体が一瞬バランスを崩す。その一瞬の隙を突いて、マクス、リュネ、バルクが跳んだ。よろけるオーガの巨体を足場にして、どんどんと上に登っていく。

それに気付いたオーガは、体のバランスが崩れるのも省みず、両手拳を彼らに向かって振った。


「ちっ…………」


かわずべきか、防ぐべきか。

防いだ場合、相当量の神力を失うことになり、レインシアを助ける余力を残せるかどうかは怪しいところだ。

マクスは、迷わず前者を選択した。横や後ろに跳んだのでは、バランスを崩して落下しかねない。落下のダメージはマクスにとっては問題ない程度だが、せっかく出来た接近のチャンスを棒に振ることになるだろう。マクスは、ぐっ、と足を前に出し、大きく前に加速するように踏み込んだ。彼の後ろでは、リュネとバルクがオーガの両拳を受け止めている。


「行けえええぇぇぇぇっ、マクスッ!」


マクスはその叫びに答えるように思い切り咆哮し、オーガの右胸の部分に飛びつこうとする。

だが―――――。


「マクス、危ないっ!」


リュネの悲鳴が聞こえ、マクスは上を見上げる。オーガの頭部が、神力の波動を集束し、今正にマクス目掛けて放とうとしていたのだ。


「ちぃっ…………!」


こうなっては、もはや回避は難しい。ただでさえ跳躍した直後で、周辺に移動に使えそうな足場もない。

マクスが防御を選択しようとした、その時だった。


「うわああああああああぁぁぁぁぁぁ!」


一本の閃光が真っ直ぐにオーガの頭部に伸び、集束していた神力ごと、頭部を吹き飛ばしたのだ。


「何だ!?」


残っていた頭部をシュトゥルムヴェインで粉々に粉砕すると、マクスは閃光のもとである下に目を向ける。すると、彼の視界に、脱力して肩で息をしているファインの姿が映った。先程の閃光は、ファインが銃から放った神力によるエネルギー攻撃だったのだ。よほどの神力を消費したのだろう、その体にもはや力は残っていないように見えた。


「ど、どうだ……僕だって、やれば……出来るんだぞ………! 行けぇ、マクスッ!」


渾身の力で放たれた叫びに、マクスはにやりと不敵に笑った。


「………上出来だ! 行くぜっ! 切り裂けっ、神龍剣(ヴェルセルク)、出力3分の2いぃぃっっ!」


雷のように猛る神力エネルギーを纏った剣が、オーガの肩部分を深々と切り裂く。そのまま、マクスは剣にぐっ、と力を入れ、右腕を一息に切り落とした!


「グゴアアアアアアァァァァァァァァァ!」


オーガは、右腕の痛みに苦しむかのように大きく咆哮する。


「あれ? 本体がダメージ負ったわけじゃないのに、効いてるの?」


「おそらく、マクスの剣技のエネルギーが、体を通して本体まで伝わったんだろう。あの体はこの周辺の廃棄物を吸収して作られたものだ。ここには、多くの金属類が捨てられているからな。雷の伝導率も高いんだろう」


いつの間にか、リュネと共にオーガの体の上から降りてきていたバルクが答えた。マクスが右腕を切り落としたおかげで攻撃が止まり、役目が終わったと判断したのだ。


「あ~あ、結局あいつが全部持ってっちゃうのね」


そう言って、リュネが頭の後ろで手を組み、苦笑している。


「まあ、そう言わないで。俺たちの役目は終わった。あとは、彼に任せるとしようじゃないか」


バルクの言葉にリュネとファインは頷き、上空で戦っているマクスを見上げた。

















右腕を切り落としたマクスは、そのまま大きく真横に跳び、今度は左腕に取り掛かった。彼の剣は、先程の剣技の状態を保ったまま、神力のエネルギーでバチバチと帯電している。


「うおおおおおおおりゃあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


思い切り振り下ろし、左腕を、まるでプリンを切っているかのようにあっさりと切り落とす。

オーガの体の上肢に取り付いて僅か数分。マクスはその間に、オーガの上肢の脅威をほぼ完全に取り除いていた。オーガは体を駆け巡る電流のような一撃で、苦しげにうめき声にも似た声を放つ。バルクの解説したとおり、体のどこかにあるオーガの本体が、流れる高圧電流のような神力によりダメージを受けているのだ。


マクスは最後に、胸の中心部分に一瞬で移動すると、手を当てて神力の波動を探り始める。


(レインシアは………この辺りだな。よし)


マクスは再び剣に神力を宿らせ、逆手に持つと大きく振りかぶる。


「今、出してやるからな。……うおらああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!」


咆哮し、マクスはオーガの胸の中心部分に剣を突き刺し、そのまま楕円を描くように切り抜いた。そして、その部分の塊をむんずと掴み、一息に引き抜くと、オーガの体を蹴って素早く離脱した。


「マクス!」


中間達が駆け寄ってくる。皆で塊の周囲から廃棄物を丁寧に取り除いていくと、レインシアがその姿を現した。廃棄物に張り付いていた所為で体や衣服は薄汚れているが、目立った外傷はない。


「大丈夫、気を失っているだけだよ」


レインシアの容態を診たバルクがそう告げ、安堵から一行は溜め息を漏らす。


「………さて、バルク。そろそろ俺も我慢できなくなってきたぜ」


マクスが、苦しげな声を上げ続ける巨躯を見上げながらそう言う。静かな声だが、その中には明らかな苛立ちが見て取れた。


「ああ。やろう、マクス」


マクスとバルクは、後ろ手にそれぞれの武器を交差させるように構えると、神力を解放した。みるみる内に、彼らの武器が水色とオレンジの入り混じったような色の球状の神力を纏い、どんどん大きくなっていく。


「さあ、行くぜっ! 俺達の協力奥義!」


「外殻を全て吹き飛ばしてやる!」


やがて、神力の球体が彼らの身長の二倍ほどに膨れ上がると、二人は武器を前に突き出し、渾身の力で投げつけた!


「「必殺、爆裂神牙弾(ビッグバン・ブレイズ)っ!!」」


神力の球体は真っ直ぐにオーガの巨体目掛けて飛んでいき、着弾すると同時に激しく爆発した。バルクの炎の神力が外殻を吹き飛ばし、マクスの雷・光の神力がそれを粉々に粉砕して、そのダメージを四方に広げていく。

やがて、かつてオーガの体を形作っていたものはがらがらと派手な音を立てて崩れ去った。


「終わった、か?」


「いや、まだだぜ………」


マクスは残骸に向かってゆっくりと歩いていく。先程まで巨体があったその場所には、もとの廃棄物に戻った瓦礫の山と、一つの紫色に光る球体が。


「最後の仕上げがまだ残ってる」


マクスがそう言って球体に剣を向ける。すると―――――。


「な、何だ?」


オーガの本体が突如として発光を始め、そして、近くにいた男に襲い掛かった!


「危ないっ!」


目を覚ましかけていたレインシアがいち早くそれに気付き、まだふらつく足を叱咤しつつも、リュネの手を振りほどいて駆け出し、男を突き飛ばす。


「うおっ!」


男の代わりに、レインシアの体にオーガの本体が入っていく。


「うっ……ああ………ああああああアアアアアアア!」


レインシアが苦しげに呻き、叫び声が途中から反響するような声へと変わっていく。


「レインシア!」


「殿下!」


駆け寄ろうとしたファインとシルフィーだったが、ある異変に気付き、それをやめた。レインシアの体に入ったはずのオーガが、少しずつレインシアから離れていくのだ。


「ウ、ウウ………うわあああぁぁぁぁぁ!」


レインシアの体から、オーガが弾き出される。それだけでは終わらず、オーガは弾き出された勢いで、シルフィーに憑依した。


「し、シルフィー…………」


弾き飛ばされた衝撃に呻きつつ、レインシアは親友の名を呼ぶ。

しかし―――――。


「フウ、ヨウヤク体ガ手ニ入ッタヨ。礼ヲ言ウヨ、人間」


彼女本人と、何者かの声が重なって聞こえる。どうやら、


「お前、オーガだな?」


「ソノ通リ。傲慢ナ人間サン?」


「ええっ!? 変ねえ、確かオーガは有機体には憑依出来ないはずなんだけど………」


リュネが不思議がっていると、よろけつつもやっとのことで起き上がったレインシアはオーガに尋ねた。


「教えてください、オーガ。どうして暴れたりしていたんです? 何か理由があるのなら教えてください!」


「理由? ソンナノハ簡単ダヨ。アンタタチ人間ガ、私ヲ消ソウトシタカラ!」


怒りを吐き捨てるように、オーガは大声で怒鳴った。


「それは、お前を飼っていたという研究所のやつらのことを言ってんのか?」


「ソウダ! 私ハ、墓場ニ住ム一魔物ニ過ギナカッタ。ナノニ、アノ研究所のヤツラハ、私ヲ一方的ニ捕マエタバカリカ、要ラナクナッタト言ッテ殺ソウトマデシタンダ!」 


「酷い…………」


レインシアがそう呟くと、オーガはさらに捲くし立てた。


「私ハ平穏ニ暮ラシタイダケナノニ! ソノ想イデココマデ来タノニ、マタ私ヲ消ソウト言ウノ、人間ハ!?」


「ふん、軍のやつらがやりそうなことだ。だがな、お前がやっているのはただの自己満足だ。自分を貶めた奴に似た奴らを蹂躙して、満たされた気になっているだけだ。そんなので満足できるわけがないだろう」


「ジャア……ジャア、私ニドウシロト言ウノ!? コノ憎シミヲ、ドウシロッテ言ウノ!!?」


オーガは叫ぶ。その様子からは、明らかな苦しみが見て取れる。

その様子を見ていたレインシアは、やがて意を決したように、オーガが憑依したシルフィーに近寄っていく。


「………生きて下さい」


「エ?」


「生きて下さい。生きて、もっとこの世界を知って下さい。この世界には、あなたの知っているような人ばかりではないということを知って下さい」


「無理ダヨ! 人間ガ私ヲ恐レル限リ、私ハッ………!」


「では………」


レインシアは辺りを見回すと、近くの瓦礫の山の中にあった、子供の背丈程の人形を取り出した。関節が動くようになっていて、かなり精巧に作られている。


「これはどうです?」


「何?」


「これに憑依して下さい。少しでも人間に近い容姿なら、あなたを恐れる人間も減るはずですから」


「何デ………何デ私ニココマデシテクレルノ?」


「あなたは私に似ているんです。必要な時ばかり担がれて、いらなくなったらぽいと捨てられる。そんなの聞かされたら、見捨てられるわけないじゃないですか」


そう言って微笑むレインシアを見るオーガの目に、涙が光る。


「アリガトウ、本当ニ、アリガトウ…………!」


やがて、オーガの球体がシルフィーの体から抜け出て、人形に入り込んだ。


「おっと」


オーガの意識が離れ、屑折れるシルフィーの体をマクスがすんでのところで抱きかかえる。そして………。


「う、ん………」


人形が静かに目を開けた。少しの間ぼんやりとした後、辺りをきょろきょろと見回す。


「オーガさん」


レインシアが話しかける。


「気分はいかがですか?」


「うん、申し分ないよ。ありがとう。あなたのおかげで、もう少し生きてみようって気になれたよ」


「そう。それはよかったです。ところで、いつまでもオーガさん、ではだめですよね。ちゃんとした名前を考えませんと。何がいいです?」


「名前、私の、名前…………」


オーガは、少しの間考えると、レインシアの顔を見上げるようにして、


「私の名前、あなたに決めて欲しい」


「わ、私にですか?」


こくり、と頷くオーガの顔を困惑した様子で見、続けて振り返ってマクスの方を見やる。


「決めてやれよ。そいつにとって、お前はいわば親みたいなもんだ。親が子に名前を付けるのは、当然だろう?」


「………はい!」


嬉しそうに微笑むと、レインシアは考え始める。


「そうですね……………。では、メニアなんてどうでしょう?」


「メニア、か。確か、始まりという花言葉のある花の名前だったか?」


「はい」


「メニア………うん、いいじゃない!」


「うん、いい名前だよ! さすが殿下!」


リュネやファインも、挙ってそう言う。


「メニア…………」


メニアは、胸に手を当て、念じるように自身の名を呟いた。


「私の………名前…………」


「そうです。あなたは生まれ変わったんです。もう何も、心配する必要なんてないんですよ」


「うん、ありがとう。あなたのこと、絶対忘れないから」


「ええ」


「あ、あのよう………」


レインシアが声に振り返ると、そこにはばつの悪そうな表情で立っている男が一人。レインシアがオーガの憑依から守った、あの男だ。よく見ると、昼間レインシアに突っかかってきた男でもあるようだ。


「あなたは、先程の。お怪我はありませんでしたか?」


「あ、ああ。なんとかな。それより、よ。昼間は悪かったな。貴族なんて皆屑ばかりだと思っていたが、あんたみたいなやつもいるんだな」


「ああ、俺もだ。見直したよ、あんた」


「ありがとう、仲間を救ってくれて」


「………一件落着、かな?」


「………みたいだな」


マクスとバルクは、口々に礼を言う男達と、戸惑った様子でそれに応じるレインシアを、微笑みながらその輪の外から見つめる。


「夜明けか…………」


マクスの言うとおり、遠くに見える山々から朝日が見え始め、瞬く間に辺りをその光で照らしていく。


「………さあ、帰るぞ、皆!」


夜明けの空に、鬨の声が響き渡った。


神崎「神崎はやてのぉ~!」


一同「神の黄昏、in SPIRITUAL ARMS~!」


神崎「さあ~、やって参りました、神の黄昏! 司会進行はSPIRITUAL ARMSの作者こと、私神崎はやてと!」


マクス「そのSPIRITUAL ARMSの世界の宝、マクス=トレンジアでお送りするぜ」


神崎「どっかで聞いた事のあるセリフだねえ」


マクス「うっせえ!」


神崎「さあ、今回もゲストお呼びしちゃってますよ! この方です!」


バルク「こんにちは、皆さん」


マクス「おお、ついにお前まで出てきやがったか」


バルク「酷いな。俺だって出れるの楽しみにしてたんだぞ?」


神崎「はいはい。ではバルク君、自己紹介を」


バルク「うん。初めまして! 俺の名はバルク=レイモンド。スラム第二区画で長を務めさせていただいてます。よろしく!」


マクス「昔はばりっばりの軍人だったんだがな。なんでこんなとこにいやがるのか………それはだな」


神崎「マクス、ストーップ! それ以上はネタバレになるからっ!」


マクス「ちっ………」


神崎「舌打ちすんな! ごめんね、バルク」


バルク「いえ、こちらこそ………なんかすみません」


神崎「お互い苦労するねえ。では、今回はこの辺で! ばいば~い!」


こんにちは、神崎です。最新話、楽しんでいただけたでしょうか? 

もしうちのキャラたちを番外編や後書きで出したい、コラボさせたいなどという方がいらっしゃれば、申し出ていただければおそらくほぼ間違いなく許可いたしますので、遠慮なく仰ってください。

それでは。活動報告のストーリー募集の件もご参照下さい。

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