第9話 すやすやなきみへ
どれくらいの間そうしていただろうか。
ぼやける視界にピントを合わせる。
「あ、やっと起きた笑
泣き疲れて寝ちゃうなんてかわいいとこあるじゃん笑」
どうやら散々泣いた挙句、うみみの膝の上で眠ってしまっていたらしい。
ラッキーな展開に内心ドキドキしながら、申し訳なくも思った。重かっただろうに。
「もっと自分のこと心配してほしいなあ。寝てる時も悲しそうな顔するもんだから辛かったよ。」
この時、もううみみの前では泣かないと決めた。
うみみはこんなにも俺に優しくしてくれているのに、俺はうみみに対して何もしてあげられない。弱虫だ。
「きみは強いね。弱虫なんかじゃないよ。きみに何回助けられたことか。今回はたまたまわたしの番だっただけだよ。」
優しすぎるようみみ。俺なんて、一緒にラーメン食べて、お喋りして、みっともなく泣いて、甘え続けてるだけなのに。
「きみはきっと忘れてると思うけどさ、わたしはずっと覚えてるよ。」
優しい笑顔が刺さって、嬉しいような、苦しいような、でも、間違いなく幸せだった。
「ぴぴん!ミニそうちゃん検知!今回は泣いてないよ!行こ!」
もしかしてうみみのあほ毛ってレーダーだったりする…?
また手を繋いで走り始める。雪は徐々に溶け始めていた。