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眠るうみみと走馬灯  作者: うみみ
第2章 北の大地に取り残されたきみへ
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第6話 死ねと言われて傷ついたきみへ

「はい、とうちゃーく。どう??なんか思い出した??」


思い出すも何も俺ここ来たことないんだけどなあ。


もしかして、うみみは何か俺に思い出してほしいことがあって、あちこち連れ回しているのか??


「あそこにいる小さい男の子見える??黒いランドセルの。あれそうちゃんだよ。」


ふん。馬鹿にするにもいい加減にしたまえうみみ。いくら夢の中とはいえやりすぎ…。


「ね?いたでしょ??

さっきも言ったけど、夢じゃないんだよ。」


うれしそうな顔でこちらを向くうみみ。


馬鹿は俺の方だった。


確かに目の前に黒いランドセルを背負った小さい男の子がいた。俺の小さい頃に瓜二つだ。


「やっぱり驚くよね…笑

でも徐々に慣れていくと思うよ。わたしもそばに居るし大丈夫。」


この頃にはすっかりうみみを信頼しきっていた。

なんでか分からないけど、うみみといると安心する自分がいた。


「あのミニそうちゃんなんだけどさ、あと5分後くらいには号泣してるよ。かわいそうに。」


え??そんなのいやだ。


小さい頃の自分が泣くのを見るなんて心が痛む。せめて小さいうちだけは毎日笑って過ごしてほしい。何か痛いことでもあったんだろうか。


予想は大きく外れた。


「おともだち同士でふざけ合っててさ、それで…」


それで…?


「死ねって言われちゃうの。それが当時のきみにとってはすごく悲しくて、耐えられない出来事だったの。家まで号泣しながら走り続けて…」


直接自分には関係ないことなのに胸が痛んだ。と同時にヤワだなと思った。


「死ね。は確かにストレートすぎるっていうかさ、みんな傷ついて当然だと思うんだけどさ、それ以外でも知らず知らずのうちに誰かを傷つけてることってたくさんあるんだろうね。」


いままでの自分の言動を思い出す。


たった一言死ねと言われただけで号泣していた自分を恋しく思った。


たった一言死ねと言われただけで泣くのかと思ってしまった自分を恥じた。


傷つけて、傷つけられて、そんな毎日に嫌気がさして、きっと多くの人が悩み、苦しむのだろう。


またうみみのおかげで1つ考えさせられた。


うみみみたいに、優しい人ばっかだったらいいのになあ。


「やだ〜照れちゃう〜笑」


くねくね照れるうみみを見て、自然と笑みが溢れる。


「そろそろだよ。あ!あっちに走ってる!」


泣かないで。世界はもっと美しい。

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