第2話 お腹が空いてるきみへ
2xxx年12月25日
喜ばしいことに、そして嘆かわしいことに、1人の男の子が産声をあげた。
たくさんの大人に待ち望まれたその子は「颯太」と名付けられた。
「きみのことだよ??ねえちゃんと聞いてよお。」
全く理解が追いつかない。なんなんだこの状況は。
それに誰なんだこの女の子。いきなり名乗りもしないで話しかけてきて。ていうかなんで俺のこと知ってるんだよ。
「ふふん〜。いまなんで俺のことそんなに詳しいの?って思ったでしょ笑」
図星である。が、悔しいので無表情を貫く。
「私はうみみ。あなたとの関係は…」
そんなことはどうでもいいから今の状況を説明してほしい。ああそうか、まだ夢の中なんだきっとそうだ。
「ここは夢の中じゃないよ。いまから見るものは全部ほんとのことだよ。」
どうやら俺の頭の中は全部彼女に筒抜けらしい。
気になることはたくさんあるけど、どうせ夢だしどうでもいっか。
「突然だけどお腹空いてない??福岡といえば豚骨ラーメンだよね〜。食べに行かない?!」
本当に突然だけど、お腹が空いていたのはたしかだったので、彼女の提案を断る理由はなかった。
ていうかここ福岡なんだ。俺の家埼玉なんだけど…。