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戦略的婚約破棄
「ミモザ・アベイル、今ここで君との婚約を破棄する!!」 「どうぞ、お好きになさって」 あなたとの婚約は所詮祖国の戦略ですので。
ミモザは余裕の笑みを浮かべていた。たった今、婚約者であるユスティオンから婚約破棄を告げられたばかりなのにである。約一か月半前、ミモザは従者から、ユスティオンがエヴァンズ侯爵令嬢であるエマと恋仲になっていることを聞いていた。昨今の令嬢であれば烈火のごとく怒り狂っているであろうところ、ミモザには特に意味のない報告であった。そして今日、正式(?)な婚約破棄宣言をされてしまい、ミモザは屈辱を感じている…「一つだけ忠告しておきます殿下。おバカな殿下がカミラ嬢と婚約なさるのなら、今後国の存続に関わると」わけではなかった。
「この婚約破棄を持ってして、我が国・ノバイシュタインとアバロンは戦争となりました。それでは皆様、ごきげんよう」最後に一番美しい笑顔を見せ、ミモザは会場をあとにした。