婚約者10代目
「な、なんでいるのよ、私の婚約破棄10代目が!!」
そこにはいた、ヤツが。
私に婚約破棄を申し出てきた10代目、アレン!!
ドS感が半端なく、まさに俺様感がすごい。いや、すごいという言葉では片づけきれないほどだ。
「やぁ、久しぶり、レイラ。」
ニヒルな笑みを顔に浮かべながら私の名前を口にした。
「ひ、ひさしぶりね、アレン。」
一方、私は引きつった笑みを浮かべているだろう。
アレンがとても余裕そうで物凄く腹立たしい気持ちになる。
今は、コイツをかかわりたくない。せっかく、天敵ともいえるお料理を克服すると決心したのだから。
コイツといると、その勇気がしぼむような気がしてたまらない。
「レイラがここにいるなんて珍しい。また、人に迷惑をかけるのか?」
「っな....!」
いや、なんで今、その話題を出す!?
空気読めよ、!
メアリといい、アレンといい.....どいつもこいつも、私の痛いところをついてくるわね。
そんな令嬢とはかけ離れた感情を押しつぶし、できるだけ衝撃を与えないように優しく、丁寧な口調で私はしゃべった。
「あら、迷惑をかけるような真似はやめたわ。今回はね、迷惑をかけないように修行をするの。」
アレン、わかるかしら?この、私の圧が。
嫌なほど圧をかけるわよ?
私の苦しみを味わいなさい!
「ハハッ、笑わせるな、レイラ。」
わ、私の圧を感じ取っていない!?
何事かしら。
「お前が迷惑をかけないようにする?そんなの無理に決まっている。」
「......」
そんなこと言わないでよ。
涙が頬を滴る。やだ、いやだ。こんな弱い姿、見られたくない。
そんな時
「アレン、君には失望したよ。」
誰かが、アレンにそう言い放った。
「え....?」
私には、まるでお伽話にでてくる王子様に見えた。