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まえのおはなし

冬の童話企画投稿予定作品となります。


完結しだい、企画タグをつけますが、前後編で終了の予定です。




 さむいさむい冬のまちにはふたつきにいちど、ほうき星のせいれいがやってくる。


 ほうき星のおっぽから、くだけた星がゆきのようにふってくる。そんなふしぎなまちのおはなし。



 ポチャムがいつものようにまちの広場で遊んでいると、まがりくねったかしの木に大きな輪っこをつけて、木でできたお馬さんにひかれた馬車がやってきました。


挿絵(By みてみん)

 

 「あーっ、おばばの馬車だっ」


 ポチャムはやってきた馬車が何か知ってるみたい。


 ポチャムのまわりにいた雪ん子のしまいと雪ダルマのきょうだいたちは、気になってポチャムにきこうとおもったけど、そのまえに馬車が目のまえでとまっちゃった。

 


 「おー、ポチャムじゃないか、元気にしとったかい。おともだちができたんだねー」


 馬車からおりてきたのはしわくちゃな顔をもっとしわくちゃにしてやさしそうにわらってるおばあさんと、ぬいぐるみみたいな布のからだをして、とってもきれいな服をきている大きなくまさんでした。


 「うん、おばばも元気だったー。今日はぬいぐるみのくにの王子様もきてるんだね」


 ポチャムが元気にはなしていると、雪ん子しまいのミーヤとサーヤがきいてきます。


 「ぬいぐるみのくにって、生きてるぬいぐるみばかりのくにのことでしょ」

 

 「このおばあさんはだれなの」



 すると、おばあさんが雪ん子しまいにこたえます。


 「おばばはね、ぬいぐるみのくにのお医者さんなんだよ」


 雪ん子しまいは顔をみあってから、お医者さんっ、ってびっくりしました。




 大きなくまさんのすがたをした、ぬいぐるみのくにの王子様はポチャムの前にくるとあたまをさげてお願いをしはじめます。


 

 「ポチャム、いもうとがまたからだをこわしてしまってね。おばばといっしょに冬のまちのとなりにあるこおりのもりのダンジョンへと行くんだが、またてつだってくれるかい」


 「えっ、アルマちゃん、またぐあいわるくなったの。うんっ、てつだうから、はやくアルマちゃんをなおさなきゃね」



 すぐにへんじをして、雪ダルマのきょうだいと雪ん子しまいとエイエイオーってはしゃいでるポチャム。




 こおりの木のもりは冬のまちのとなりでこおりでできた木がたくさんたくさんあります。


 このもりはこおりのダンジョンってよばれていて、もりのまん中までいくと、一本だけ、こおりじゃないリンゴの木がはえてます。



 「おばば、きょうもこおりのリンゴをとりにいくの」


 「そうじゃね、ほかにはこおりの木の葉っぱももってかえったり、こおりの木の実ももっていくよ。あとはフローズンスパイダーの糸もね」


 「大冒険だねっ! 」



 「ほっほっほ、そうじゃな」


 おばばはわらいながら、乗ってきた馬車にまほうをかけます。かしの木はみるみる小さくなって、ちっちゃなたねになっておばばのローブのポケットにはいってしまいました。

 木のお馬さんもほうきにかわるとフヨフヨとうかんでおばばのそばまでやってきます。


 ほうきにちょこんとおばばがすわると、ついにこおりのもりへとしゅっぱつです。



 

 冬のまちをでたポチャムたちはこおりのもりへと歩いています。ポチャムはとなりでほうきに乗ってとんでいるおばばにききます。


 「おばばはなんで、こおりのもりの葉っぱや実をもっていくの」


 「ん、それはじゃな。ここをとおるほうき星のせいれいがふらせるゆきが、せいれいのちからをすこしだけ、もっているからじゃよ。こおりのもりの木はそのちからでせいちょうしとるから、それをかりるとぬいぐるみたちにいのちをあたえることができるんじゃ」


 「ふーん、じゃあ、ぬいぐるみのくにの人たちはおばばがお母さんなんだね」


 「ほっほっほ、そうじゃな。おばばがつくってはいのちをこめた者がはじまりじゃ。じゃが、いまはぬいぐるみたちがじぶんで子どもをつくってはいのちの木からたましいをはこんでおるんじゃ」


 「わたしもいもうとも母がぬってくれて、父がここから木の実をはこんでくれたんだ」


 おばばがポチャムにはなしてくれて、それにぬいぐるみの王子様もくわわります。


 「そっかー。じゃあ、アルマちゃんをなおすのにももりのちからがいるんだね」


 「そうじゃな。さて、そろそろもりにつく。じゅんびをしようかの」


 「うんっ! おばばのまほうだね」


 もりのまえまでやって来たので、おばばはポチャムたちにまほうをかけてくれるみたい。


 


 「めぶきのねむりをさますかね」


 「ことほぎとかねをならすとしよう」

 

 「いわいといのりにこたえなさいな」



 おばばがほうきをくるくるとまわして唱えるとポチャムと雪ん子しまいは小さな子どものすがたから、りっぱなおとなのすがたにはやがわり、雪ダルマのきょうだいも大きくなってぬいぐるみの王子様よりおっきくなっちゃった。


 「やっぱり、おばばのまほうはすごいねー」


 ポチャムたちはおおはしゃぎ、さぁ、もりのなかにはいっていくよ。




 こおりのもりに入ると、おばばは雪ダルマのきょうだい、雪ジロウと雪サブローにぬいぐるみの王子様へこおり杉の葉っぱをとるために木をたたいてとお願いします。


 「あんまりつよく叩くとこおり杉がおれちまうからね。葉っぱがおちるくらいに叩くんだよ」


 「まかせといてー」


 雪ジロウに雪サブロー、ぬいぐるみの王子様たちはこおり杉の太い太いみきにはり手をしていきます。パラパラとおちてくるこおりの葉っぱは針のようにツンツンしてます。


 「よしよし、これだけあれば十分だね。ぬいぐるみの王子はりっぱな剣をもってるさね。ポチャムと雪ダルマたちに剣をつくってあげるかね」


 「うん、ぼくは剣がいいっ! 」


 ポチャムはおばばに答えます。


 「ぼくたちは剣より、ハンマーのほうがいいな」


 ちからもちな雪ダルマきょうだいはハンマーがいいみたい。


 「わたしたちにはないのー」


 雪ん子しまいも何か欲しいのかな。



 「ほっほっほ、じゃあ、雪ん子のじょうちゃんたちにもつくったげるよ」


 「わるいけど、王子、こおり杉をいっぽん、たおしてくれないかい」


 「おやすいごようだ、おばば」


 そう言うと王子様はちかくにあるこおり杉にたいあたり、かんたんにたおしてしまったよ。


 「ほっほっほ、つよいのー。さてでは」




 「かたちあるものに名を」


 「名のあるものにはたらきを」


 「おまえさんらにかりそめのなりわいを」



 おばばが唱えながら、こおり杉の葉っぱやたおれたみきにほうきをむけると、たちまちに葉っぱはきれいなこおりの剣に、みきはとってもおもそうなこおりのハンマーに、こおり杉の実はかわいらしいすずとベルになっちゃった。



 ポチャムは剣、雪ダルマのきょうだいはハンマー、雪ん子しまいはすずとベルをうけとって、みんなとってもうれしそう。



 「さぁ、もりのダンジョンをすすむにはこおりのモンスターたちをたおしてかなきゃなんないからね。がんばって行こうさね」



 ポチャムたちはせんとうにポチャムと王子様、まん中に雪ん子しまいとおばば、うしろに雪ダルマきょうだいがならんで、もりのなかをすすんで行くよ。


 

 「さあ、こおりオオカミがきたみたいだよ」



 おばばが言うと、まわりのこおり杉のあいだからこおりでできたオオカミたちが出てきます。


 「さあ、雪ん子のじょうちゃんたちはおばばをてつだってくれるかい。わるいけど、そのあいだはまかせたよ」


 おばばのことばに、みんなは、はいってへんじをして、ポチャムと王子様はまえからきたこおりオオカミを、雪ダルマきょうだいはうしろからきたこおりオオカミたちをたおしていきます。


 「さーて、じゅんびができたよ」


 おばばがそう言うと、雪ん子しまいはベルとすずをならしてうたいはじめたよ。


 やさしいうたごえがとってもキレイなベルとすずのねいろにのっかって、あったかな風がふいてきた。



 あらあら、ふしぎだね、こおりオオカミたちがグースカねむりだしたよ。ポチャムたちに叩かれて目を回してたこおりオオカミもスヤスヤねむってる。


 「よーし、ねむりのまほうにかかったようだね。雪ん子のじょうちゃんたちはおうたが上手だから、こうかバツグンになったよ、ありがとね。それから、おとこしゅうもよくやったね、ありがとね」


 おばばにほめられて、ミーヤとサーヤはエヘヘってテレててかわいいね。




 もりをすすむポチャムたち、王子様が手をあげてみんなに止まるように話し出したよ。



 「こおり杉じゃない、あるき杉の匂いがする」


 

 ヒクヒクとおおきなお鼻をならして、王子様はゆびさします。あるき杉はこおり杉にとってもにてるけど、こおり杉とちがって、ねっこをつかってあるくんだ。


 あれとあれと、あれもそうだとゆびをさしていく王子様に、雪ダルマきょうだいはのっしのっしとすすんでいってハンマーをかまえたよ。


 とおりかかるひとにイタズラしようとしてたあるき杉たちはおおきなハンマーをかまえてる雪ダルマたちにびっくり、叩きわられちゃこまると、ぐにゃーんと曲がってごめんなさいしてるみたい。




 王子様があるき杉にきづいたおかげで、イタズラされずにズンズンとポチャムたちはすすんでいくよ。




 「やっと、ついたーっ! 」


 もりのまん中、いっぽんだけ、リンゴの木がはえてて、そのまわりはひろーくひろーくあるき杉もこおり杉もない広場になってるとこに、ポチャムたちはついたよ。


 まん中のリンゴの木はふつうの木で、ただなっているリンゴはこおりとゆきでできたまっしろにひかるキレイなゆきリンゴでこおりのリンゴってよばれてるよ。


 おばばはいくつかこおりのリンゴをもぐと、きているローブのそでにポンポンといれていったよ。



 「あれ、おばば、フローズンスパイダーの糸っていってたけど、フローズンスパイダーってどんなモンスターなの、ぼく見たことないけど、もりにいるんだよね」


 ポチャムはおもいだして、おばばにたずねたよ。


 おばばはポチャムをみると、あたまをなでながら、答えてるね。


 「よくおぼえてたの。フローズンスパイダーはこのいのちの木のなかにいるんじゃよ」


 「えっ、なか? 」


 「ポチャムたちはあぶないから、すこしはなれていなさい。王子や、ポチャムたちをすこしまかせたよ。今日の大冒険のだい2だんといこうかね」



 ポチャムたちは言われたとおりにはなれていって、ワクワクしながら、おばばを見ているよ。


 さぁ、何がおきるんだろうね。



 

 



 


 


 


 

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― 新着の感想 ―
[良い点] こんばんは! いつもお世話になっております。 いやぁ、素敵だなぁ・・・。 美絵子ちゃんといっしょに読んだ絵本を思い出します。 私も愛猫家様のような臨場感・情感あふれる童話を書きたいん…
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