仕事
長らくお待たせしてしまい申し訳ありません
寝てたりゲームしてたりで非常に多忙な毎日を送っていました、許して下さい。
これから少しでもペースをあげれるように頑張ります。
森の中をしばらく走っていると、開けた道に出た。
少し先でガヤガヤと賑やかな声が聞こえる、
どうやら近いようだ。
体中に付いた葉っぱを払いながら、道なりに声が聞こえる方へ歩く。。
10分もしないうちに城が見え、どんどんと人の波が大きくなっていく。
人混みにのまれた時には、既に街の中へ入っていた。
少し当たりを見渡し、街の全体図を見つける。
街の名前は礎静町
数ある街の中ではかなり大きく、発展している。
中心に城が立ちそれを囲うように丸い円形の大きな街が広がり、その中で様々な分野の技を持つ人がひしめき合い、織物や染物、陶器や歌舞伎、賭博、見世物小屋…数多の工芸品や趣向品、多くの娯楽がこの街一つに集まっている。
中でも驚きなのは、街の北東部、その半分程度の区画遊郭として機能させて、その区域にも一つの城が点在している事だ。
「……ふむ…」
軽く空を見上げる、日はまだ高い位置にある。
かなり広い町だがその分、仕事も見つけやすいだろう。
まずは街の看板やらを探して、仕事を募集しているか、それが無理なら片っ端から声をかける気でいる。
(今日は何がなんでも布団で寝る)
辰之助がそんな考えを巡らせていると…
「そこの兄ちゃん、旅の人かい?」
椅子に座っていた男に声をかけられる。
少ししんどそうに立ち上がった男は僅かに右足を引きずりながら、こちらに近づいてくる。
恐らく四、五十代やそこらの年齢、六尺は超えた上背に、服装は法被にふんどしだけつけており、ガタイは良く、腹が出ている、パッと見は力士の様な佇まいで、いかにも力仕事を生業としてそうな男だ。
例えるなら事故とかで足を怪我してしまった現場の親方、みたいな印象。
「まぁ、そんな所だ」
少しはぐらかす様に答える。
一部を除き、伐魔士という存在は世間にはあまり浸透していない、知る人ぞ知る、と言うと聞こえは良いが、裏を返せば普通の人はまず信じない。
1度聞いたらすぐに消える噂程度、面白くない都市伝説の様な感じだ。
そんな事は勿論の如く知らない男は話を続ける。
「気ぃつけろよ、何でも最近、刀を盗る奴がいるらしい」
「刀を…?」
「そうだ、太刀とかも盗むらしい」
盗っ人自体は珍しくない、特に地に足がついてない旅人だと、そいつが被害にあっても、あまり真面目に相手にされず、追われる可能性も低いからだ。
だが、刀だけを盗むのは聞いた事がない。
確かにそれなりの値が着くことが多い、だが短刀や懐刀ならまだしも、太刀なんかは盗むにしては重くて不便だし、何より目立つ。
そんな物を盗むのは、相当な馬鹿か余程の腕を持つ盗人だけだ
「だけど大マヌケらしい、盗られた刀が落ちてきて、結局盗まれた奴はいないってよ」
どうやら馬鹿の方らしい
「何人かは逃げる時、違う、と囁いてたのを聞いたって話もある」
「どういう意味だ?」
「さぁな、ま、気をつけるに越したこたぁねぇって事よ」
「…そうか、一応覚えとく」
「おう」
それとなく話を合わせ、いよいよこちらの本来の目的、仕事と今夜泊まる宿を探している事を話す。
「そうか、よし!ならうちに来い!」
まさかの答えが帰ってくる。
「実を言うとな、俺はその辺で人を集めて働かせる仕事をしてんだ、今日もそれなりに仕事が有り余ってる、だからお前に声をかけた」
願ってもない申し出だが、都合が良すぎて逆に不安になる。
「何の仕事だ?」
揺さぶりをかける意味も込めて、少し踏み込んで聞いてみる。
「色々してる、大工とか飛脚とか…まぁ、肉体労働が多いな。」
「それは、素人が手を出して良い奴なのか?」
「何とかなる、出来る奴と出来ない奴に分けるしな!」
本当に何となるのかは不安が残るが、どうやら怪しい仕事ではないようだ。
「…そうか、確かに丁度良いな、体力には自信がある」
「言うじゃねぇか、期待してるぜ」
「今日だけだが、宜しく頼む」
「おう!」
差し出された手を握り返し、握手を交わす。
「お前さん、名前は?」
「長陽 辰之助だ、そっちは?」
「嶋田 歳典、よろしくな、若いの!」
「……名前で呼ばないのか…」
騒がしい男だが、悪い奴では無さそうだ。
がっはっはっと大声で笑う男に肩を叩かれながら、街の中へと歩みを進めた。
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