魅惑のお部屋♡
部屋にはいっつもコバエが ふい~ん‥‥って飛んでいる時期があった、ある年の夏の俺んち。
*プロローグ 数年前の思い出*
一体何が原因なのだ? こんなこと今まで一度も無かった。
ソファーでくつろいでカフェオレなんか飲んでりゃ目の前をふわ~んと横切るアイツ。
本読んでりゃ憎たらしいことに、開いたページに止まってうろうろ。
ふと、ガラス越しに空を見れば、窓ガラスの上をうろうろ歩くあの野郎。
食事中なんてマジ油断なんない。それは緊迫の時間。俺のご飯に止まられたら俺の敗けだ!
もう、嫌だ! これって異常!
今年は日本中、ショウジョウバエ大発生?‥‥‥なーんてニュースは聞いてないぞ?
原因は掴めないまま、もやもやと数週間が過ぎ去った。
ある日、俺は偶然にも、俺んちショウジョウバエ大量発生!の謎を解明した。
──さあ、真実はいつも一つ。なぜか当ててみろ!
*ヒント*
1 家には大変がさつな人が1名ほどいる。
2 ばなな
3 運悪い
聡明なあなたは、もう察したはずだ。
*解明編*
半分窓にかかって壁際に押し付けられて置かれてるカウンターテーブルの裏側に、なーんか謎の真っ黒い物体が。
そしてそれにはおびただしい数のショウジョウバエさんたちが集合していらした。
カウンター裏は、いろんな配線やらコードがコンセントに集中し、ごっちゃごっちゃしている場所で、そのごちゃごちゃに黒き物体がひっかかってた。
床まで素直に落ちてたらすぐに発見出来てたのに‥‥‥
しかもすぐ横は窓。そこ、建て付け悪くてきっちり閉まんないのよ。わずかに隙間が‥‥‥
不運。
*考察編*
その時、家には彼女ひとりきりだった。
彼女の名はガサツ。
こんな時間まで寝ていたらもうブランチだ。ガサツは何を食べようか辺りを物色した。
「あ、バナナある。あと2本じゃん。1本もーらいっ!」
ガサツは2つ繋がったバナナの片方をもぎ取り、もう一方はカゴに戻そうとしたが、置き方すら がさつなため、それはカウンターテーブルの裏側に落ちてしまった。
「あ、やらかした。いいや、今忙しいから後で拾えば。後はコーヒーとパンと卵焼こうっと」
──『後からやる』
その言葉は一番信用ならない言葉の筆頭である。
そのままカウンター裏に落ちたバナナの存在は忘れられた。
*エピローグ 魅惑♡黒バナナのお部屋*
『よお、最近見つけたいいとこ案内するぜ! 俺について来な』
『おっ、いいねいいね~。どこよ?』
『そこのパーティー会場メシ最高だし、めっちゃ流行ってるからさ、仲間がもういっぱい集まってんぜ? かわいい子もわんさか集まってるからさ』
『マジかよ? 早く行こうぜ!』
俺、殺虫スプレー散布 ( ・∀・)r鹵~<≪巛、;'.・
浮かれたやつら、殲滅 ( ゜Д゜)b
自分、ショウジョウバエだけはすっごく嫌いになったからな。Gよりも嫌いだ!
φ(`д´)