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【第5話】

勇者をボッコボコにし、ちょっと気が晴れたこの頃

アイツに改心の余地がないのは明らかになったので…… 徹底的に制裁していく


まずはこの街の隅から隅まで”洗浄”しなきゃね。耳を澄ませば……罵声と悲鳴……これはひどい



「おらよぉ!! とっとと股開けやゴラァ!!」


「い、いやっ……」



私が飛んだ路地裏の近くでは、まさにこの様な会話がなされている

兵士も見てみぬふり、ましてや自身が加担している場合も…… 前もそうだったが、この国の秩序は著しく崩壊している

未成年飲酒/喫煙、数多のわいせつ行為、賄賂、賭博、殺人なんて日常茶飯事……

……来る時代と場所間違えたか?

そのころ城の中では……数々の御馳走と眼を見張る財宝、豪華な家具にピンクな声……

やはりあんなヤツ勇者にするべきじゃなかった…… 流石に見る目がなさすぎだが、転生させてしまったものはしょうがない。地獄はないけど、擬似的に地獄を味わわせることはできる


とにかく、目の前のこの状況を解決するか……


「はぁ……『裁きの神雷』」


「な、何だお前――って、俺の腕が? う、動かない!?」


「その汚いモツも一生使えなくできますよ」


「す、すまなかったぁ! 自首、自首する!」


そう言って男はズボンとパンツを履き直し、路地裏から出ていった。ズボンとパンツを履きながら出たので、不審者判定で即お縄になったようだ


「……大丈夫ですか?」


「あ、ああ……」


恐怖で言葉がでなくなっているな。 とりあえず……


「……!? お、おい! その女性に何をする! 服もはだけてるし―――」


運命で見回り人を呼ぶことの一番のデメリットは、最初に自分が疑われることだ


「さっき捕まった人が犯人ですよ。ってかあなた、昨日の……」


「……? ああ! あのクソ野郎のアジトを暴いた人!」


なんかよく惹きつけられるっぽいな、この人


「あなたなら信頼できます。 さ、この方は保護しますので」


「じゃあ頼みました。 くれぐれも、町中を女性一人で歩かないでくださいね、せめて護身術とか軽い魔法を覚えておくとか……」


軽く被害者女性に忠告しておいた。この治安じゃ、一人で外に出るのも無理だろう……

一刻も早く、この国を良くしたいところだが―――


「……!! あ、あなた! フェロスさんですよね!!」


聞いたことのある声が聞こえる。振り向くと、ベールさんと手を繋ぐもうひとりの姿が


「ああ、ベールさん。お久しぶりですね。一緒にいるのは……シルクさん!?」


「実は夫婦でして……妻を救ってくれて、本当にありがとう!!」


「あなたの妻ということなら……私をここまで連れてきてくれたお礼だと思ってください!」


夫婦だったのか……プライバシー上、他人の情報をむやみに覗くことはできない。 ちゃんと正規の手順をふまなければならないのだ


「商人協会の皆も、あんたに感謝でいっぱいだよ! 来たときには、手厚くもてなすぜ!」


「いえいえそんな……」


と言っても、私が居なかったら、確かにあそこは地獄と化していただろう


その後しばらく会釈を繰り返し、私は二人と別れた

……しかし、まだ問題は山ほどある

次は何しようか…… よし、ブラック企業を片っ端から潰そう!

実は天界もかなりのブラック。 上司はウザいしキモいし、同僚も無能ばかり…… ろくにお告げをしない奴とか、間違って文明を1つ壊滅させたりとか……本当に嫌になる

なので、この世界で憂さ晴らしすることにする!

幸い(ではないが)今ならブラック企業がわんさかある。 もちろん平和的には面倒くさいので……


「分身出して……向かわせる」


各地のブラック企業に私の分身を向かわせる。今頃侵入者が来たと、騒ぎになってるだろう。 私も試しにどこかへ行ってみるか……








「ぶ、部長……もう3日連続夜勤ですよ……」

「た、タイムカードを……」

「前が……見えない……」


「なんだと!? このくらいもできないとは……クソめ!! これもやっておけ!!」


……ひでぇな。 会社の外見はかなり整っていて、儲かっていることが推測できる。 玄関口に貼ってあるポスターには「アットホームな会社です。自由な職場を目指して!」だって。漆黒じゃねぇかよこれ……

私はドアを蹴破り、中へ入る。警報が鳴るが、関係ない


「な、何者だ!? 労基か!?」


「また……トラブルですかぁ…?」

「労基じゃないですよねぇ…?」

「労基ならいいけどなぁ……」


社員はぐったりとし、目にはクマ、机の上には大量の書類とハンコ、エナジードリンクの空き瓶が転がっている。上司は若干ハゲじみで、健康そうだ。そんなこともお構いなしに、私は上司(多分社長ではない)に向かっていく


「お、お前ら! 助け―― むぐぅ!?」


「散々こき使っておいて、これとは…… 社長はどこですか?」


「う、上の階! 上の階に居る!!」


あっさり吐いてくれて、嬉しい限りだ。まあ、こんな奴が他人を守ろうなんて考えないと思うが

私はとっとと上の階へ行き、”社長室”と書かれたドアを叩いた


「ん? 客人かね――!? 何だ貴様!?」


そりゃあローブをまとった旅人が普通に入ってきたら、そんな反応になるわな


「し、侵入者発見! さあ、任務の開始だ!」


ボディーガードと思われる大男二人が現れる。 ボディーガードを雇える金があるなら……ねぇ?



「食らえっ!!」

「くたばれッ!」


殴りかかってくるが、軽く避ける。この腕からすると、まだ素人の範疇だろう。おそらく値段重視で雇ったのか……


「『闇夜の束縛』……この程度ですか?」


床から光つつも輝く液体が出て、男達を拘束する


「クソッ! 離れろっ!」


「う、動けん…!」


早々に決着は着いたようだ


「お、お前ら! 金を払ってやってるんだ! 助け――むぐぇ!?」


黒い手が社長の首を締める。窒息はさせない程度だ


「一週間の平均残業時間……100時間ですか。しかも最低賃金ギリギリ、残業代も出してないし、脱税まで……ふむふむ」


「な、なぜそれを!!」


「あ、認めましたねぇ…… 録音しておきました」


音は空気の振動。風魔法を利用すれば、紙などに音を保存できる


「証拠も取れたんで…… 覚悟の程をよろしくお願いしますね」


「い、いきなり何だぁ…!」


まあ、いきなり謎の人物がカチコミに来て、ブラックな証拠を抑えていくって、軽くホラーな気もする

私はそのまま玄関から外へ出て、近くの騎士団支部に通報した

「厳重に対処します」と言っていたが…… ウラが心配だな

一応圧を出して”厳重注意”しておいた


……この街のブラック企業はほぼ壊滅したが……まだ犯罪は多い

このままやってても埒が明かないので、やはり大元を攻めるべきだろう

しかし、神だろうと一人でやってても無理だろうし…… あっ!

私はとある場所(・・・・・)へ向かった





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「クソッ! クソッ…!」


「勇者様、安静にしておいた方が――」


「黙れっ!! もっと……強く無くては…!」


アイツの力……規格外だ…!

調子に乗っていたのもあるが、今のままでは無理…!

……こうなったら、やるしかねぇな…!!


「おい、しばらく独りにしてくれ」


「はっ、承知しました」


……”仲間”か


読んでいただきありがとうございます

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なんか地味かもしれません……


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