【第3話】
「その人を解放してくれませんか?」
間に割り込み話を進める
ベールさんは宝石を握りしめ、震えてうずくまっている。
声で分かってくれてるかな?
「ん? 何だてめぇ――ってああ!!」
「……知り合いか?」
「し、知り合いも何も……コイツにやられたんだよ!」
「こんな華奢な女にやられたのかぁ?」
「……よく見たらオメェいい体してんなぁ……顔もいいし……へへっ」
「親方ぁ、コイツも持っていきましょうやw」
他の男たちも私に注意を向ける
……見くびられてるな
いつでもできるが……まあいいだろう
「で、さっさとその人を解放してくれませんか?」
「解放するだぁ? やなこったなっ!」
「そう言うと思ってました……私に殺されてもいいんですか?」
ちょっと挑発すると、私をあざ笑う声に溢れる
「こんな奴秒で仕留めてくれるわw」
「持って帰ってから存分に味わおうぜw」
「どんな味がするのかなぁ…w」
気持ち悪い……下心の塊だ
「お、おう……今回は……大丈夫だ……よな?」
……なんかごめん
とにかく敵意をこちらに向けることは成功した……
良心のかけらもない奴らに救いはない
「はぁ……『天光の意』」
「……ウッ」
男達の体を光が貫く
傷は一切ついていない、しかし次々に崩れ落ちる
「体に力が入らなっ!? な、何をした!?」
一人だけ体の感覚のみを奪い、ちょっとした尋問を行う
それ以外は意識も奪っておいた
「今すぐ殺して上げてもいいんですよ? あのゴミ袋のように」
私は路地裏に捨てられたゴミ袋に向かって光線を撃った
ゴミ袋は粉微塵になり、ほんの微かにゴミ袋だったと思われる粉塵が見える
「ヒ、ヒィッ!!」
「さあ、私の質問に答えなさい」
神の圧マシマシで言う
本気を出せば圧だけで潰せるだろう
「わ、分かった、言う! ごめんなさいっ!申し訳――」
「仲間と奴隷にした方々の場所は」
「あ、ああ、ここから西にある宿屋の地下だ! だ、だから――」
「巻き上げた金は」
「か、返すから――」
「お前らのボスは」
「お、親方はギラって名前だ! なあ――」
「よろしい……少し眠っててください」
「あ、ああ……」
「あら、失神してしまいましたね。 さ、ベールさん、行きましょう」
「え、あ、ああ……」
ベールさんを連れて路地裏を出る
……ちなみにコイツラは失神が治った後、すぐ警察が着くようにしておきました
「なんとお礼を言ったらいいか……」
「いいんですって、まだ仕事は終わってないですよ」
「……はい、どうか仲間を救ってください…!」
私はベールさんと別れ、手下が言っていた場所へたどり着いた
「うわぁ……」
これは声が出る……
多くの人が倒れ込み、向こうでは何かを運ばされている
腕や足が無いものや、傷を負っているにも関わらず、ろくな治療も受けていない者も
女性は……言わないでおこう
「……ん? なんだ、新入りか?」
おそらくギラと言われる人物側の人間が話しかけてくる
「いいえ、違いますが」
「じゃあ何のよう――ヘブッ!!」
そいつに蹴りを入れる。神パワー12%の蹴りだ。多分気絶する
「!? おい! 何してんだ!」
「や、野郎ども、かかれぇ!!」
わらわらと賊が集まってきた……
「あ、あれは誰だ!?」
「奴らを一撃で……まさか!」
「み、皆ー! 助けが来たぞぉー!!」
奴隷にされている人の声が聞こえる
私に気づいたようだ……もう大丈夫
「『閃光・散』」
「ぬぅ!? 何も見えな――」
「あなた達の様な者には……罰を与えます『裁きの神雷』!!」
輝く雷が脳天を貫く
もちろん殺しはしてない。ちょっと眠ってもらうだけだ
「あなた……なかなかの実力者のようで。私はギラ、この者共の”親方”をやっております」
丁寧な口調で、一番奥に居る男が話し出す
目を細め、やけにニコニコしながら話し出す
「まあ、私たちのことはいいんですが……どういった要件でしょう」
「単刀直入に言いましょう。全ての奴隷を開放し、許しを請ってください」
「それはどういう冗談で――ッ!」
軽く拳を食らわすつもりだったが……避けるとは。意外にやるようだ
「ほう……やはり素晴らしい腕の持ち主だ……洗脳して護衛にでもしましょうかね……フフフッ」
気持ち悪い
こんな人間が居るなんて、私の監視力もまだまだの様だ……
「もちろん私は貴方の要求を飲むわけに行きません……『氷槍の一突』ッ!!!」
男……ギラの前に氷が集まり、鋭い槍の形を成す
氷槍は、そのまま私に突っ込んできた
「『聖なる障壁』……それだけですか?」
「!? わ、私の『氷槍の一突』がっ…?」
愕然とこちらも見ている
並の防御じゃ貫通して一撃だろうが……思い上がられても困るんでね
「あなたの様な者には……さらなる罰を」
「わ、分かった……解放するから――」
「『斬』…!」
「あがっ……あ……」
光輝く刃がギラの体を切り裂く。肉体的なダメージは無く、精神のみを破壊した
……もちろん、お縄になった頃には正気になると思いますが、それも見越してちょっと強めにトラウマをねじ込んでやりました
「ふぅ……『癒やしの風・蘇』」
私は奴隷にされている人々に『癒やしの風』を放つ
あらゆる傷を治し、ついでに死者を蘇生させる。多分禁術レベルだ
死者の蘇生は天に反するとされるが……私には関係ない。私が天だからだ
「……ん、んん……ってあれ!? 俺は死んだはずじゃあ――」
「い、痛くない…足が動くぞ!」
「お、俺の腕が! 俺の腕が戻った!」
「皆さん。こいつらのあなた方を奴隷にした者共は全滅させました。あなた達は自由ですよ」
「じ、自由!!」
「助かった……のか?」
「……女神様じゃ、女神様の恵みじゃ!」
「女神様! 女神様のおかげだ!」
「我らへの救い、感謝いたします!」
皆が天を仰ぎ始める
崇める対象は目の前に居るんだけどね……
「では、私はこれで――」
「おいおいおい!? 何だこの騒ぎは! 主犯はお前か!」
後ろから警備員に呼ばれる。なんか怪しまれてるようだ
「いえ、主犯はこの失神してる奴らです。証言もありますよ」
「おう……そうか……ご苦労さま…?」
「では、私はこれで」
私はそそくさとその場を去り、ワープで再び大聖堂前まで戻る
「……ふぅ、今度天に戻ったら……更に目を張り巡らさなければ」
この世界の神として、不甲斐なさを感じた
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初めての無双ものなのでちょっと無双具合が弱いかもしれません……アドバイスくれたら喜びます
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