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【第13話】

美しい光の矢が、羽ばたく巨竜へ迫る。


「ルミアさん……”むやみに攻撃しちゃ”ってそういう意味じゃ無いです……」


「へ? でもワイバーンは討伐しないと……」


「何もしてないんだからしなくて良いです!巨竜が現れたら討伐ってのは被害を被った場合かファンタジー以外ありえないんです!」


ハッとした表情を浮かべ、自身の固定概念を崩されたルミアさんはそのままフリーズしてしまった。しかし光の矢は猛スピードでワイバーンへ向かっていく

あれを止めなきゃ……大暴れされることになる!私もできるだけ世界には干渉したくない!


「はぁ……『聖なる障壁・球』!」


例の最強防御魔法を、巨竜へ放つ。ほのかに光り、細かな文様が映る球体が、優しくその身体を包み込んだ。無事、光の矢は障壁に当たって分散する


「……フゥ……危なかった……良いですね、ルミアさん!」


「はい、すいません……」


ルミアさん、多分ろくに教育を受けてないな……可哀想に。そんな慈悲も相まって、優しく説教をしておいた


「早124歳の頭脳……学びました!」


「良かった良かった。ワイバーンも……あれ」


ワイバーンは何故かこちらへ降りてきている……まさか……


「……攻撃って当たんなくてもダメなん……?」


そんな心配をよそに、巨大な鉤爪が大地を抉る。地に着いた瞬間は優雅で美しく、そして次の瞬間は――


――グォォォォォッッ!!――


飛んできたときとは違う、威圧の篭った咆哮。戦闘体勢だ


「……ルミアさん、貴方のせいですよ」


「あ、あ、えっと……ワイバーン……さん?」


たじろもどろになりながら、やっとルミアさんが言葉を出す。もちろん、そんな挨拶は意味ない


「――ッ! 危ない!『聖なる障壁』!」


ワイバーンの口が開き、微かに光る。それを見切り、すぐさま魔法を展開する。ややこしい文様が開ききった刹那


「下がって!」


「えっ――」


――灰色の鱗とは裏腹に、赤い光線が放たれる。ワイバーンの基礎知識として、彼らの”魔法”が挙げられる。通常、相当な知能がないと魔物が魔法を発することなんて無い。ワイバーンも同じく知能はさほど高くない(ドラゴンはかなり高い)。そしてこちらのブレス、これは超高密度に圧縮された炎属性の魔力(・・)……そう、彼らは魔法を使ってるわけで無く、ただ単に高圧力な魔力を発しているに過ぎない。私が前に飯田にやった”ただ光属性ぶん投げただけ”と似たような感じだ


「……大丈夫ですか!」


「……無傷!」


流石は最強防御魔法、何の問題も無くブレスを耐えきることができた!ただし辺りは焼け野原だが。ルミアさんは衝撃で尻もちを付いていたものの、ノープロブレムらしい


――グルルルルルル……――


「あわわわ!食べる気ですよ!」


「いいや、あれはただの威嚇の声。反撃してこなかったから、様子を見てるようだな」


知能は高くないと言ったが、低いわけでは無い。少なくとも、頭のネジが吹っ飛んで酔いつぶれている状態の戦闘狂よりはまともな判断が出来るだろう


「……ようし。落ち着かせてあげよう」


私はゆっくりとワイバーンへ近づく。ルミアさんも空気を読んだのか、静かに見守ってくれている


「ごめんね、さあ、森へお返り」


ワイバーンの額へ手を当て、そう念じる。警戒を解いたワイバーンは、その翼を振り上げ、暴風と共に高く舞い上がっていった


「……わぁぁぁ、なんか……凄いです」


飛び去るワイバーンに、輝く瞳を向ける可憐な少女。この子にとっては、まだまだ未知なことが多いようだ






「依頼完了しました!」


協会へ戻って来ると再びゲートを通るように促される。これは覚えておかないとな。中へ入ったと思えば、隣にいたはずのルミアさんがいつの間にかカウンターに居る


「はい、完了しましたか……証拠は?」


「はぇ?」


予想外の質問に、ルミアさんがまたフリーズする。折角の顔が台無し……でもない。……まあ確かに、やったって言うだけで証明出来るようなもんじゃ無いし……多分肉とか持ってきたほうが良かったんだろうか。いや、浄化しちゃったし……


「えっと……凶暴化個体は浄化して森に返したんです!」


すかさずフォローへ入る。まあ証拠は無いわけだけど……


「”討伐”ですが」


なっ!あれだ、捕獲クエストで討伐したらあかんやつど同系統のシステムだ!キアラさんのウルトラ冷静正論が、私の心に突き刺さる


「えっと……どうしましょう。もう一度行ってきます?」


ルミアさん……そんな慌てふためかなくても……ジタバタと足をたじろがせ、細かに指が振るえているその様子は「唖然」の感情を全力で表している


「……フフッ、冗談です。ちゃんと冒険者証明証が記録してますよ」


「記録?この謎に硬い板が?」


ルミアさんが小さなバッグから手ほどの大きさの薄い板……冒険者証明証を出す。見た目はただの灰色をした板だが、尋常じゃない硬度を持ち、絶対に破壊できない謎の物体だ。これも飯田作らしい


「ええ、この証明証には様々な魔法が込められててですね。場所を特定するための探知魔法、どんな動作をしてるのか確認する感知魔法、周囲の様子を自動で確認、記録できる記録魔法などなどがかかってますね」


「そ、そんな恐ろしい物を私達は常備してるんですか……? 常日頃から監視されてる!?」


「いえいえ、ゲートを通って、再び通るまでの期間ですよ。そのためにくぐってもらってるんです。そうじゃないと、起動しないですからね」


なるほど……すげぇ便利やな。ナイス飯田……とはならん! 隣の美少女も目を見開いてはしゃいでいる


「にしても貴方……高位魔法を連発するなんて……今度昇格試験でも受けたら?結構上の方へ行けると思いますよ」


「昇格……試験! え、S級も受けれるんですか!?」


何故かやけに食い気味でルミアさんが話す。S級……もしかして……


「まあ受けれますけど……厳しいですよ?」


「良いんです!受けます!」


「じゃあ明後日の正午ほどに、お待ちしております。さてこちら報酬です。」


ルミアさんの昇格戦があっさりと決まり、報酬を受け取る。凶暴化個体は5体程浄化してたらしく、50シルバーを山分けでそれぞれ25シルバーもらえた


「初報酬……!なんか買いに行きましょう!」


「またのご利用をお待ちしています〜」


キアラさんが相変わらずのビジネススマイルで見送ってくれた。横のエルフ美少女は、めっちゃ興奮してる


「しかもS級試験まで! やる気がみなぎってきます!」


「大丈夫なんですか? いきなりS級って……」


案じる私と裏腹に、ルミアさんは肩を震わせ笑みを浮かべている。よっぽど嬉しいのだろう


「はいはい!私ならできま――すよ!」


「……そ、そうだね!」


……ほんの一瞬だけ、間を感じた気がした。一瞬、この国の空気が止まったような……そんな感覚だった。海斗よぉ……私が気づいてないとでも? フッフッフッ……







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くつろぎ始めようとしたとき、再び女がひざまずいた状態で現れる


「海斗様。本体(・・)が国民の支配に気づいたようです」


「なっ!? 気づいた!?」


バレないと思っていた……流石に雑過ぎたか、あの時は調子に乗ってしまったが……いい、まだ大丈夫だ


「……そしてもう一つ。今の貴方様なら、一部程度なら支配出来るかと」


「……なるほど? ではそうしておくか」


僕は再び……あの女神を想像する。まず支配するのは奴の感覚……僕の能力に気づかないようにしておこう。それだけで十分すぎる


「……よし、助言に感謝する」


「滅相もありません。では」


女はまた消える。僕は今度こそ深く椅子に座り、目を瞑る


……支配……きっとこのまま行けば

読んでいただきありがとうございます!

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次回、海斗視点編。更新スタンバイ!

完結へ一気に向かってます!


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