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【第12話】

「えっと……『依頼者:サリア 依頼内容:凶暴化イノシシの討伐 場所:クリスタ西草原、農地 依頼概要:私の庭にイノシシが出て畑を荒すよの…… しかも凶暴化個体! 山の方だったからいいけど、街に来たら……ああ! 早くなんとかして頂戴! 報酬:討伐数×10シルバー』……ですって。これにしません?報酬もいいですし……冒険感もそれなりにあります」


乱雑に紙が張り巡らされた壁に、針で突き刺された一枚の紙。それを指さしてルミアさんが私に問う


「まあ私はなんでもいいですよ?お金に困ってるわけではないので……」


「お金に困ってない……何か仕事を?」


やべぇ、変に口を開いてしまった。綺麗なサイドテールの茶髪が横に傾き、綺麗な緑の目が私を見つめている。誰もが綺麗な顔立ちと言うだろう


「えっと……以前たまたまワイバーンを討伐したら……そのお金で」


「はぇぇぇ!! 凄い!凄いですよ!」


ま、嘘だけど。実際私にかかればワイバーンなんて……消せる(・・・)


「じゃあこの依頼でいいですね〜 行きましょう!」


そう言って、ルミアさんは依頼の紙を引きちぎり、カウンターへ向かう




「依頼ですね〜 サリア様からの凶暴化イノシシの討伐、猪肉の納品……はい、確認しました。冒険者手帳をお預かりしてもよろしいでしょうか?」


にこやかなビジネススマイルを振りまく黒髪の女性はテキパキと作業を済ませていく。胸元には”キアラ”の文字が。同じくビジネススマイルで手帳を渡す私と裏腹に、ルミアさんはマジモン天然笑顔を手帳を渡す


「お預かりします〜 ……手続き完了しました〜 あちらのゲートに証明書をかざしてお進みください〜」


そうして私達はカウンター左横の通路に案内される。こっからじゃないと出ちゃ行けないらしい。言われたとおり、証明書をやけに目立っている石版にかざす。どうやら魔力と呼応して本人認証が出来るハイテク機械っぽいのが……私は見逃さなかった”Made By Iida”の文字を。これも現世の一品なんだろうか……


「……さあ、依頼開始です!」


ゲートを通ると、まあ至って普通の景色が広がっていた。無駄に綺麗な道路、整った建物の並び、やっぱ治安良くなったな……


「……あれ、ルミアさん?」


「フェロスさん!置いていきますよ〜」


若いのはいいねぇ……(ルミアさん124歳、私わからん)







地面は草に覆われ、木々がところどころに生えている。生暖かい風が、気持ちよく私の髪を揺らす。ザ・草原にやってきた


「イノシシイノシシ……あ、います――って、大きいですね!」


「倒すのは凶暴化個体ですし、気をつけて――」


「『煌めく崩石(ほうせき)』!」


「え、ルミアさん!?」


杖を遠くのイノシシへ向けて構えてルミアさんが叫ぶ。頭上が曇り、広がった雲海は紅く染まり始める。その雲をかき分け、怪しく、美しく光る巨石が迫りくる。見た感じはまさに隕石、実際『メテオ』とも呼ばれる。その通りに隕石を呼ぶ技……と、思われがちだが、実際は水魔法による雲の作成と岩魔法に寄る巨岩の生成、炎魔法による赤熱化による”隕石っぽい何か”を降らす技だ。昔の魔法学者が「隕石降らせてぇな……せや!それっぽいの作って隕石って言い張ろ!たくさんの属性が必要なのは”宇宙的ななんか”って言っときゃええやろ!」と、世に放ったのが始まりである

数匹のイノシシの群れに、無慈悲に直径十数メートルの岩石が迫る。そのままイノシシの群れは膨大な質量に押しつぶされる前に熱で焼け死んでしまった。ついでにあたりを焼け野原にし、残ったのはえぐられた地面だった


「やりました!」


「えぇ……もうちょっと簡単な魔法無いの?」


ニコニコでガッツポーズをするルミアさんにツッコムが、スルーされてしまった


「あ!また居ました!『天啓の遂行者』!」


「ちょ――」


杖から放たれた光線が、何本にも拡散、そのまま一匹のイノシシへ向かっていき……無数の光線によって貫かれた


「あ、居ました!『終焉(しゅえん)の――」


「ストーップ!!やりすぎ!やりすぎです!」


再び杖を構えたルミアさんを押さえつけ、なんとか静止させる。今撃とうとしてたのは『終焉(しゅうえん)の獄炎』……前私とグレン君(元気にしてるかな?)が使ったやつだね。若干発音が違かったのと、途中でやめさせれたのが救いだろうか……発動してたら、とりあえずこの畑は使えなくなってただろう


「ああ!逃げちゃったじゃないですか!」


「いやいやいや、なんでそんな高位魔法乱発出来るの! ってか畑を守ってほしいのに消し飛ぶわ!」


「でも……お母さんたちが使ってたのってこういうのだし……」


こんだけの魔法を使えるってことは、相当な上級者だったんだろう…… そんな奴らの遺伝子をフルで受け継いでたら、そりゃこんなことが出来るわな。ルミアさんは頬を膨らましてプイとそっぽを向いている。高位魔法を連発したためか、軽く汗を流し、息が荒いでいる。綺麗な茶髪から滴る液が美しい


「まああれはただのイノシシですから、こういうのでいいんですよ……」


私は左の方を指差す。そこには今にも畑の作物を荒そうとしているイノシシ……しかもドス黒い色に変色したやつだ


「あれが凶暴化個体、今回のターゲットです」


「ああ、あれですね!じゃあ――」


「私がやります!」


片手で持っていた杖を両手で持ちかけたルミアさんが言い終わる前に宣言する。「よーく見ててよ……」と言い聞かせ、両手を前へ伸ばす


「……『天光の矢』!」


『天光の矢』は光魔法の初級よりちょい上あたりの魔法。光属性使いなら必ず覚える技だ。薄黄色に白く輝く光は矢の形を型取り、イノシシへ飛んでいく。光魔法の特徴は、やはりその速さ。どんな熟練の剣士でもいなすか受け止める以外対処法がない程、光魔法は速い

そのまままっすぐ飛んでいった光の矢は、見事にイノシシを貫いた。しかし一つ疑問が浮かぶ


「イノシシがここへ居るのは凶暴化し、森からおりてきたから……しかしなぜ凶暴化?更に普通の個体も居たし……」


凶暴化自体、膨大な魔力を取り込んでしまった生物が発症するもの(人間などは基本ならない)。何かしら原因はあるだろうが、人為的に行う方法は無い。神の私が断言しよう


「……これは殺すより浄化したほうがいいですね。ルミアさんは何か浄化魔法を?」


「あ!はいはい!ありますよ〜 『清めの風』」


優しく、温かい風があたりに吹く。風魔法と合わせることで広範囲を浄化できる用になった便利な技だね。この様に光魔法には浄化・除霊的なパワーもあるのだ!この世界の神、そして光の神として、そこは誇っていいだろう(設定したのは私だが)


「あ、あのイノシシ!みるみる黒ずみが消えていきます!」


指さされた方を見ると、黒さが煙のように抜けていくイノシシの姿があった。これで依頼は完了かな?軽く汗を拭う仕草をし、伸びをする。もちろん汗なんかは掻いていない


「……なんか、遠距離からしか攻撃してないので、冒険感が無いですね」


「まあまあ……依頼は終わったから……


「ドラゴンとか来ないんですか?ワイバーンでもいいんですが……」


ルミアさん、肝っ玉過ぎません?ってか、そんなこと言ったら本当に――


――グォォォォォッ――


木々を風でなぎ倒し、遠方からそれは迫りくる。力強い二本の脚に、暴風を巻き起こすその翼、長く伸びる尻尾も、太く、破壊力を持つ。それらは青みがかった灰色の岩のような鱗に包まれており、攻撃的な形をした頭部からは、赤い瞳を覗かせ、猛々しい二本の角を持っている……


「ワイバーン……本物です……!”転写物”じゃ無いです!!」


目を見開き、口を大きく開けるルミアさん。羽ばたきで起こった風に、衣服と髪が揺られる。ルミアさんが言った”転写物””は、光魔法(または炎魔法)で紙に物体の姿を記録したものだ。ってかよく記録できたな


「本当に来ちゃったじゃないですか……」


「や……やや……」


「ルミアさん?」


口元がおぼつかなくなり、それでいてピョンピョンしている。これは、そう……



「や、やりましょう!!!!」


好奇心だ

ルミアさんは杖を力強く構え、声高らかに宣言する


「ワイバーンよ! なんで来たかは知らないけど、私が相手しますよ!」


……いやコイツ何も悪いことして無くね?古くから「大いなるものを傷つければ、バチが当たる」と言うものだ。ワイバーンも、ドラゴン程ではないが結構神聖視されてる


「ルミアさん、ワイバーンはむやみに攻撃しちゃ――」


「分かってます!『天光の矢』っ!!」






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「バロン、本体(・・)の様子は?」


僕は背後にひざまずく瓜二つの二人の女の内、一人に問う


「はい、ルミアと言うエルフの女と共に冒険者協会に入会した模様です」


冒険者協会……なるほど。まあルミアとかいう亜人を支配すればいいな


「なるほど……興味深い。」


「また、イイダもそろそろ」


順調だな……いいぞ


「……レッカ、そちらは?」


「武田の支配、完了間際です」


タケダよ……お前も落ちたなぁ。【武道の勇者】と言われたお前が


「ふむ……よろしい。各々の国へ帰っていいぞ。本体(・・)には適当に連絡しとけ」


「はっ!」


僕がそう告げると、目の前の女共は光の粒子と共に消えた


「……そうだな」


僕はゆっくりと椅子へ座り、赤ワインを嗜む


「……もうここも支配してしちゃおう」


今、ここの王は僕。つまり彼ら(国民)は……


「僕の()ってことだよね?」


その瞬間、クリスタ国民に多少の違和感が訪れ……






……何もなかったかのように消え失せた


「ま、女神は流石に無理かぁ……ぼちぼちやるよ」

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