【第10話】
新章開幕!
……私は甘いのかもしれない。未だに一人も制裁を加えることができてないし……いや、あれは飯田の根が良かったから?
昼にも関わらず、ベッドの上で涎を垂らしながら自分の甘さ(いえ、優しさです)に堪える女神です
ここは一旦落ち着いて、数日立ってから街の様子を見てみましょう……うん、そうだ
いちいち待つのは面倒くさいので、無理やり時間を進める……あまりに早く時間を進めすぎると、窓から昼夜の光が点滅し目に悪いので、違和感がない程度にスムーズな時間進めする……と、マニュアルにはかいてありました
数日後(1分後)、私は宿を飛び出し、街の様子を見に行っ――
「……えぇぇぇぇぇ!?!?」
思わず腰を抜かして声を上げて驚いてしまった。何ということでしょう、ついさっき(数日前)までゴミと危ないものが散乱し、数々の悪事が蠢いていたこの国が、一瞬(数日)にしてクリーンでホワイトな素晴らしい国に大変身したではありませんか。よく感じると、各地で兵士の取締と警備が行われており、公的な清掃員と至るところにゴミ箱まで配備。亜人保護機関を設立、教育機関も完備、政治も住民の投票制に変更し、国の鑑に生まれ変わっている……
あれ、海斗さん、あんたいい人?
いやいやいや、あいつの前世を私は知っている! あいつは……あいつは……
世の中の人を全員駒だとしか思ってなく、良心のかけらもない冷酷非道野郎だ……!!
そう、そのはず……なんだが……
一旦通りに出て、軽く散策を行う。爽やかな風が街道を通り抜け、心做しか道に生えている雑草も輝いて見える…… こんな日はお出かけに限るね!!
……お出かけっていう名前の偵察です!そうです!
綺麗に平らに整えられた大通りを歩いていると、何やら異様な雰囲気を放つ店にたどり着いた。暗くとも輝くを放つ木材でできた柱、マッド加工されつつ、メタルな印象を感じる黒で統一された外壁、意味ありげにくり抜かれた円形の穴、そしてアクセントと言わんばかりの細い一本の白線…… 人間の感覚で言う「オシャンティー」な店っぽい。長い行列を作り、出てくる人は皆、謎のボトルを持っている
昔のこの国だったら、絶対やばい店と思っただろうが、今なら安心して入れる……うん
気配を消して割り込んでも良かったが、なんか気が引けるので最後尾に並んだ
……待つこと数十分。思ったより早く私の番が来た。笑顔を崩さず、優しさを振りまく店員と思われる女性に案内され、カウンター席に着く。店内には軽やかなフットレスベースとピアノの音が流れ、微かな食器の音や、幸せそうな話し声が聞こえる
「メニューはこちらになります」
手渡されたのは小さな黒い革で覆われた冊子。開くと、丁寧な書体でメニューと値段が書かれている。どうやらここは喫茶店(Lv.100)で、人間の間で起こる「流行」に合わせた商品を流行に合わせて作り続けているらしい。メニューには、オーソドックスなコーヒーから、キャピキャピしたフルーツドリンク、甘そうなパフェに、頼む人を選びそうなコアなお菓子まで揃っている。これはこの店の歴史を探るしかないでしょう……
ふむふむ。どうやらチェーン店で、様々な国にあったようだが、クリスタの治安を案じて進出してなかったようだ。これは海斗に感謝……いや、しないぞ!
「ご注文は、お決まりでしょうか?」
先程の女性に注文を問われる。茶髪サイドテールのその様子は明らかな可愛らしさを醸し、髪の隙間から覗く長い耳は――って!
「貴方、まさかあのときの?」
「あの時……?ああ!貴方は!」
長い耳、亜人の一種であるエルフの証。この子、あの時オークションから助けた子だ!
「あ、貴方にはなんとお礼を言ったら良いか……あ、バイトが終わったらお話しましょう!」
せかせか話すエルフの女性に私はそのまま注文を伝え、先に会計する。慌ててバックへ戻っていくその姿は、見た目に反して幼さを感じさせた。エルフは通常長命で、成長が遅い。あの子ほどの年齢ならもう既に成人だと思っていたが……そんな事ないのか?
「おまたせしました。キャラメルカプチーノとシナモンクッキーです……甘いのがお好きなんですね」
数分待った辺りで、エルフの女性が注文の品を持ってきてくれた
「えっへへ……まあ最近色々ありまして……疲れてて……」
ホントだよ……トラブル続きで……はぁ…… 私は呆れ笑いを込めた表情をしていたと思う
「そうですか。じゃあ後ほど!」
私の目の前に出されたドリンクに負けない、いや圧勝するほどに、彼女は輝いていた。あの様に過ごせるのも、海斗のおかげ……いいや、私が救ったからだ!!
恐る恐るカプチーノを口に運ぶ。かつて降臨(お遊び)したときには、こんなものなかったからな……
……!! 見た目に反して、コーヒーの味が強く、ビターな味わいだ! しかしソレを包み込むようなミルクとキャラメルの優しい甘さ……
気づけば私はズズズズ……と夢中になっていた。ハッとして一旦飲むのをやめ、今度はクッキーにありつく
……軽やかに私の口の中で砕けたクッキーはしっかりとしつつも、ほのかなシナモンの香りを口に残し、濃厚な砂糖の甘さが口を巡る。すぐさまカプチーノを口に運ぶと苦さと甘さのハーモニーで幸せという幸せを感じた……
気づけば完食。至福の一時だった
「えっと……名前を聞いてよろしいですか?」
私が至福の時を過ごして2時間程たった時、裏口から私服に着替えたエルフの女性が出てきた。露出少なめで、髪は解いて若干カーリーに、やっぱかわいい。そうそう、飯田以外に対する私の神の姿の記憶は消させて頂いた。面倒くさいのでね……残念だけど
「あ、フェロスといいます。貴方は……」
「私はルミア。あの度は本当にお世話に……」
ルミア……覚えたぞ。いい名前だね
「いやいや、結局救ってくれたのは……い、イイダ……様でしょ!」
っかぁー! あいつに様とかいいたくないし! 救ったの私だし!
「いやいや、貴方があの時軽々と護衛と商人を倒してくれたおかげです」
君はいい子だ。うん
「……ところでなんでバイトを?」
そう、亜人保護機関があるんだから、色々生活保護は受けれるはず
「えっと……私、冒険者になりたいんです。そのための資金集めに」
「冒険者?なんでわざわざ……」
冒険者。協会に属し、送られてくる依頼をこなして生計を立てる者たち。依頼は個人的なものから、王家直々のものまで。活躍に応じて受けれる依頼と報酬が増えて……説明は面倒くさいのでまた今度。その仕事の殆どが、盗賊や魔物の討伐など、危険な仕事が多い。前の防具屋さんの傷を見れば、誰もがそう思うだろう
「私の両親が冒険者でして……あ、現役ですよ? 私も冒険者になれば、会えるかも……って」
「なるほど……なんかごめんね」
「いえいえ!いいんです! ……あ、せっかくなら……」
いけない部分に触れたと思ったら、ルミアさんはニコニコしながら私に言う
「貴方の強さはわかっています。良かったら、私と一緒に冒険者やりませんか?」
まさかの提案だ。私はなんか流されて「イイデスヨ〜」と言ってしまったが…… いいアイデアがある
海斗よ。お前を忘れることはない。まさかお前も、私が冒険者として生活しているとは思わんだろう
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ノリで一話書いちゃいました
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