プロローグ
辺り一面なにもない白い空間。無音、無風、無感覚、まさに”なにもない”場所だ。ここは天界、何処かの世界での死者がたどり着き、それを導く神が住まう場所。いや、正確には神の勤務先だろう。
……不快ですね。極めて不快です。
言うところの”チート能力”授けたはいいものの……なんですかこれは。
レベルカンストとか、異常な能力とか、色々したんですが……
確かに彼らはやってくれましたよ?
魔物の軍勢はほぼ壊滅しましたし、彼らの王も何度も入れ替わっています……っていうか魔物ほぼ居なくなりましたし
で・す・が!
彼らの多くは金と性に溺れ……逆にその強大な力から人類の脅威になっている!
それ故に民の殆どが彼らに屈服して……いよいよマズイ状況になっていきました。
やはりニートのクズ人間を転生させるのには反対だったんです……
でもね、私は悪くありませんよ?
上司が「大体クズニートを無双させておけばいいからw」って言うんです!
「逆らったらクビなw」って言うんです!
……はぁ… ここは天界なので、上司の言うことは絶対ですし……労基もないですし……
しかも「クズニートが無双して世界を救って英雄になって改心もして超ハッピー」っていう前例は山のようにありますし……
―――そうだ。私がいけばいいんだ
この世界を担当しているのは私。
上からも「世界を良くするためには何をしたって構わない」と許可を受けている
ならば……
……私が降臨する
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「………!!! け、啓示が! 啓示がくだされたぞ!」
「おお! 本当か! 神よ、我らを導き給え…!」
「け、啓示は……なになに……『勇者は力に傲り怠慢に陥る。世の危機を予見し、我降臨せん』……とな」
「こ、これはっ! 神自ら下界へ降りてくると言うのか!」
「あ、ありえん! しかも勇者様が怠慢だと……いや、たしかに」
「これは一刻も早く勇者様方に伝えなくては…!」
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……どうやら、私が送った啓示が届いたようだね
さて、いよいよだ
待ってろ転生者、その腐った性根を叩き直してやる!
私は下界への門を開き、自らくぐった
姿、能力、そして威厳。それらを持ち合わせたまま、私は門を通り抜け……ゆっくりと降りていった
雲から光が差し込み、神々しい何かが降りてくる
金とも銀とも取れる髪色、全てを見通す輝く眼、柔らかく透き通った白いローブ、背中に現る光の輪
容姿は10代あたりに見えるが、そのオーラーはどんな仏より強い
神が、降臨した
読んでいただきありがとうございます!
二作目です!
こちらは少し早めに切り上げる”予定”ですが……
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