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真夏の雪だるま

作者: 真夏の雪だるま

とある街に心優しき雪だるまが住んでおりました。

雪だるまは純朴で奉仕精神に優れ、街の人が嫌がる仕事を進んでやっておりました。

ですから雪だるまは街の誰からも慕われておりました。

しかし、ある日、雪だるまは外からやってきた旅人の女性が街の者とこんな話をしているのを聞いてしまいました。

「あの雪だるま、絶対に変よ。真夏だと言うのに太陽の下を平気で過ごしているなんて。きっと魔物に違いないわ。私達を油断させて襲うつもりよ」

それを聞いた雪だるまは心が傷付きました。

「えっ、僕って変なの。確かに見た目はみんなと違うけど・・・でも、僕はみんなのためにあんなに奉仕してきたのだからきっと街の者は信じてくれるさ」

雪だるまがその事を伝えようと街の者に近付くと、街の者は「キャー、近づかないで、襲われるー」と叫び、逃げ去って行きました。

「そ、そんなー。何でみんな僕の話を聞いてくれないんだ。畜生。元はと言えばあの旅人のせいだ。あいつがみんなをあんな冷たい態度にさせた原因に違いない。探して何でそんな嘘を言ったのか聞かなきゃ」

雪だるまはあの旅人を探すため街中を探しました。

それから数時間後

雪だるまは警察に逮捕されました。

「街の住民は君に襲われたと言っているのだが間違いないかね」

「僕はやっていません。何かの間違いです」

雪だるまはそう主張しました。

「でもね。ほら、これを聞いてごらん」

警察はおもむろにラジカセを取り出し、カセットテープを再生しました。

ラジカセには街の者の悲痛な声がいくつも入っていました。

「雪だるまを殺してしまえ、生かして置くな」

「私はあの雪だるまに襲われたのです」

街の者は狂気的に熱気を帯びていました。

逆に雪だるまの方はと言うと身の危険を感じ、時間が経つにつれ、次第に凍り付いていきます。

「僕はあれだけ街のために奉仕したのにあんなに簡単に手のひらを返すなんて。人間なんて信じられない」

雪だるまが自暴自棄になりかけました。ですがその時、予想外の人物が反論の声を上げたのです。それは街の子供達でした。

「この雪だるまは何もやっていないよ。僕はずっと見ていたもん」

「私も見ていたわ。変な旅人が街の人を焚きつけていたのよ」

子供達は警察に雪だるまの無罪を身振り手振りで必死に訴え掛けました。

雪だるまは子供達の言葉に感激しました。嬉しさのあまり涙しました。そしてそのままその場で溶けてしまいました。

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