………
いらっしゃい
でけた。
いや、本当は出来ていない。
形だけだ。
「…それで誰に勝つつもりだ?」
1ミリでも動いたらこのキセキが終わる。
いま、偶然自然界の魔力を操作している。
いや、自然界の魔力に似せた己の魔力だ。
魔王様は言っていた、己の魔力は使わないと。なら、これは違うのだろう。
力場の無い魔力の操作方法は意思を宿さずに無意識的に操作すること。
偶然の産物。1ミリでも動いたら維持が出来ない。
今のうちに感覚を掴みたいのだが…。
自然界の魔力に侵食されていたり操作を謝って手放したりで魔力の放出状態を実質維持していることになる。魔王様からみたらそんなとこだろう。
しかし、進展したのだ。
己の魔力から力場を消し去る事には成功した。
これを維持して内面強化をしよう。
筋力の補強は今回は抜きで、万が一1ミリ以上筋肉が膨張したら…終わる。
……よし、五感の強化は出来た。
意識の加速には1つ懸念がある。
簡潔に言うと加速したら意識したくなくてもしてしまう可能性が増す。避けたい…がやらねばならぬ!
「……終わっ」目を開けたら拳が有った。
「おはようございます」
「さっきのを自然界の魔力で出来るようになれ」
さっきのとは多分、魔力の放出だろうか、それ以外ないか。「わかりました」
「…やっぱりむっ…ずかしいです」
睨まれた、蛙の気分だ。
さっきので認識を改める必要がある。
魔力は魔力だ。
もっと詳しく、誤解を恐れずに言えば、自然界の魔力も己の魔力も同じな気がする。
己の魔力は自分の意思が宿った状態だ。
自然界の魔力には何の力場もない。
他人の魔力にも他人の意思が宿っている。
魔力を省いて現代風に考えてみよう。
誰かの意見と自分の意見が完全に一致するなんて事はありえない。最終的な意見は一致してもそれに至る認識や常識、価値観の違いで最終的な意見に辿り着く過程まで完全に一緒な訳がない。
それと同じだ。
この場合の最終的な意見が一致するとは魔法の発動の事。そこから分かるのが魔法耐性の正体だ。
魔法を論文に例えよう。
その論文に穴がありソコを付いて論破するとどうだろう。論文が全く無価値とまでは行かないが、白紙に戻ったり、意味の無い文書になる。
この場合の論破とは魔法耐性だ。
そして、論文の価値が無くなるとは魔法の分散。
そして白紙とはこれすなわち魔力の事。
魔力とは白紙だ。
そこに誰かが文字を殴り書きする事で魔法を発動させる。殴り書きしなければ白紙を自分のモノに出来ないとしたら…やっぱり自然界の魔力を操作出来ないのでは?魔王様はどうやって操ってるんだ…。
いや、考えてみれば簡単な事だ。
自分のモノにさえ出来ればいいわけで。
自分のモノにしたあと白紙に戻せばそれはずっと手元に置けるわけだ。
置けるだけでやっぱり魔法を使う時は力場が発生する。そうか、殴り書きの行為が力場の正体…はー。
なるほど…。詠唱は力場を作り出す行為となるわけだ。じぁあよくある魔術ってなんだ?
「魔王様、重要な事です…魔術ってなんですか?」
しばらく考える素振りを見せたあと少し迷いながら教えてくれた。「…魔術とは魔術陣を囲み複数人で魔法に酷似した現象を作り出す魔力の活用法と言えば分かるか?」なるほど「魔術陣ですか…はい!ありがとうございます!」
つまり、少し戻った考え方の続きになるな。
最終的な意見が一致すれば同じ魔法を放つ事ができる。魔術は魔法を作り出す過程を完全無視した魔法現象となる。複数人での発動が可能なのは個人の力場を魔術陣か何かで消し去って複数人の魔力を1つの結果にまとめることが出来ると考えれば…。
あれだ、魔術陣が会社で個人の力場が社員。
入社の動機は人それぞれだけど社員として働く事に変わりはない、なら魔術陣的には黙って働けって感じかな?こう考えると簡単だな。
つまり…無防備状態は魔術陣と同じになるのか?
……もしや最強の魔法耐性も夢じゃないのか?
社員が反対しても権力で黙らせるなんて捉え方も出来るわけだ。
なら…。「おはようございます…」
ネタ帳の整理が楽しくて辞められませんね。
時間があればまた整理ついでに投稿するかも。