第23話(ルート2
なんか勿体無かったので…、書き溜めた文を出そうとおもいます。
3日目。
アカイと名乗った女性の家の隅の方で寝泊まりしている。
急拵えで作られた木製の包み隠さず言ってしまえば檻の様な機能を兼ね備えた枯れ草込みのベットである。
寝心地で言えば、だいぶ暖かい。不満があるとすれば目の前で上等な布団に身を包んで浅い眠りについている女性が僅かばかり恨めしい程度。
昼まで檻の中で大人しく待つこともまた不満と言えば不満か。
「我々の一族の養子となる事を条件にその全てを我々に曝け出せ」と語った族長に対する返答を明日に引き伸ばしてもらうことにした。何か大切な事があったように思うからだ。
此処とは…この世界とは法則か何かが違った場所が…。
「ねぇーあなた?」
突然、そんな声が聞こえた。何か企むような媚びた声。
抗うことすら葛藤の渦へ叩き落とす声。
何処かで覚えたすんなりと声が耳に馴染む感覚。
「そのね…」
直後、嫌悪感が沸々と湧き上がってくる。
その感情は自己防衛からくるものだと理解できてしまった。
「っ…魔力の波長を合わせたのか…!」
「…そうね、なんだか凄く悔しいけどね」
「で、はぁ…何のようだ」
外に8人の監視、恐らくそれすら囮だろう。
風魔法が使えない今、生きて此処から出ることは叶わないと知っている。本能と理性が逆らうことの愚かさを訴えてくる。
感情も随分落ち着いた。
「私を娶らない?そしたら名前をつけてあげるわよ?」
「…なんて?」
「家事育児はこの村では女の仕事ですもの、貴方はひたすらに訓練と仕事を頑張ってくれればいいのよ」
「いや…」
「私こそが貴方の全てになるの」
「…意味が」
「意味ならあるわ!」
そういって、檻の入り口を塞ぐように立った。
「貴方優秀ですもの」
それは、魔力の扱いの事を言っているのか、彼女の後ろに今もなお大量に残っている金銀財宝を目当てに言っているのか。
「或いはこの村の為にお互いに依存することも容易いわ!」
「…まって!」
「何よ、まだ何か不満が?」
「そうじゃなくて何でいきなり…」
「あぁ、そんなこと?元々決まっていたし、貴方は3日もこの村の世話になっている」
あからさまな溜息が2度続くとなんか反論する気が起きない。
「一宿一飯で此処を去ることもせず、村や森の中までも自由に行動していたにも関わらずダラダラと続けて2日も滞在した。貴方の実力なら逃げ果せることももしかしたらできたかもしれないのに」
それは否定のしようがなかった。実際逃げるチャンスは多々あって、その度に残る事を選択していたのだ。
「なるほど…村の事を知りすぎたから生きて返すわけにはいかなくなったと」
「本当に理解が早くて助かるわ…二つに一つよ?私を娶って此処で村に貢献するか、森の肥やしになるか」
彼女は実際無防備である。
要するに、彼女は進んで危険分子を危険と断定する為の捨て石になったのだ。
「仕事の振りして逃げるかもしれないけど…」
「そんな心配は必要ないわ、私が妻になるのだから」
かくして、こうして俺…オツトは、族長にアカイ改め、アネカを妻として娶ることを宣言するのだった。
「夫となる人の名前ね…金銀財宝を持ってきたから金銀…言いづらいわね…夫…オツトでいいかしら?」
「…夫だからオツトなのか?」
「よくわかったわね!」
「…まぁいいかそれで」
という一連の流れがあって名前が決まったのである。
お疲れ様でした。




