18話(ルート2 仮)
いらっしゃい。
(本編ではありません)
18話(ルート2
「冒険者が何の用だ」
足跡で踏み固められた道を選んで進んでいたら見つけたのは異臭で息が詰まる広場だった。
その中央には天井から滴り落ちる湧き水とその水を受け止めている見覚えのあるツボがある。
広場は明るい。壁や床、ツボそのものが照明として機能している。
「おい!聞いてるのか!」
その声は洞窟中に響いた。
今の声を聞いて立ち上がった気配19人。
戦闘要員か、はたまたそれ以外か。
慣れた足取りで迫ってくる。
「で、お前は何の用なんだ?」
合図を送ったからか男に余裕が生まれている。
武器は
「道に迷って…」
戦いたくない。まだ殺しに慣れてない。
殺されるのは殺すより慣れてるけど、コイツらに捕まって殺されたくはない。逃げるのは多分無理だ。
地の利が無さ過ぎる。
「ンな分かりやすい嘘つくなよ」
「いや、本当に道に迷って」
「…何が目的でここに来たんだ?」
「飲水を求めて」
「そ「おいおい見ない顔だな!」
「兄貴…多分こいつハンターです」
「ハンターだぁー?」
「おい!小僧、死にたくなかったら…やっぱり帰すわけにはいかねぇな死ね」
兄貴と呼ばれた男は巨大な斧を構えて振り上げる。通常ならば、全神経がその斧又は、それを扱っている男に意識が集中する。
その為、背後から吹き矢が飛んで来る事を事前に察知してなければまんまと死んでいたかもしれない。。
「初見殺しかな?殺気がもっと薄くて気配に気が付くのが遅れてたら危なかった…」
誰にも当たらない様に吹き矢の射線には誰も立ってない。ちょうど壁があるだけ。
「怖気付いたか?」
吹き矢を故意に避けたか、探りを入れているのか。
「いや、その一撃が届かない所に逃げただけだよ」
「やっぱり怖気付いただけかよっ!」
仲間を逃がす為の行動か。
「強いな」
弱さを補う連携、逃げと同時に奇襲する為の配置に付いたのか、敗走を視野に入れた戦い方。
「褒めてもお前が死ぬのは変わらねぇぞ」
高い天井も相手に味方している。
巨大な斧を投げ付けて慣れた手つきで背負っていた大剣を軽々と構える此奴の腕力。
「行くぞ!!!」
其れが開戦の合図だと思い構えた瞬間、多方面からの一斉射撃。
勝手に一騎打ちだと思って気配感知を怠った。
「なっ…」
凝固は全ての弓とそれに付着した毒を弾いた。
「はァ…」
息が苦しい。床を見ればさっきまでなかった瓶が散乱している。弓矢と一緒に落ちて来たものだ。
「苦しいだろ?俺らはそれに慣れてるからな」
どっと嗤い声が広場から溢れた。
大きな声は洞窟中に響き野次馬が増えていく。
野次馬も油断なく武器を武装しているのが見て取れる。
「兄貴、この男はどうするんです?」
薄れる意識と研ぎ澄まされていく感覚が不快感を煽る。風魔法で周囲の毒を吹き飛ばし空気が巻き上がる。空間の魔力を全て掌握し、新しい風を招き入れる。一時的に新鮮な空気が肺を満たす。
「喉が痛たい」
更に瓶が降ってくる。
惜しみなく使われる毒物と弓矢。
「感想はそれだけかよ」
ジリジリと距離を取りながらしっかりと退路を確保している兄貴と呼ばれた男。
「俺はもう戦いたくないんだよ」
「は?」
「魔王様とか直属の配下とか強すぎなんだよっ!」
「え?はっ…伝説を本気で信じてるのか?」
「伝説?馬鹿なの?勇者の聖剣どうなってるの?」
「…1度ここは棄てるぞ!」
「なんで魔物に魔王様の魔力が宿ってるわけ?」
「トラップを惜しむな!」
「なんで転生して雑魚相手に苦しめられるわけ?」
「……」
「躊躇してるのも殺す気になれば一瞬なのも分かってる…」
「……」
「逃げないのか?」
「…足止めだ」
「提案が有るんだ」
洞窟の魔力を総動員して空気の入れ替えをする。
「複雑だな」
「…提案って何だ」
空気が新鮮になり、息が詰まる臭いも大分薄れた。
「簡単だよ、俺に従ってくれればいい」
「……」
「君達を強くして僕の安息を守る兵隊にするだけだよ」
「クロマンサー…か」
「いやいやいや、違うって!」
「じゃあなんだ?」
「俺の忠実な配下になってくれ」
「は?俺らが何者か分かってるのか?」
「山賊だろ?んな事はどうでもいい」
「俺達が素直に従うと思うか?」
「…従わないのか?」
「俺たちは金の為に動いてる…命は惜しいが、奴隷にゃならねぇ」
「別に奴隷になれとはいってねぇ」
「はっどうだかな」
徐々に息苦さが増していく。
「…兄貴っ!そろそろ!」
「なんだ?何が始まる?」
「風属性だろ?生き残れたらその提案考えてやるよ」
直後、水が広場めがけて流れ込む。
「俺と心中でもすっか?」
男の踏み締める足が次の行動を予感させる。
「逃げるのか」
「てめぇとは心中したくないんでな!」
「逃がすと思ってるのか?」
「…」
「俺は別にお前を殺す気はねぇから」
「は?おめおめと許してくれるのか?有り得んな」
大剣を床に刺し、何かを口走った直後、大剣を残して男が消えた。
魔術陣の存在を懸念していた。
魔力を込めなければただの模様にしか見えない。
「しくじった…」
床に書かれている魔法陣は大剣によって破損している。魔力を幾ら支配していてもゼロ距離で魔力操作しても発動はしない。正しく魔力を流し込まなければ妨害は出来ない。
溜まり続ける水が肌を刺激する。
「毒物か…?容赦ないな」
溺れて水を飲み込みでもしたら痙攣したり、麻痺したりいずれにしろロクでもないことになる。
風魔法で水を押している間はいい。
けれど酸素がなくなれば死ぬ。
泳いででるにしても息が持たない。
苔が天井までびっしりなのは定期的に水を流し込んでるからなのか?
「…胞子」
苔の胞子が毒の正体か?
敵を誘い入れて水責めで安全に殺す。
やがて水位が上がると、配下達が弓を降らしていた場所まで至る。
「…徹底的だな」
通り道に甲羅のような蓋がされている。
無理に外したり壊そうとすれば崩れるであろう天井。
普段は多分、蓋で天井を抑えて万が一壊れても逃げる時間は稼げるのだろう。
「…詰んだ?」
お疲れ様でした。
(ルート2です)




