17話(ルート2
いらっしゃい。
森をフル装備で抜ける。
その間に100位の事を考えたり、白い空間の事を考えたりして、思った事がある。ファンバーとそれなりに戦えた理由。
あの空間にいる存在の時間認識やその他の感覚が統一される。
だからこそ魔王様の拳を捉えることが出来た。
そして、転生した後、認識が異なる存在と対峙して圧倒されるだけの差が生じる。結果、手も足も出ない。
それと、殴ったら体が消し飛ぶ理由を考えてみた。
魔力の反発。
それは、魔力量の差が圧倒的であるからだ。
例えばファンバーを拳で殴ったら拳にファンバーの圧倒的な魔力が流れ込み、拳が総魔力量に耐えきれずに破裂する。
肉体に入り込んだ魔力が侵食する前に肉体が破裂するので魔力を失わずに済んでいると言える。
考えてみれば至極当然のことだった。
「この武器はいいな」
魔力を流し込んだだけ丈夫になる。
刃はガタガタではあるが、まだ敵を斬れる。
ファンバーから貰った忍刀よりも使い勝手が悪いけど、一応のメイン武器。
これで比較的安全な攻撃手段が手に入った。
不安、危惧される事が2つある。
魔族と魔族と思わしき人々とは話せる。
問題は人間に話が通じるか。
「言語が異なっていたらどうしよう……」
魔王様の言語が日本語とは思えない。
「村、集落を探そう」
妙案を思い付いた。
国を目指すのを辞め、集落を探す。
もう1つは、俺がこの武器を上手く扱えない事だ。
「……」
森を抜けて、参道から少し離れた地点に何かの目印を見つけ、気配感知や魔力感知に全力を注いだ結果。「盗賊のアジトを見つけてしまった」
十六人…そのうち五人が捕虜か奴隷か。
助けるか、見捨てるか、盗賊の一味に加わるのもいい。
「全体的に弱いな」
初めて見つけた人が盗賊で、全員が目も当てられない程に弱い。
話が通じるならあの盗賊の頭になろう。
そろそろ水が飲みたいし、最近悪夢に魘されてマトモに眠れてない。
元はなんだったのか、洞窟の中は入り組んでいる。
バレないように侵入し、運良く食料庫を見つける。
彼らが飲み食いしている食料から少し頂戴する。
樽の中に新鮮な水が沢山入っている。
念の為匂いを嗅ぐが無臭。
美味い。喉が潤うのが全身に伝わる。
「痛っ…」
喉の奥が焼け爛れる様な、喉の内側でつめを立てられて掻き毟られる様な容赦の無い痛みが襲う。
即効性の毒物が紛れ込んでいたのか、たまたま遅効性の毒がこのタイミングで効いてきたのか。
なんだ?どういう事だ?気が付かれていた?
分からない。1人をとっ捕まえて聞き出すしか。
死にはしないが、後遺症が残りそうな痛み。
「ぁ……ヴゥン」
喉が潰れた。魔法の詠唱は行えない。
まぁ、魔法詠唱の呪文を覚えてないが。
知恵が回る盗賊か、本当に気が付かれていたのか。
本当に喉の痛みは盗賊と関係ないのか。
距離が有るからと油断していたのが敗因か。
遠くの方で盗賊の話し声がする。
何の話をしているのか。
痛みに悶えながら徐々に大きくなる声に隠れる場所を探す。
「たっく、樽が開けっ放しじゃねぇか」
「ホントだ、あれ程樽の蓋は閉めろって忠告してやってるのによォ」
一先ず相手の話している内容が理解出来る事に安堵しながら、息を潜める。
「毒が抜けちまうだろうが」
「丁度いいじゃねぇか、"これ"が無くても飲めるって事だろ」
「俺はい……」
「ん?どっ……」
頭を殴ったら気絶した。
魔力を込めていたら頭を潰していたかもしれない。
油断している相手には魔力が必要ないのかもしれない。男が手から落とした瓶の中を飲む。
解毒薬だと信じて。
「ぁー…おぉ、痛みが引いたけど、傷付いた喉までは流石に治らないか」
他にも腹に溜まりそうな物を探したが特に何も見つからなかった。
蓋は…開けっ放しでいいか。
正面から入り込んで片っ端から倒して、ここに居座ってもいいな。
出口って何処だっけ?
「適当に歩き回りますか」
喉の痒みを紛らわせる為に声を張る。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
ルート2の方が展開的に私好みですが、そろそろ本編の方を書こうと思います。
お疲れ様でした。




