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誘われしダンジョンマスター・華麗なる学園生活  作者: 北のシロクマ
第5章:進軍、ダンノーラ帝国!
80/110

要塞港湾都市バッカス

「う~~~ん」


 休日を利用してバッカスへとやって来た私は、上空から街を一望しつつどうやって強化しようかと頭を捻る。


「そんなに悩む事ですか? いつものようにテキトーに改造すればよろしいのでは?」

「テキトーって、アンタ……」


 アイカが饅頭(まんじゅう)を頬張りながら何か言ってる。つまり私はいつもテキトーだと?


「失礼な事言うわね? そもそもダンジョンじゃないんだから、簡単にクリエイトできるわけないでしょ」


 できる事と言えば、ダンジョンで召喚した部位を現地に運んで組み立てるくらいよ。


「ですが早くしないとルミルミから催促されますよ? 魔改造されたバッカスがどうなっているのか楽しみにしてらっしゃいますし」

「それね」


 バッカスの防衛力を強化したいってルミルミに話したら、二つ返事で即OKがでたわ。

 領主の立場なら願ったり叶ったりだし、拒否する理由もないもんね。

 ちなみに現在ルミルミの邸では、紹介も兼ねてアイナお姉ちゃんを預けてたりする。

 出された茶菓子にガッついてなきゃいいけどね。ああ見えてかなりの大食いだから。


「でも困ったわね。どこから手をつけていいかも分からないし、もっとしっかり計画してから来るべきだったかな……」

「いえ、ダンノーラの方も慌ただしく動いておりますし、早めに着手して正解かと。それにアイデアが浮かばないのなら、学園の生徒達に協力してもらえば宜しいかと」

「ああ、なるほど。その手もあるわね」



★★★★★



「――という訳なの」

「「「おおっ!」」」


 さっそく学生寮に戻った私達は、知り合いに理由を話して協力を仰いだ。

 すると男子からは思いの外大きな反響が起こった。


「何それ楽しそうじゃん! 俺達でやってやろうぜ!」

「リュースに賛成! まさか街を造れる機会がやってくるなんてなぁ」

「闘技場を造ろうぜ闘技場をよぉ!」

「ゲイル君、それだと治安が悪くなる。ここは一つ、一流のデザイナーが在中する服屋を提案させてもらうよ」

「ナンパールも大概だよ。俺ならマジックアイテムのお店がいいなぁ」


 何か別の構想に変化してってる気が……。特にゲイルからエリオットにかけて。


「みんな、アイリさんを助けると思って真面目に考え――」

「さすがリュック、えらいえらい」ナデナデ

「ちょ、ね、姉さん」

「こらそこ! イチャイチャしない!」

「お、お姉様、落ち着いてください」


 何だか最近、イトさんがポンコツになってきたような気がする……。あんまり弟を甘やかさないように注意しとこうかな。


「防衛強化とかは男子に任せて、あたし達はお店の内装を決めましょうよ」

「ハッピィもさんせ~い! キャワワなお部屋を作っちゃお~♪」


 トリムとクレアまでお店を造る話になってるし。


「それならカフェはウチに任せてなの。オシャレなデザインに仕上げてみせるの」

「教会は私にお任せを。神聖なる聖域を作ってみせましょう」

「ワチキは噴水広場を作りたいですねぇ」


 あれ? セネカとサフュアはともかく、あのオリガがまともな事言ってる!?


『良い雰囲気を作って、いろんなお姉様と接触するチャンスが! キャフフフフ♪』


「――だ、そうですが?」

「だろうと思った……」


 ドローンの読心スキルにより、邪な思惑が明らかに。

 いや、寧ろそれでこそオリガだと言うべきかもしれない。


「わ、私はだな……何と言うか、その……」

「どうしたのアヤメ?」

「かかか、可愛い小物を売っている店があれば――って、何を言わせる!」


 自分で言い出したんでしょ。

 アヤメはクールなイメージとは別に可愛い物が好きっていう面を持ってるのよ。日によって変わる花の(かんざし)とかもね。いったい何本持ってるのやら。

 っていうかいい加減素直になりなさいっての。


「こうなったら女子にはお店を任せて、男子達と一緒に防衛強化策を練ってみよう」



 ――と言うわけで女子グループはアイカに任せて、まずは外壁に取りかかるため街の外へとやって来た。

 行き交う人たちのチラチラとした視線を受けながら、質素な石壁の大改造――というか、魔改造が始まる。


「まずは石壁だ。これをもっと頑丈なモノに変えるんだ」

「具体的には?」

「ズバリ、ミスリル製の壁にする!」


 ――というグラドの意見。じゃあパパッとやっちゃおう。


 シュン! 


「ははっ! なぁんて冗談――うおっ!?」

「何驚いてんのよ? グラドがミスリルって言ったんでしょうが」

「い、いや、まさか本当に召喚するとは思わなくて……」


 グラドの目の前に青白く光るミスリルの塊をドッサリと召喚した。伊達にダンマスやってないもの。このくらいは序の口よ。

 そして物欲しそう見てる商人のオッサン達、そっちには譲らないからね?


「後はミスリルの門と……あ、大砲くらいは有った方が迫力あるわね」


 シュシュシュシュシュン!


「うお! また増えたぞ!?」


 グラドって中々面白い反応するのね。まるでリアクション芸人みたい。


「けどよ、素材だけ召喚されても組み上げるにぁ時間がかかるぜ?」

「おやおや、ハーフドワーフのゲイル君じゃお手上げかい?」

「おいナンパール、テメェなら組み上げられるってのか!?」

「はいはいストップ。ちゃんと考えてあるから大丈夫よ」


 シュンシュンシュン!


「うおっ! 今度はなんだ!?」

「なるほど、自動的人形(オートマタ)か!」

「はい、エリオット正解」


 リアクション芸人のグラドは置いといて、召喚したのは10体のオートマタ。

 力仕事は彼らに任せれば大丈夫。


「グラドが思った事を命令すれば、その通りに動くわ」

「そりゃ凄ぇ! さっそくやってみるぜ!」

「面白そうじゃん、俺もやるぞ!」


 善は急げってな感じに、テキパキと指示を出していくグラドとリュース。

 ここは二人に任せて大丈夫そうね。



 続いてやって来たのは港。バッカスの東側になるわ。

 北にも海が広がってるけれど、そっちは整備されてないらしい。


「よし、北側は俺に任せてくれ。拡張して港にしてみせるから」

「じゃあ僕は東側だね。こっちも海からの侵略に備えた造りにしないと」


 北側のエリオットは設計図をサササッと書き上げていき、東側のリュックは大まかな構造の見直しに入った。

 さすがは真面目な二人。仕事が早そうで助かるわ。

 あ、そうだ!


「やっぱり軍艦も必要よね」


 ザップーーーン!


「「「!!!?」」」


 エリオットとリュックのみならず、船乗り達までが一斉に振り向く。

 沖合とはいえ、巨大な何かが現れれば誰でも驚くわね。


「紹介するわ。こっちの軍艦が大和(やまと)で、あっちの軍艦が武蔵(むさし)よ。これが目に止まれば敵も慌てて逃げちゃうでしょ」

「軍艦……ああ、軍船の事か。まさかこんな巨大な船があるなんて……」

「うん。僕も初めて見たよ」


 そりゃ2000人以上が乗り込める船なんて、イグリーシアには存在しないでしょうね。

 ちなみにこの二つ、消費したDP(ダンジョンポイント)は100億を超えたわ。

 それでも総DPは兆を超えてるから問題ないけども。


「それより二人とも、見とれてないで港の改造をお願いね」

「「分かった」」



 外壁同様に港で必要な物を召喚し、街の中心部からやや外れた場所――ルミルミの邸から少し離れた場所へとやって来た。

 家屋が建ち並んでいるけれど、そのすべては無人になっている。その理由は……まぁダンノーラの人が居たっていえば分かるわよね?


「確か闘技場が欲しいって言ってたっけ? ならここにしましょ」


 ズズズーーーン!


「「「!!!?」」」


 ゲイルとナンパールのみならず、近隣住民と通行人までが一斉に驚愕(きょうがく)する。

 何故なら、私のダンジョンにある闘技場エリアをイメージしたセットをそっくりそのまま召喚したから。

 ちなみに元の家屋はアイテムボックスに放り込んだ。処分するのも面倒だし。


「内装は任せるわ。満足いくように造り変えちゃって」

「おう! やってやるぜ!」

「フッ、美少女に言われたらやらない訳にはいくまい」


 こっちはこれでいいわね。

 さてら女子グループはどうなってるかな?


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