ゴーレムVSフルメタル
「侵入者を確認。これより迎撃に入る」
ウィーーーン
デカブツの腕が引っ込んで、代わりにガトリングのような銃が出てきた!?
ズダダダダダダダダダダ!
「グゥオ!?」
「ゲフッ! な、なんつぅ痛さや! コイツ、これまでの雑魚とは違うで!」
ザードとホークが負傷した。
あの腕の銃、見せかけじゃないわ!
「セレン!」
「お任せを~♪♪♪」
雑魚じゃないなら確実に討ち取るまでよ。
セレンの睡眠魔法なら――
「不可思議な音波をキャッチしたが特に異常はなし。掃討作戦に影響はないと判断し、迎撃を続行する」
ズダダダダダダダダダダ!
「ガフッ!」
ちょ、セレンまで!?
「アイカ、私が引き付けるから三人をお願い!」
「了解です」
相当DPを貯め込んだのか、私の眷族を負傷させるほどの魔物を召喚しやがったわね。
しかもセレンの魔法が効かないとか厄介すぎる。
これは本気でいかなきゃマズイわ。
「私が相手よデカブツ。大切な眷族を傷つけたこと、あの世で後悔させてやる!」
「意味不明。敵の掃討で後悔することは100%あり得ない」
「石頭ならぬ鉄頭ね。だったら身を持って思い知るといいわ――フレイムボム!」
ドォォォン!
フン、どうよ? 鉄屑なんかに遅れを取ったりはしな――
「お姉様、後ろです!」
「う、後ろ!?」
そんなバカなと思いながらも素早く振り向く。
すると視界に飛び込んできたのは、私に照準を合わせたデカブツの銃だった。
「キルユー!」
「クッ!」
ズダダダダダダダダダダ!
「グフッ、ガハッ、ゲフッ!」
右足に全神経を集中させ、おもいっきり地を蹴る。そして目についたコンテナの陰へと転がり込み、取り出したエリクサーをガブ飲みする。
致命傷は避けれたものの、数発は被弾しちゃったからね。
「お姉様!」
デカブツの目を盗んでアイカが隣に着地した。
「エリクサーを飲んだから大丈夫よ。三人は無事?」
「はい。現在デカブツの反対側にあるコンテナの裏におります。手当ても済んでますので、ご命令とあらばいつでも突撃可能です」
それなら――と言いたいとこだけど、このまま挑むのは危険だと本能が訴えてくる。
本来ならさっきのフレイムボムで仕留めてたはずなのに、なぜか無傷で回り込んでたのが気になるわ。
「突撃する前に教えて。奴はどうやって回り込んだの? フレイムボムが命中したのをハッキリと見たのにおかしくない?」
「わたくしにも分かりかねます。気付けばお姉様の背後にいたので、特殊なスキルがあるものと思われます」
「特殊スキルか……」
厄介ね……。
せめて鑑定スキルが使えればいいのに、鑑定できないんじゃ迂闊に飛び込めない。
ならカラクリを暴いてやるまでよ。
『ホーク、風魔法でデカブツの気を引いて』
『分かったで――ウインドカッターや!』
シュゥゥゥ!
「敵性反応確認。直ちに迎撃に移る」
弧を描くように放たれた風の刃にデカブツが反応した。
私に背を向けて走り出したところで、今度は別の魔法をお見舞いする。
「今度こそ直撃させてやる――フレイムキャノン!」
ドン!
フレイムボムより威力は低いけど、その分速度は上なのよ。
動きが速いだけじゃ避けられないわ。
スッ
「すり抜けた!?」
突如半透明になったデカブツに命中することなく、遠くの壁に着弾した。
やっぱり特殊スキルか!
「ソコだ!」
「フン、何度も同じ手は食らわないわよ!」
ズダダダダダダダダダダ!
今度は余裕を持って飛び上がり、すべての弾を回避した。
再び後ろに現れるのを見越してたからね。
「これで終わりよ!」
何となくカラクリが分かったところで反撃にでる。
多分だけど、飛び道具に対して礼のスキルが発動するのよ。
だから直接斬り下ろしてやれば――
パキィィィン!
「嘘……でしょ?」
弾かれるだけならまだしも、まさか折れるなんて……。
「敵を捕捉した。煙幕噴射」
シューーーッ!
「ゲホッゲホッ、視界が!」
このままじゃマズイ! 早くコイツから離れなきゃ――
ガシッ!
「しまっ――」
「身柄の確保に成功した」
両手をガッチリと持ち上げられ、身動きが取れない!
「お姉様!」
「アイリ(様~)(殿ぉ)(はん)!」
アイカと眷族達が手を伸ばして叫ぶ。
だけどとても救援には間に合わない。
「終わりだ。キルユー!」
「クッ! こんなところで……」
煙幕が収まると、銃口がゆっくりと向けられてるところだった。
まるで蜂の巣になる瞬間をスローで収めるかのような――ああ、そうか。これが走馬灯ってやつなんだ。
悔しい……油断してたわけじゃないのに、こんな終わり方は――
「マスターを放せ」
「右に同じ」
バキバキィィィ――ドサッ!
「イタタタタ……。た、助かった?」
拘束が解かれ、床に落下した私をルーとミリーが助け起こしてくれた。
間一髪ってところね。
「イェス、マスター。ルー達はマスターを救うヒーロー」
「ピンチで駆けつけた方がヒーローっぽいって、ホークに教えてもらった」
「……ホーク?」
デカブツ越しにホークを睨み付ける。
ま~たアイツは余計な事を吹き込んで。
「ワ、ワイよりもそのデカブツや。相手を見誤ったらアカン!」
「言われなくても分かってわよ。――ルー、ミリー、このデカブツをスクラップにしてやりなさい!」
「「イェス、マスター!」」
一度は死を覚悟した相手よ。徹底的にねじ伏せてやるわ!
「敵の新手により機体が損傷。放置するのは危険と判断。最優先で掃討します」
切断したはずのデカブツの腕――というか銃が、再び生えてきた。
再生可能とかとんでもなく厄介ね。
けどルーとミリーなら!
「足元ががら空き」
ズデーーーン!
思った通り、ゴーレム姉妹の力には叶わないのか、ルーが足を持ち上げ転倒させた。
「隙あり」
ミシィィィ!
「こっちも」
ミシシシィィィ!
続いてミリーが片腕を踏み潰すと、透かさずルーも全身を使ったギロチンを片足にお見舞いした。
「損害多数、危険領域。近距離レーザーを照射する!」
でもデカブツもやられっぱなしじゃない。
倒れた体勢のまま胸部が開き、青白い光が集中しだす。
「避けなさい!」
あれを食らったら消滅すると危機的本能が訴えてきたため、咄嗟にそう叫んだ。
「大丈夫。こうすれば――」
ベキキキキ……
「問題ない」
ブシュ!
すっご! 背中を折り曲げてデカブツの頭部を胸部にめり込ませてる。
「レーザー照射!」
ジュゥゥゥゥゥゥ!
そこへ自らのレーザーを頭部へと照射。
結果自滅という道を歩んだ。
「ガーーピーー、再起……不能……ガーガーガーピピー、再起……不能……」
自分でああ言ってるし、再起不能なのは間違いないでしょ。
「どんなもんだい(棒声)」
「報酬はスイス銀行へ。もしくはキャッシュでも可」
「はいはい。助けられたのは事実だし、好きなだけお菓子を召喚してあげる」
「「ヒャッホーーーゥ! さすがマスター、愛してるぅ!」」
割と本気で死を覚悟したからね。それに見合うご褒美は当然よ。
「但し、ガルドーラを倒した後でね」
デカブツ相手に妙に時間を食っちゃったし、さっさと先に進まなきゃ。
『総員に告ぐ。ガルメタルアーマーが破壊された。直ちに司令塔を放棄し、避難エリアへと脱出せよ。繰り返す。ガルメタルアーマーが破壊された。直ちに――』
あのデカブツはガルメタルアーマーって名前らしい。今さらだけど。
「お姉様、避難エリアとやらを探しましょう。恐らくそこがコアルームに繋がってると思われます」
「そうね。――みんな、避難エリアを探すわよ!」




