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乙女ゲームの悪役令嬢に転生しましたが、中身はアホのこのままでした【連載版】  作者: 空飛ぶひよこ


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アホのこと生徒会2

「女帝様(笑)。ちゃんと、要様から教科書借りれたかい?」


「あーうん。借りれた。……てかスケバンマッチョさん、もう数年の付き合いになるんだから、そろそろ名前で呼んでくれても良いのよ? 女帝様(笑)って言いにくくない?」


「それを言うなら、スケバンマッチョさんだって言いにくいだろう。お互い様さ……それにクラスまで一緒になったうえに、特別な呼び方までしちまったんじゃ、要様がかわいそうだろ」


「? 別に要は気にしないと思うよ」


「……鈍感っていうのは罪だね。全く。まあ、要様は要様で自分のことちゃんと理解してなさそうだから、お互い様か」


 そんな呆れたような目で見ないで、スケバンマッチョさん……! だって、そんなことまで要が気にすると思うとか自意識過剰感ぱないじゃない……! 要は確かにかわいいわんこで、私は今んとこ奴のご主人様だけど、さすがにそこまでうぬぼれてないよ……!

 そりゃ、元々は私に対するちょっとした嫌がらせとして要は「女帝様(笑)」呼びを広めたわけだから、それを途中でやめられたら多少なりとも思うところもあるかもだけど、あれからもう四年経ってるわけだし、今さら気にしないでしょ。他の人ならともかく、私とスケバンマッチョさんの仲だし。寧ろ今の呼称継続する方が不自然。……まあ、不本意ながら四年の間ですっかり「女帝様(笑)」呼び定着してしまっているから、今さら要以外に名前で呼ばれたら違和感あるのも事実だけど。私自身、今さらスケバンマッチョさんを番子ちゃんとも呼べないし。

 私の「女帝様(笑)」呼びが当たり前になっている一方で、要には、最近は「帝王」以外の不本意な渾名がつきはじめているようだ。……私にとって不本意なな!


「……女帝様(笑)、また教科書忘れたのか……」


「ああ、でも、文系Sクラスとかぶってたみたいでよかったな」


「大変だなあ……『保父さん』」


 ーー黙れ、モブ! ひそひそ私の噂をするな! 教科書忘れても私は誰にも迷惑かけてないだろ……要以外には!


 高等部に進学して高井さんの世話がなくなった結果、私の身嗜みは先ほどのように要によって整えてもらうことが、多くなった。

 その結果、要はいつの間にか「帝王」と「保父さん」二つの渾名で呼ばれるようになってしまっていたのだ……!

 

 ーーなんだ「保父さん」って! 誰が面倒見られてる幼児ですか! だいたい今は「保父さん」「保母さん」じゃなくて、「保育士」って呼ばなきゃならないんだからな! ……うん? あれ、これは前世だけだっけか。くそ……微妙に前世と違っている社会状況が憎い。そして、なんか微妙に憤るべき部分がずれている気もしなくもない。


「……ところで、今日は新生徒会メンバー発表だけど、要様は何か言ってたかい?」


「ーーあ、それだ、それ! 私、スケバンマッチョさんにお願いしたいことあったんだ」


 中等部の頃と違い、今の私は別にぼっちというわけじゃない。生暖かい目線は向けられているが、それでも要ファンクラブのみんなは今となっては完全に友達のように接してくれるし、スケバンマッチョさんに至っては自他共に認める深い友達……すなわち深友だ!(なんせ拳で築いた絆でする。そう簡単には切れませんのよ! おほほ)

 だからこそ、私はスケバンマッチョさんに頼りたい。


「あのさ……今まで要に悪いからってスケバンマッチョさん達が言って、お昼ご飯一緒に食べたことなかったじゃない? ……その、要が生徒会になったら、今までみたいに一緒に食べれなくなるから、私と一緒に食べてくれないかなーって……」


 いくら誘っても、「これが私達が要様に示せる誠意の形ですから」とかなんとか言って、一緒にごはん食べたことなかったけど、明日からぼっち飯になる身としては、これからは出来ればお昼は一緒に食べて欲しい。やっぱり一人でごはんは淋しいし……って、ちょっと図々しいかな。私はスケバンマッチョさんを深友だと思ってるけど、やっぱりスケバンマッチョさんが一番大事なのは要で、私は単なる付属品みたいなもんだし……。一緒に食べるのは私だけで、要いないし……。で、でもスケバンマッチョさんなら、きっと懐深く受け止めて………


「……無理だね」


 ……って、バッサリ振られた……! え、ちょ、実は私やっぱり敵認定されてた!? 嫌われてた!?


「馬鹿だね。そんは泣きそうな顔、しなさんな。しょうがない娘だね……。もちろん私だって、要様が本当に昼にあんたを一人にするなら、喜んで一緒にランチをするさ。だけど、まずあり得ないだろう?」


「……え。だって要は、今日から生徒会に……」


「ま、間違いなく入るだろうね……で、要様は明日から昼飯は別だと言ったのかい?」


「いや………昼も放課後も、今と変わらないと言ってたけど」


「ほら、みな。……馬鹿な心配しないで、集会を待つことだね……まあ、あんたにとっちゃ、どっちが良いのか分からないけどね」


 ??? 要と言い、スケバンマッチョさんといい、何が言いたいのか、よく分からないぞ? とりあえず嫌われてないことは分かってホッとしたけど。

 え、明日私どうなってるの?




「ーーそれでは、生徒による人気投票の結果、決定した新生徒会メンバーを発表する」


 ……結局、なんだかよく分からないまま、集会の時間になりました。

 発表前から既に周りはお祭りモード………というか、誰もが生徒会会長に要がなることを確信している。

 スケバンマッチョさんをはじめとしたファンクラブメンバーなんか、既に感涙……いや漢涙しているし。「あの要様が、こんなに立派になられて……」って、まだ要前に出てないからね! 発表まだしてないから! ……いや、どう考えても要が生徒会会長なるのは間違いないけどさ! 先走り過ぎだよ。


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