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乙女ゲームの悪役令嬢に転生しましたが、中身はアホのこのままでした【連載版】  作者: 空飛ぶひよこ


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アホのことお勉強

 先日はうっかり(肉体年齢的には)同じ年の男の子に、スカートの中というレディの秘密の花園を晒してしまった、女帝様こと鳳凰院綾華です。

 ふっ……要ったら、さすが乙女ゲームヒーロー……まさか、あの年齢でラッキースケベフラグ引き寄せ体質とは恐れいったぜ……!(え? 私が勝手に自滅したって? ははは、いやいや、それも全て要の特殊体質が成せる技に決まってるでしょう)

 ちなみに履いていた下着は、悲しいことに、よりにもよってくまちゃんパンツでした……断っておくけど、今の私の趣味じゃないからね! 記憶思い出す前の私の趣味だったのを、買い直すのも勿体ないから引き継いだだけで。(知ってるかい? お金持ちのパンツってくまちゃんであっても庶民パンツと桁二つほど違うのよ……! そんな高いもの趣味に合わないからって、私捨てられません!)

 

 まあ、そんな恥ずかめを受けたからには、やっぱり鳳凰院綾華の名に掛けて、なんとしてでも要をわんこに調教せねばならぬ。終わりよければ全てよし。要がわんこになれば、全て解決するのだ。かいた恥も帳消しなるのだ。うん。多分。きっと。


 そしてその第一歩として、まずは私の名前を呼ばせるべく、私は今とても頑張っていた。


「ねぇ。要。要ー」


「………なんだ」


「えへへ、呼んでみただけ」


「………………」


「要、要、要、要、かな……あだっ!」


「意味なく人の名前を連呼するなアホ」


 私はでこピンされた額を押さえながら、涙目で要を睨みつける。……地味に痛かった! すっごく痛かった!

 でこピンってこんな、凶悪な技だっけ!?


「何でだ……自分の名前を何度も聞かせることで、こうサブミ……あれサブマリンだっけ? ……サブなんとか効果を狙ったのに……」


「サブリミナル効果、な。お前アホなくせに変な知識はあるんだな。だがあれは、潜在意識に購買要求を根付かせるものだから、この状況には合わないだろう」


 ……君こそ、まだ10歳の癖に博識だね。うん。

 くそっ、色々企画外過ぎんだよ。こいつは。


「……まあ、そんなことはどうでもいい。とりあえず、こないだお前の学力具合を見る為に行ったテストを返却するぞ」


 要の言葉に、思わず体が強ばった。

 何故ならこのテストこそ、要が規格外過ぎることを証明するものに他ならないからだ。


 ……ほら、転生もののお約束。体は子ども、頭脳は大人故の、知識チートってあるでない?

 子どもは脳みそが柔軟だから、ガンガン知識が脳に入るうえに、前世の知識も相乗されて、ウハウハ、私天才児! みたいなの。

 私が前世の記憶を思い出したのは10歳と、ちと遅めだったから芸術関連のはあまり効果期待できないけど、勉強だったらまだまだ間に合うはず。私は言動はアホでも勉強面ではそこそこだったし、女帝様の脳みそは間違いなく優秀。だから、今から頑張ればゲームの舞台である高等部に上がる頃には、かなりの天才になっているはず!

 そんな風に思ってた時期が、私にもありました。


「取りあえず小等部向けの問題は、悪くない。中等部向けも、基礎はできてる。……問題は高等部向け問題だ。数学なんて基礎すらさっぱりじゃないか」


 ……まさか、金持ちの子息令嬢だからって10歳のうちから、数学だの物理だの、やらされると思わないじゃないか……!

 あいあむ、文系! 高校時代に理系分野は生物以外ほぼ捨てた(というか、もう完全理解の範疇超えてた)のに!


「……と、とりあえず今はせめて中等部向け応用だけでよくない? とりあえず、ほら、私中等部になったら要の学園の編入試験受けないといけないし」


 ここで、ゲームには語られてなかった新事実を皆様に発表致します。

 

【驚愕】女帝様はなんと、箱庭の虜囚の舞台である全寮制欧洞(誤字にあらず……字は変えてるけど、まんま王道学園とか笑うよね)学園の途中編入組だった!【まさかの】


 ……びっくりだよね。学園の支配者って言うから、てっきり幼等部(寮生活は高等部からだけど、なんと欧洞学園は幼・小・中・高一貫なのだ! ……どんだけ閉鎖的なん?)からの生粋組だと思ってたのに、まさかの途中編入。つまり女帝様は学園のよそ者でありながら、中等部からの三年間で、あの女帝様最上位体制を作りだしたと言うわけだ。……恐ろしい娘。

 あと、推測するに編入の理由は、きっと要よ。自分のわんこである要が、学園牛耳ってるって聞いて、それを傍から見てせせら笑う為だけに転入を決意したんだぜ、間違いなく。だって女帝様だもん。ドエスだもん。……ゾクゾクするね! まあ、私の場合は、お父様から「要くんの傍で色々フォローしてもらいなさい」って強制されたんだけどね! ガッテム!

 ……話を戻そう。そんなわけで私は、今はミッション系の男子禁制お嬢様学園の学園の五年生だったりする。うふふ。お昼ご飯は神様にお祈りしてからの、清楚なランチでしてよ。実際のところ、わたくし無宗教ですけどね!(乙女ゲームに転生させる神様が、既存の宗教の中にいてたまるか)

 色々堅苦しいし、シスターはお小言多いけど、みんななんだかんだで優しいから、離れるのは実は結構さみしかったりする。皆よく、高級なおかしを持ってきて私にくれるし。言うこと聞けたら、よーしよしって頭撫でてくれるし。(うん? ちょっと待て。これ、私こそわんこ扱いされてね?)

 ……まあ、でも要をわんこ化して、学園の女帝様として君臨する為には仕方ない犠牲だ。何よりまず、お父様による強制編入だしね!(大事なことなので二回言いました)逆らえません!


「まずは編入試験の勉強を重点的にやって、中等部に入ったら高等部向けに取り組む……それでも遅すぎることはないと思うのだけど」


 先取り学習にもほどがあるもの。何でも早く勉強すれば良いというもんでもないでしょ。うん。

 だ、断じてサインコサインタンジェントだの、ベクトルだの、ニュートンだのに取り組むのを先延ばしにしたいわけじゃないからね! つい過去の苦手意識のせいで、記号見るだけで脳みそが完全機能停止しちゃってるけど、それとこれは別なんだからね!

 内心で必死に言い訳する私を余所に、要は深く溜息をついた。


「……編入試験は全く問題ないからこそ、言ってるんだ」


 へ?

 意味が分からず、ぱちぱちとまばたきをする私に、要は苦々しい表情を浮かべた。


「アホ。よく聞け。……はっきり言えばお前は同年代の中では、かなり優秀な成績だ。高等部向けはもちろん、中等部の基礎すら正直解けるとは思ってなかったから、俺は少し驚いている。行動はアホだが成績だけは良いという噂は本当だったんだな」


 思いがけない要の言葉に、しばらく固まってから、その意味を理解した途端安堵のあまり、机に思い切り突っ伏した。


 ………だ、だよね! だって一応私中身大人だし、脳みそは女帝様製だもんね!

 金持ちの子息令嬢の勉強ってどんだけ進んでるんだ! 化け物か! って思ってたけど、さすがに10歳児には負けないよね!

 よ、よかったあああああ!

 がっつり呼び名をアホにされてるけど、今は安心したから特別に要を許してあげよう!


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