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Minato(Rina):2018-リナと王子のサラダ

作者:恋住花乃
始めて恋愛小説を書いてみました。自分のにやけが止まらないので上々だと思います。
渋谷の交差点みたいに、講義の隙間は混み合っている。木曜日の三限終わり。そんな時に僕はあの人に会えたの。
これって、奇跡だよね。僕はそう信じたい。

僕は、山梨南登やまなしみなと。もう、男として生きるのが嫌になった。高校時代、男子テニス部に居たけれど何かが違ったんだ。いつの間にか、男に対する恐怖心というか違和感と言えば良いのか、何とも言い難い何かに襲われた。男だから活発になれとか、責任を負えとか強くなれとか。そんな言葉について行けなかったんだ。僕は。本当は女子大に入学したかったけど、そんな事は出来なかったから女子の多い帝学院大学に入学した。髪も伸ばして、化粧をして仲良くなったクラスメートには、二三文字目を取って梨南リナと呼んで欲しいと言うことを伝えた。別に、性別に違和感があるわけじゃない。男子としての生き方に抵抗があるだけなんだと。

基本的にガウチョとかズボン系の服を着てたけど、女子の多い大学だから可愛い子目当ての男もいる。
「お嬢ちゃん可愛いなぁ。オレ達と一緒に遊ぼうぜ。」僕の所に五人くらいのピアスを付けた筋肉隆々のチャラい男達が寄ってきた。
「やめて下さい。ボクは男なんです。」恐怖に怯えてしまい思わず口ごもってしまった。
「あっ!聞こえねえよ。つべこべ言わずに連れ去ってやるぜ。」もう嫌だ。喧嘩沙汰に巻き込まれるなんて。
「おいやめろ。嫌がってるだろう。それでも男なのか?一輪の華も大切に出来ねえ男なんて最低だ。」運命の人が僕を助けに来てくれた。
「何だテメエ!この大学の不良サークルの執行部に逆らうつもりか?上等だやっちまうべよ。」
男達は苛ついて殴りかかったけど、彼らはその人に正拳突きで鳩尾を突かれてすぐにダウンした。それにしても不良サークルの後に、執行部といういかにも真面目そうな役職という不釣り合いで訳の分からないネーミングって……
「有り難うございます。あの、お名前は何ですか?」
「僕は、王子奏おうじかなで。文学部の一年だ。君は?」
「ボクは、登山とうやま梨南りな。心理学部の1年。」
「実は君に一目惚れしたんだ。一度食事にでも行かないか?」
「えっ?でもお礼するのはボクの方だけど」
「そんなこと関係ないだろ。これも何かの縁なんだ。じゃあ、次授業あるから。これLINEID。」その人は名刺を渡すと颯爽と歩いて行った。
「なんか申し訳ないね。ボクの声って女の子みたいに高いからさ。」後ろ姿を見送った。

「もう今日は疲れたよ。家に帰って夕食の支度をしよう。」買い出しを済ませてから帰宅した。少し勉強しようと思って心理学のテキストを開いたが、考えてしまうのだ。今日の一件が頭から離れない。
「はぁ……ボクおかしくなっちゃったかな。」貰った名刺に書いてあったLINEを追加する。
いつもの僕だったら、軽い人にはのせられないはずなのに。
彼が守ってくれたのも本当は、僕を口ではオトコだと言っているオンナノコだと思っているからかもしれない。
でも、追加せざるを得なかった。そうしないとうずうずして気持ちが悪かったの。もしかして、これが恋っていうものなのかな。

「こんばんは。登山梨南です(^o^)今日はありがとう御座いました。よろしくお願いします。」最初のコメントは僕から送信した。今の僕は、南登みなとと呼べるような男らしい男じゃない。女子力を極めるような惨めな男だ。

「宜しくね〜。追加ありがとう。じゃあ、今週の土曜日空いてる?良かったら食事したい。僕が奢るからさ。」奏からはすぐに返事が来た。何をしてもカッコいい男だなぁ。
「えっ?全部負担するの?良いよ。申し訳ないからさ。」流石に申し訳ない。男から守ってくれた上に、食事会で全部負担してもらうのは気が引ける。
「大丈夫。気にするなよ。お金なら沢山ある。でも君という存在はこの世に一つしかない。君との貴重な時間を過ごせると思えば、食事代くらい大した事ないよ。」
心臓が物凄くドキドキした。恋だと確信した一瞬だったよ。
「うん分かった。土曜日なら空いてるよ。」メッセージを送信した。
「じゃあ、リストランテ・デル・ソーレで良いかな?イタリア料理の店なんだけど。」
二人は駅に集合して食事をすることにした。
逸る気持ちを抑えて、金曜日を過ごした。金曜は3限終わりだったけど、いつにもまして90分が長く感じた。奏に会いたい。その一心で長い講義を耐えに耐えた。

翌日、オトコ活動をやめた僕でもまだ手を出したことのないメルヘンチックなドレスを着て、食事会に向かった。ついに男の娘に成り果ててしまったの。今までは長髪の男だったけど、この格好はもう完璧な女子……乃ち男の娘。もう元には戻れないかも知れない。
「奏。今から行くね。」王子君の元に行く。僕は本当のボクを曝け出すんだ。
駅まで逸る気持ちを抑えながら急いだ。初のドレスは走りにくいが、そんな事は関係なかった。
「梨南。今日は来てくれて有り難う。さあ、行こうか。」
「奏君ってす…素敵だよね。喧嘩も強くて、親切だし。」好きだよって言いかけてやめた。僕は男だよ。
「ははっ、そんなことないよ。でもそう言ってくれて嬉しいなあ。」王子君は、包容力があって。一緒に居ると安心させてくれる。一人暮らしになって数週間の僕にとっては、休息を与えてくれるような。まるで森林のように安らぎを与えてくれる存在だと感じたよ。
「ねえ。早く行こう。今日は、王子君と一緒に食事が出来るって聞いたから、朝ご飯少なめにしてきたんだ。」何か、ぶりっ子のテンプレートだと思われそうだけど、昼が楽しみすぎて食事も咽を通らなかったのは本当のこと。

「奏も女を連れてくるようになったとは、大分成長したな。分かった、注文通りサラダを持ってこよう。それまで、いつもご贔屓にしてくれているから、自家製珈琲を飲み放題で付けておくよ。コーヒーメーカーだけどね、ブレンドと焙煎は自家製だから味わうと良い。」
「マスター、僕は相変わらず、女が苦手だ。でもこいつは、何故か憎めないんだ。混じりけの無い純粋な心を持っているから、一緒に居ても気持ち悪くならない。」服装はゴシックで全身が黒い服を着ている。奏にはとても似合っている。
「じゃあ、待ってて。今から作ってくるよ。」マスターは厨房に入っていった。

「トイレに行ってくるよ。梨南は此所で待ってて。」奏はトイレに行った。
動きから何まで、華のある奏君。気になって席を立った後に、付いていったよ。
奏君は女子トイレに入っていった。過度に洗練された男らしさに惚れたのかも知れないけど、その姿を見て失望することはなく。寧ろ、もっと知りたいって好奇心を持った。ボクは男子トイレで用を足して、席に戻った。
「梨南。トイレに行ってたんでしょ。僕の事バレちゃったかな。男子トイレを使わせてしまってすまなかったね。失望してる?僕の事見て。」
「奏って、女の子だったんだね。ううん。奏の事は、男でも女でもずっと大好きだよ。あの時守ってくれたことは変わらないもん。それに、ボクだって本当は登山梨南じゃない。ボクっ娘でもないの。実は男で山梨南登が僕の、いや俺の名前なんだ。」
「梨南、いやミナト君。オレに、いや私に女子力を授けてくれませんか。」奏は半分涙を浮かべながら、ボクに言った。
「王子君、どうしたら男らしくなれるの?取り戻させて本当の俺を。」その時、ボク達は付き合うことに決めた。最初は単なるパートナーのつもりだったけど、だんだん好きになっていった。

「お待たせ、『サーモンカルパッチョのサラダ~ブラックオリーブを添えて』持ってきましたよ。お邪魔しちゃったかな。」
「いえいえ。大丈夫ですよ。有り難うございます。さあ、奏。一緒に食べよう。どっちが多く食べられるか勝負しよ!」
「うん。負けないから。」
野菜を取り合って食べる。これが異性に憧れを抱いていたボク達二人の最初の共同作業だった。







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