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無人島でエルフと共同生活  作者: わんた
エルフと始める無人島生活
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健人の心情

一人称視点でポエムちっくです。苦手な人はスルーしてください。

読み飛ばしても話はつながるようにしたいと思います。


「健人に求めている役割は時間稼ぎ。回避、受け流しを中心に体に叩き込むわ」


エリーゼの訓練は、どこぞの鬼軍曹かってほど厳しかった。

訓練中は木の棒で何度も叩かれ、アザがいくつもできたし、体力の限界を迎えて意識がもうろうとしても遠慮なし。考える前に体が動くまで、言葉通りに叩き込まれた。


 そのかいもあって、アイアンドールの不意打ちに防御が間に合った。


 エリーゼの訓練によって命を救われた形になった俺だが、助けられたのはこれだけではない。


 無人島に移り住んで彼女と出会い、同じ時間を過ごし、友人と言える関係まで仲が深まったのは嬉しかった。俺の経歴を聞いて態度を変えないどころか、話を聞いて怒ってくれる人がどれほどいるだろうか。


 今まで友人だと思っていた人間は全員「厄介ごとはごめんだ」と言わんばかりに離れてしまった。もちろん、そんな人間関係しか築けなかった俺が悪いという意見もあるだろうし、精神がタフな人たちにとっては正論だろうが、残念ながら俺はタフではなかった。


 俺を普通の人間として扱ってくれた。

 多くの人間に否定された俺を友人だと言ってくれた。

 生きる価値がないと思っていた俺を本気で心配してくれた。


 他人から見れば些細なことかもしれないけど、俺にとっては、命を賭けるに値するほどの出来事だった。


 意識が覚醒するのに合わせて、激しい金属音や爆発音が聞こえてくる。俺を見捨てることなどできずに、彼女は命がけで戦っているのだろう。俺がおとり役をやらなければいけないのに……不甲斐ない。

 横になったまま目を開くと、長身のアイアンドールの攻撃を舞うようにかわし、攻撃直後の硬直した隙を狙って、矢を打ち込んでいる姿が目に入った。

俺よりずっと、上手く戦えている。

 だがこのまま観戦しているわけにはいかない。本来であれば俺がやなければいけない仕事だ。幸い骨は折れていないようで体中の痛みさえ我慢すれば、まだ戦える。


「今すぐ……そっちに……行く」


 声を出したことで意識がはっきりした。

 教わった通りに魔力を全身に巡らせる。だが、それだと足りない。見えない器からさらに魔力を引き出すと、いつも以上の力が溢れてくるように感じた。

 思ったよりケガがひどいのか、それとも魔力を過剰に回し続けているせいなのか、立ち上がった時に大量に血を吐いて咳き込んでしまった。


「健人?」


 俺が立ち上がったのが意外なのか、驚いた顔が見えた。

 異常を察知したのか、目がないはずのアイアンドールもこちらを向いている。


「俺のことを……思い出してくれたみたいだな」


 床を蹴り、最速スピードでアイアンドールの足元まで移動すると、すぐさま跳躍。相手の頭に向けて全力で剣を振るい吹き飛ばす。


「任せろ!」


 俺の意思を尊重してくれたエリーゼは、ゆっくりとうなずくと後ろに下がった。


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