リハビリ
気がつけば八月も終わっていた、というより九月に入ってだいぶ過ぎていた。
ただひたすらの忙しさにかまけて、やれ流行のラテンダンスエクササイズにはまってみたり(一ヶ月で三キロ落ちました)、脚でスープを飲んでみたり(いまだ跡が消えず)、ワインに懲りだしてみたり、禁煙を決意してみたり(今日からです)……とにかく忙しい毎日ですっかり競馬から離れ、ブログも更新どころかサイトにすら行っておらず、こうしてパソコンのキーボードを叩いていても伸びすぎた爪が少々邪魔なくらいである。確か先週はレースすら見なかった。
あれほど夏競馬の大切さを説いておきながらなんだけれど、こういうふうに短い期間はなれてみるのもいいものだ。恐ろしくて今年の夏の収支はまだ見れないけれど、冷却期間にもなる。だいたい三連単全レース発売なんて最悪だと思いつつ、まんまと作戦にはまり、味を占めたJRAはまだ発売し続けるという。恐ろしい……と思いながらも、ん? まてよ。
季節はインディアンサマーを向かえ、競馬は中山に戻ってきている。土曜日の第八レースといえば、私が最も得意とするレースではないか。そこでも三連単が発売されているのだ。これは逃す手はない。
とは思ったものの、やはり離れていると騎手の調子や調教師の調子などがわからない。そこはもうどうしようもないと割り切り、春に使っていた表計算を開きこまごまと打ち込み始めた。
そういえば来週、馬友が現地にいくといっていた。中山か阪神か……阪神に同行して、ついでに故郷の海でも見に行きたいが、これから襲ってくる出費を考えると足が重くなる。はやく六億円ほど当たらないかなあ、と思う。私が六億円を手にしたら、六億円の経済効果があるぞと後先考えない夢物語を想像しつつ、やはり現実はせつなかったりする。
いつもつらいことがあると助けてくれる競馬に、ちょっとくらいいいことや楽しいことがあったから背をむけていた自分がものすごく悪いことをした気になる。そういえば、去年もこんな気持ちになった。それは競馬ではなく、お守りで願いを叶えてもらった神社に対してで、秋華賞で勝ったお金で、
「そうだ、京都行こう」
なんてCMみたいに思い立った。通勤ラッシュに巻き込まれるのがいやで朝一の電車に乗り、東京駅から新幹線に乗り、京都でラッシュに巻き込まれ、朝早すぎて全く京都の風情のないファーストフードでご飯を食べた。お参りを済ませてお土産を買って、京都滞在四時間、車内五時間という馬鹿な旅を決行した。それでも気分はすっきりした。
得意の第八レースは、三連単でとってもたいした金額にならなそうだった。点数だけが増えていく。買い方を考え、ワインアドバイザーとロットオブカクテルを軸に流すことにする。マルチにすれば、
「そうだ、京都行こう」
ならぬ、
「そうだ、仁川行こう」
も現実のものとなりそうな配当もある。完璧にオッズに負けている。
まあしかし、本日はリハビリということでそれだけをパットで購入し、時間が来るのを待つとしよう。うう、まだ若干力が入らないなぁ……