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夏競馬と馬券

 春の競馬が終わり、夏競馬が始まった。

 夏はお休みするというファンも多いが、私はしっかり参戦する。秋のクラシック最終戦を含めたG1を勝つにも大切だと思うし、いくつかのお楽しみポイントもある。

 まずは新馬戦。来年のダービーへの道のりはもうすでに始まっている。これから勝ち星を重ね、あの舞台へ立てる切符を手に入れる。早くに賞金を重ねておけば、来年ローテーションも楽になる。二歳で活躍するとその後の活躍があまりないという超早熟馬も中にはいるが、クラシック戦線を戦うには新馬戦からの活躍も要素として大切なものになってくる。しかし、今の時期の彼や彼女たちはまだ丸ままのにんじんがかじれないという。そんな若いときから頑張っていると思うと頭が下がるばかりです。

 次に夏馬を探す楽しみである。春や秋には走らないくせに夏になるとなぜか走る馬がいる。丈夫で夏ばて知らずなのか、「うひょー、夏だぜ!」というお祭り好きなのか、とにかく夏は走るという馬を探すのが楽しい。馬券的にもおいしいことが多い。本当のところこの要因は、いわゆるローカル競馬という小回りの競馬場に舞台が変わることではないかと個人的には考える。輸送も多くなるので、輸送が苦手な馬はまず調子が落ちる。脚質的に広いコースがよいとかもまれ弱いであるとかいう馬にも不利になる。結果的に輸送や他馬との接触などには全く図太いけれど、

「坂があるようなしんどいコースだとやる気なくなるのよね」

というような愛すべきお嬢様やお坊ちゃまが活躍するのだと見ている。

 ローカルに競馬が移ると楽しみは他にもある。東西、新旧の騎手が入り乱れてのレースとなり、予想するには難しいがその腕を見るのは面白い。サマージョッキーズシリーズは暮れのワールドジョッキーズシリーズの出走権もかかっているのでそのあたりも見所だろう。角田騎手ファンの馬友は去年大はしゃぎだった。騎手のみなさんからすれば移動が大変かもしれないけれど。

 そういえばJRAから恐ろしいメールが届いていた。三連単を全レース発売するというのだ。

 私が始めた頃は馬番連勝式という馬券が出始めたころだろうと思う。いわゆる馬連だ。私は普通に馬連を買っているが、もうすこし前からのファンになると馬連なんてなかったとなる。そのうち三連複やワイドが出て、馬単、三連単と現在の形にいたるのだが、「競馬はやはり単勝」というファンも多い。個人的には馬券は三着、レースは優勝が競馬かなと感じている。

 この三連単全レース発売の恐ろしいところは二つある。馬連すら当たらないのに、三連単なんて当たるわけないだろう派の私としては三連単を買うにあたりどうしても点数が増えてしまう。だが売っているものを買わないなんてという気にもなって、ちょくちょく手をだしてしまう。しかも今までは限られたレースでしか買えなかったものがすべてで買えるとなると

「そういえば私、一千万以下の小回りダート戦得意よね」

などど勝手な言い訳をつけて第七レースあたりから三連単に走るという図が今から目に浮かんでくる。

 もう一つ危惧するところは、その他の馬券の売り上げが落ちることだ。

 JRAには申し訳ないが、このキャンペーンをやっても全体の売り上げが上がるとは思えない。先に書いたように夏はお休みするファンもいて、夏競馬は限られたファンのものである。そのメンバーが急に増えるとも思えないし、急に馬券購入の予算を増やせるほど全員リッチになるとも思えない。とするとどうなるか。

「せっかく三連単も発売だし、ここはいつもなら馬連を買うけど三連単で勝負するか」

同じ予算内で三連単にお金が流れ、他の馬券の売れ行きが悪くなり、結果オッズが下がり払戻が少なくなるのではないだろうか。すると夏競馬は三連単じゃないとオッズに妙味がないとなって逆に限られたファンも離れて行ってしまうのではないのだろうか。

 そんなことをするなら重勝式を発売すればよいと思った。これは何レースかの一着馬を当てるというよくメディアなんかのイベントで開催されている。現在では競輪でこの方式が導入された。

 海外の競馬では発売しているところもあるとは知っていたが、日本でも昔は売られていた。しかし不正行為の温床となりうるという見地から議論され廃止となっている。

 不正が行われるかどうかはパドックのあちら側で考えていただくとして、売り上げを伸ばしたかったり、新しいファンを取り入れるのならこの馬券はとても有効だと思う。一日中のレースでなくとも、メインレースの他に最終レースを取り入れる。と、普段はメインが終わるとかえってしまうファンも

「最後までみていくか」

となる。第一レースとまでは行かなくても午前のどれかのレースを取り入れれば普段はメインレースあたりからやってくるファンも

「午前中からいくか」

となる。そのうえキャリーオーバーでもつくっておけば

「今競馬が熱いらしいよ、キャリーオーバーが二億だって」

と外部のファンにも噂が広まり馬券が売れる。そのうちの何人かは競馬の魅力にとりこになるかもしれない。いまや文庫本も「ジャケ買い」の時代。きっかけは何でもいいのではないか。

 そんなこんなで夏競馬がはじまる。その楽しみに、JRAのコマーシャルのごとく、開催地ごと現地への旅行が加わればそれ以上いうことはないのだが。

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