野生の炎、再び
ときどき、
「この馬、きっといい馬」となって追いかけることがある。以前書いたローレルアンジュは最たるもので、中央を引退し、地方に行ってからも見ていたが、如何せんまだ地方の馬券を近くで購入するすべがなく、重賞を人気薄で勝ったときには、うれしかったが、馬券を買えていなくて少々悔しかった。
テレビの予想に負けてはずしたワイルドファイアーも今では気になる一頭である。私の中では追える騎手でないとサボる馬ではないかと思い、今回は意図的に買わなかったら三着に来た。大野騎手、ごめんなさい。
ワイルドファイアーは、メジロライアン産駒なのだが、父と一緒に走っていたことがある。
観客動員数歴代一位の一九九〇年のダービー。アイネスフウジンが征する。二着にメジロライアン。十九着に中舘騎手騎乗のワイルドファイアー。同じ馬名なのである。
馬名にはいろいろ細かなルールがあって、二文字以上九文字以内というのはよく知られている。その他にも、明らかに広告的なものとか、言葉の意味と性別が異なるとか、アルファベットや数字をカタカナで表現しただけとかは禁止されている。中にはパリの会議で保護されているもの、というちょっと遠いところでのルールもある。一度使用された名前も禁止事項の中に入っている。
だが一度使った名前が絶対につかえないわけではない。馬名の抹消から年数がたっていることとか、細かい制限はあるけれど、同一馬名をつけることも可能だ。調べてみると結構いる。エルコンドルパサーもリンカーンもペールギュントも二代目だ。ディープインパクトは世界中に三頭か四頭いたという話も聞いたことがある。日本のディープインパクトがジャパンカップを勝っているため、国際保護馬名となったので、今後は使えないはずである。
中舘騎手は前走でワイルドファイアーに騎乗していた。時を経て同じ名前の馬に騎乗するのはどんな気持ちなんだろう。それだけ長くジョッキーをやっているということに幸せを感じるのだろうか。先代がいなくなってしまっていることに哀愁を感じるのだろうか。
なんにせよ馬名には馬主さんの思いがこめられている。そして、
「名前が可愛い」とか、
「初恋の人と同じ名前」とかで思いを寄せてしまう競馬ファンもいるだろう。私も親からもらった名前と同じ名前の馬をいつもチェックする。冠名に続く形で、ぱっと調べたところ七頭いるが、出走せず抹消が二頭、未勝利抹消が三頭、一勝で抹消が一頭、現役が一頭で一勝馬、といった成績である。ううむ、あまりいい名前じゃないのかな。
なんにせよ、追いかけ始めた馬はいつまでも追いかける。乗っている騎手が誰であれ、どこの競馬場にいるのであれ、思いをこめて応援する。それも競馬のロマンじゃないか。と、改めて思う。
来週はレインダンスが中山に登録している。名前も可愛いし、馬券もとらせてもらったし、いい馬だと思う。これは追いかけるしかない。
ああ、でも中山コースは初だし、休み明けなんだよねぇ……




