マンパワー
予想はそんなにずれていないのに馬券が取れないため、以前にもやっていた、買い方検討表計算マイソフトを改めて見直すことにした。パソコンも新しくなっていたので、自らの製作過程を思い出しながら作業を進めると、これがまた面白い。初めて使う関数なんかを用いてみたり、それは必要なのかというような割合まで出してみたり。どれくらい少ない入力で結果データが返ってくるかなんてことにこってしまって、結局、もっとも大事であろう、予想用の表については力尽き、半分くらいしか仕上がっていない。シュミレーションが足りなくて、どれだけの信頼が置けるのかまだわかっていない。
利用しているインターネットの予想データには脚質やら調子やらは、客観的正確さに欠くとして含まれていない。
「あら、そうなの?」
と今頃気がつく。いや、忘れていただけかもしれない。紙媒体とは比べ物にならないデータの量に、
「それだけパソコンでできれば新聞要らないんじゃないの?」と娘に言われたが、私は新聞を買い続ける。厩舎やトラックマンの意見を聞きたいのだ。
確かに、競馬はブラッドスポーツだからデータで補えるところがたくさんあるだろう。フェブラリーステークスも、私が作ったつたない点数計算表でさえも上位馬の好走は予測できた。でも、ずっと気になっていたブルーコンコルドは別である。カテゴリーに対する重さを見誤ったといわれればそれまでかもしれないけれど。
要するに、なにごとも、人なのだ。
たとえば、結婚したてとか、子供が生まれたところとか、そういう騎手が穴を開けたりする。引退間近の調教師さんに可愛がってもらっていた騎手なんかもそうだ。それは決して八百長とかでなく、気迫の勝利ではないか。先週は中舘騎手と小野騎手の通算記録がかかっていた。中舘騎手は日曜日に見事達成した。小野騎手は残念ながら来週以降に持ち越しだけど、土曜日の騎乗は気迫あふれるものだったと思う。
そういえば、若手騎手戦に出られる騎手の枠が免許取得後六年未満から七年未満に拡大されていた。今年の競馬学校からの新人騎手は三人しかいない。
中央競馬学校に学校見学に行ったとき、少数精鋭という言葉を聴いた気がする。合格者は十人程度だ。女の子の合格者はここ十年ほどでていない。体力的に厳しいとのこと。まぁ、プロスポーツですからそのあたりは仕方ないんだろうけれど。
いくら少子化とはいえ、新人ジョッキーが三人とはちょっと切ない。競馬の人気が下火になって、あちらこちらで地方競馬がなくなって、騎手が飽和している状況もあるのだろうが、それでも新人が少ないというのはいかがなものかと思われる。発展させていきたいのなら、プロスポーツなのなら、余計に新人発掘、教育に力をいれるべきではないかと思う。これは娘が騎手学校をおこっちたひがみからではない。それについては、小説のほうで詳しく書いてみたいと思っている。
中京開催から新人君たちの騎乗が始まる。競馬学校には新入生が入る。新入生の中の一人は娘と一緒に面接を受けたらしい。学校見学に行ったとき、生徒さんたちは一様にさわやかでかわいらしかった。学校は一般の方も見学できるので、興味のある方は参加してみるのもいいかも知れない。ただ、夏時間は集合が七時と、トンでもなくはやいですけど。
今回の東京開催には一度も足を運べなかった。中京にいきたいが、今開催は見送りとなるだろう。ああ、データだの点数だのそんなのどうでもよくなってしまうあの現場の興奮を味わいたい。同じ負けでも実際に手に馬券を握って、ゴール前で何万分の一の入場者になっている方がいいのかはわかっているのだが……遠い空の下、画面のこちら側から新人君たちの無事を祈ることとしよう。