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近未来のクズ人間  作者: 牧野
1/1

第1話 決断

俺の名前は斉藤タモツ。日本を代表するクズと言っていいだろう。年齢は24歳だ。


「ありがとねー」


綺麗な女が笑顔で手を振っている。今日も借りた金を使って、フラフラとネオン街で、遊び歩いていた。こんな事をしている場合ではないと、自分が一番よく分かっている。


今日も取り立ての電話が鳴る。


「斉藤さん、今週中に二百万円返せるんですよね?」


「・・・・・・」


「斉藤さん?」


「は、はい」


「また逃げたら今度はタダじゃおかねえからな」



もうこの会話は、正直飽きた。もう限界だ。自分の人生が嫌になる。どうにかして二百万を用意しなくてわいけないが、そんな金すぐに出てくる訳がない。死にたい。


帰り道、ふと電柱に貼ってあるチラシの文字が目に飛び込んできた。


あなたの身体買取ります


「どういうことだ? 俺の身体が売れるのか?」


死ぬよりは、マシかと、携帯を手に取る。

電話を鳴らすと、すぐに女の声で


「もしもし」



「あの、二百万円ほど必要なんですが」



「わかりました。〇〇ビルまで来て下さい」



案外あっさりな対応で驚いたが、俺みたいなクズは山ほどいるのだろうと、心の中で少し安心しながら言われた場所へ向かった。




五分程歩き、指定された場所に到着した。人通りもなく、いかにも怪しい所である。


「なんだここ? やっぱ金のために身体を売るなんてどうかしてるな」


ここに来て、俺はやっと正気に戻り、その場を立ち去ろうとすると




「あのー、どうかされました?」



電話越しに聞いた女の声が聞こえ、後ろを振り返る。


「えっ、あ、あのー」


目の前にいる女性が、あまりにも美人だったので言葉が出てこない。


「さっきお電話くれた方ですかね?」



「あ、はいそうです」



「じゃあ中でお話しましょうか」



女に促されるまま、扉の中に入ると、そこは、ベッドと机と椅子しかない殺風景な部屋だった。


白衣に身を纏った女が、スラっと長く綺麗な足を組み、椅子に腰掛け俺に言った。


「まあ、座って」


俺は、言われるがまま椅子に腰掛ける。

こんな人生に詰んでいる状況でも、目の前にスタイル抜群な女とベッドがあれば、バカな妄想をしてしまう愉快なクズである。



「で? 何を売りたいの?」


女が俺に問いかける。しかし、身体のパーツの相場など知る訳もなく、どこを売れば、二百万円になるのか全く検討もつかない俺は


「指だと何円位になりますかね?」



「一本十万だね!」




えーと、待てよ、ということは、指を全部売れば、百万円などと破天荒なことを考えていると



「指は、一本単位で手軽に売れるから、売りに来る人多くて、どうしても安くなっちゃうんだよね。二百万とかになると、やっぱり内臓系かなあ?」



何を言っているんだこいつは。内臓系?そんな言葉聞いた事もねーよ。じゃあ俺は内臓系男子か?などとしょうもない事を考えていると女が


「内臓だとオススメは、肝臓になるかな。二個あるし、需要も高いから、百五十万円だよ!」


本当にこいつは何を言っているんだ。肝臓? 二個あるし? 二個必要だから、二個あるんじゃないの? 一個は予備なのか? 無知すぎる俺の頭の中は、完全に混乱していた。売るのか? 仮に売ったとして、残りの五十万円はどうするんだ? 決断が迫られる。



















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