表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/23

転生したら戦国(佐吉視点)

感想にあったので書いてみました


交通事故で死んでしまった俺は今、佐吉という名前になって、とある寺にいる。俺の知識が確かならば、この時代は戦国時代なのだろう。ついこの間、どこかで下剋上があったと聞いた。まあ、寺にいる俺には無縁な話であるが。いや、俺の名前が佐吉だから警戒したほうがいいだろう。もしかしたら石田三成かもしれない。違っていたらいいんだけどな。

授業は前世から慣れているし、戦いは寺だから無いし。でもここって一向宗の系列だからマズイかもしれない。どうやって俗世に戻るか。


そんな俺のもとに、猿が来ました。

猿は猿でも温泉や山にいる猿ではなく、顔が猿な人間です。



「これはこれは…藤吉郎様、よくぞ来てくださいました」

「ああ、茶ぁ一杯くれ」

「かしこまりました。佐吉、こちらに茶を」

「はい」


これはチャンスじゃないのか?

ここで気に入れられれば俗世に戻れるし、出世も早いかもしれない。

住職様が以前旅人に出したやり方で茶を作る。とにかくぬるめに、お椀に一杯にした。

おかわり!と言ってくる藤吉郎様に徐々に熱くした茶を出す。よく飲むなこの人。

しばらく経って、俺の顔をジロジロ見てきた。なんだこの人。


「おい」

「はい、なんでございましょうか」

「この小僧をわしにくれ。此奴は大物になるぞ!」


え、俺は猿に拾われるのか?

え、じゃあ俺って…


「よろしゅうのぅ、佐吉よ。今日からおみゃーはわしの家臣じゃ!」


あ、やっぱり。

俺はどうやら、マジで後の石田治部少輔三成のようだ。これ死んだ。







史実での石田三成の間違いは三つだろう。

一、福島正則や他の小姓と仲が悪かったこと。そのせいで関ヶ原では東軍についていたり、傍観していたりする。

一、忍城に攻め入ったやり方。堤防を作って水攻めをするのは馬鹿だった。地形を考えろ。

一、他の者より出しゃばり過ぎた。仲が悪い上に、子飼いの者より気に入れられたら感じが悪い。


これらを踏まえて直していけば、関ヶ原が起きなかったりするかもしれない。

家康はどうしようか。小牧・長久手の戦いをなんとかして勝てばいいのかもしれない。だがどうやって?

…時間はたっぷりある。じっくり考えよう。

考えるのを止めてすぐ、後の福島正則となる小姓に呼ばれた。


「佐吉、殿が茶を望んでおられる」

「ああ、分かりました」

「お主よりも上手く入れられる者は千利休くらいだろうな」

「大袈裟ですよ」


福島正則や加藤清正ら他の小姓とは、なんとか上手くやっている。俺の茶も捨てたもんじゃない。皆にも会ったばかりの時に振る舞った。前世で茶道部の幽霊部員をしていたが、それでも茶道の魂は腐っていなかったようだ。

俺からすれば上手くいっているのだが、彼らに俺は積極的に話しかけられない。流石にそれは無理です。だって怖いだろう。


「殿、佐吉でございます。茶をお持ちしました」

「ああ、入れ」

「失礼します」


こうして今日も藤吉郎様のお茶係で終わっていく。この平穏が続けばいいのに。俺は死にたくない。





で、ふと思ったんだが。

俺の幼馴染みである、直野暁はどうなったのか。二人で登校していたら交通事故にあったんだが。まさかあいつもこの時代に来ているのでは?

だとしたらマズイ。この時代は殺し殺されの世界。現代っ子で平和主義国家の国民である俺たちに、誰かを殺すというのは難しい。いつか慣れるかもしれないけど。

…来てないことを祈ろう。こんな辛い目に遭う必要はない。


この時の俺は、自分でフラグを建てていることに気がつかなかった。





あれから十年ほど経った。自分から話すことは滅多にないままで育ち、聞かれれば応えるを貫いてきた。おかげで御伽衆並みの聞き上手だ。

今年は1572年。つまり織田信長と上杉謙信との同盟・濃越同盟が締結される年だ。俺は他の小姓たちと共に行くことになった。

で、感想だが。


上杉謙信怖っ!


何だあの眼つき!義に厚い漢と謳われているせいか、その表情は凛として精悍ではあるが。眼は信長公と同じような鋭さ。唯一の違いはそれが冷たいか温かいか。

無闇な情報の漏洩を防ぐために、俺たちは隣室で待機していた。

無事に同盟が締結し、祝いとして宴を催すことになった。酒を飲んでいく人々の騒がしさは、現代も戦国も変わらない。信長公はあまり飲まないが、謙信公の量がとても多いからすぐに無くなりそうだ。追加を持って来ようと立ち、この場を他の人に任せた。


追加を持って廊下を歩いていた時、目の前に見覚えのある顔があった。

整った顔立ちが俺を見て眼を見開いている。


かくして、前世の幼馴染み兼親友と再会したのだった。

お前、酒強かったんだな……うぇッ……!





転生しても親友だったのは嬉しいが!お前、死ぬなよ!俺も絶対に死なんからな!

打倒!徳川家康!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ