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籠城したら反乱

お久しぶりです。追試を終えました。






…どうも……暑さで頭がイカれそうになっている樋口与六兼続です。


この時代の季節感っておかしいよ。現代日本がおかしいのかもしれないけど。でも風は涼しい。現代だとビル群やらコンクリやらで、吹く風悉く生温いのだ。田舎ってこんな感じなのかな。


で、現代と全く違う戦国。エアコンもテレビもない時代だ。ましてや冷蔵庫があるはずがない。そしてワクチンもない。


つまり


「兵糧は無事か!?」

「風上の涼しい場所に置け!湿気は作るな!」

「他に体調が優れぬ奴はいるか!」


こうなる。


ちなみに今の七尾城がこの状況だそうです。これも軒猿インフォ。ってか七尾城には農民もいるから食糧不足が先に来そう。

春日山城は比較的涼しい地方にあるため、滅多に食料が腐ることはない。時々、雨季で湿気が心配になる日はあるが。親父の樋口兼豊ひぐちかねとよが頑張ってくれている。商人の方が向いているのでは?







さて、上杉にチャンス到来です。

やっと北条氏政との戦いの爪を癒したところで、再び七尾城を囲みに行きました。

穴水城は杉原和泉と長続連がいたけど、俺たちが戻ってくると知るや否や、七尾城に帰っていったそうだ。長沢光国と白小田善兵衛がやられたのは案外痛いかも?…どうやら轡田肥後さんと内藤久弥さんが、籠城をし始める七尾城を攻めたようだ。だが火事場の馬鹿力か、優れた戦略のおかげか。敗戦を喫したようです。


俺たちがいない間、城の敷地内には田畑がいくつかあるようだが、農民よりも病人の方が多いのが気になった。

どうにか助けたいんだけどなあ。いっそのこと秀吉さんの領地に行ってもらうか?確か家臣も少ないわ領民も少ないわ…で大変だったはず。



閑話休題それはともかく



「調略は出来そうか?」

「いえ、あちらは完全に敵対するつもりのようでございます」

「…ふむ」


七尾城は不屈の魂で成り立っているようです。周りは。

不屈の魂を持っているのは上だけ。ならばのうみんはどうでしょうか。感染病に侵され、死地までも勝手に決められた彼等は。


しかしこんな重要なことを話すにも酒がいるんか、この軍神様は。いつ発作が出るか分かったもんじゃないってのに。


「彼奴等は民百姓を何だと思っておるのか…。病に侵されてもなお、農業を強いているとは…」


そういえば、こういう戦国武将って民百姓のためにとか家臣のためとか、そういう理由を付けて戦うことが多いな。織田信長もそういう理由だったっけ。

上杉謙信は義の男。家臣団や民百姓がいてこそ国が成り立つって、いつも教えられている。そうして見ると、七尾城がどういう風に見えているのか。


「…内部で百姓一揆が起きてもおかしくはないはずですが、全く聞きませんね」

「そのような体力も無いのだろう。武士に比べて強くない肉体だ。食糧も腐り、体力の消耗も激しい」


あ、そっか。今って夏だ。

現代と戦国では季節がズレている。如月、つまり二月なんて春だし。寒いし、越後じゃ若干雪が残っているからなオイ。今は長月、つまり七月です。でも現代で言うと八月なんだよな。


「温井景隆も調略の返事をまだ出してきていない。既に病に侵されたのだろうか…」

「そ、それはないでしょう?軒猿達によれば、七尾城は病人を隔離しているといいます」

「ならば他の者共か…。…ふむ」


誰かが邪魔立てしているんだろう。

まあ、こっちはともかくとして。

問題は織田信長からの援軍だ。この機を逃すわけがない。柴田勝家が来るのが確実となっているが、他の将は知らない。…一向一揆が起きたら到着が遅くなるだろうに。起きないかな?


「民百姓の反発も強くなっていると聞きます。上に立つ者とは思えない不義にございます」

「無理矢理城に入れたのだからな…。…ふむ、民百姓か……」


あれ?御身城様が何かを思いついた顔をしている。まさか現状の解決策をか?


「与六、お主ならば誰に調略を申し出る?」

「調略を、ですか…」


城の囲みとか戦術じゃなかった。交渉は苦手なんだけれどなあ。

七尾城で俺が知っているのは、当主畠山花王丸。重臣長続連、長綱連や長正則などの長一族。杉原和泉。温井景隆・三宅長盛兄弟。


あれっ?少なっ!


「…やはり温井景隆殿と三宅長盛殿でしょうか。彼等は遊佐続光と共に親上杉派でございます」

「確かにな。しかし、そやつらが調略に応じない、応じられぬという場合もある」


え?……ああ、そうか。

伝令の足軽が反上杉派に取り込まれている可能性があった。それか書状をすり替えられるか。


うーん……………………ダメだ。


「…他に親上杉派が?」

「親上杉か反上杉かは、わしらの行動次第じゃな」


…えー、と?誰のこと?

いや、結構ヒントが出されているのは分かってはいる。そんな中立派なんて七尾城にいたっけ。

軒猿インフォでは七尾城は完全に対立していると聞いている。温井景隆・三宅長盛兄弟を筆頭とする親上杉派は降伏を、長続連を筆頭に多くの家臣が所属する反上杉派は抵抗を。中立派なんていなかったはずだ。


「これだけ言うても分からぬか?おるじゃろう。今の畠山に、理不尽に城に閉じ込められ、七尾城の者共に反感を抱いても不思議ではない者共が」

「…民百姓でございますか?!」

「うむ。やっとわかったか」


いや、確かに反感は抱いてるだろうが。まさか御身城様が織田信長みたいなことをするなんて…。いや、マンガの知識だから、桶狭間で本当にしたのかは知らんが。


「与六、お主はまだ頭が固いのう。上を崩すことだけでなく、下の盤石を壊すことも視野に入れよ」

「はっ!」


上か。ジェンガで下から抜いたら崩れやすいのと一緒か。

俺が目指す所も考えておかないとな…いつまでも兵達の後ろにいられないだろうし。さらに上から上杉家を押しつぶそうとしている奴等の顔も拝まないといけない。


…忘れてたけど、この戦いって上杉VS織田か。三成と市松と虎千代、元気かなぁ…。








っだあぁぁあああああーーーッ!

またかよ!一向一揆アゲインすんなよ!小伊勢村とか何処だよ!


…スンマセン、取り乱しました。

もうね、七尾城どんだけ必死なんでしょうね。色んな村で一向一揆を煽るとか、イジメかオイ。


とりあえず交渉に行きましたよ。要求は村の米だった。収穫のほとんどを七尾城の兵が兵糧として持って行っちゃったらしい。それは酷い。

まあ、米はこっちに大量にある。現代でも続く日本の穀倉地帯をナメんなよ。



あ、あと柴田勝家さんが近づいて来ているようです。でも途中で一揆に阻まれているらしい。あまりに勢いが激しくて気圧されているとか。どうした鬼柴田!?

そういえば古典であったな。清盛が出陣したら途中で民衆の烈しい反感に気圧されて、渋々退却したとかいう話。…あれ?違ってたっけ?


ちなみに、この一揆は七里頼周さんが呼びかけたようです。一向一揆って敵だと面倒だけど、味方だと頼もしい。でも微妙だな。


今のうちに七尾城を落としておかないとマズイな。









一ヶ月ほど経ちました。

ご覧の皆さんにお知らせ申し上げます。

この度、七尾城の幼君であった畠山花王丸様が病に伏してお亡くなりになりました。


もうこっからは早かった。


ついこの間、温井景隆・三宅長盛兄弟から調略の返事が届いた。それを読むや否や、出陣の命令が出された。


相手の軍は聞いていたのより少ない。病死か餓死でもしたんだろうか。いや、中の方も火の手が上がったりと騒がしくなっている。どうやら兵が少ない城で何かがあったようです。


「どうやら動きがあったようだな」

「御身城様は儂等が思いつかぬ事を致す方でございますな」


えー、景勝様のお隣におわすは安田顕元殿にごさいます。川中島の戦いでも槍で活躍していて、おまけに交渉術も優れている。ちなみに同姓の安田長秀殿とは違う一族ですよ。

意外かもしれないけど、俺たち上田衆は最近世代交代ラッシュだ。上の方はともかく、下の方は激しい。若々しくて勇ましいのはいいが、それは死にも繋がる。そのため古参の方に指導してもらう。

俺的には新発田重家殿にも来て欲しかった。あの人槍だけでなく作戦も強いし。


「…民百姓は我等を支えてくれている者共だ。それは時に我等に牙を向き、我等を正してくる」

「上に立つ者は、下々に対し義を通さなければなりませぬ。それがあの者達にはなかったのですな」


民百姓に無理強いして、死に際を決めつけた。それが奴らの敗因。

遊佐さんや温井さん、三宅さん達は一族への義を貫いた。それが結果勝因となった。


ただ、それだけで生死しょうはいが決まった。


ああ、二の丸が燃えている。あの辺りって確か病人を地下に押し込めて、他は上の安全地帯にいるんじゃなかったっけ。…一酸化炭素中毒になっているんだろうなあ。

俺たち若人はあまり出番が無かったな。一応襲ってきた奴を刺したけど。



こうして、七尾城の戦いは終わった。

ちなみに援軍の柴田勝家は、手取川ほ戦いで敗退した。俺も参加したかったけど、御身城様と景勝様が心配なので行かなかった。流石に暗殺は仕掛けてこないとは思うけどね。俺だったら安堵しているところで暗殺を仕掛けるな。







それにしても、なんか色々考えさせられるなあ。

俺の義は「景勝様に一生お仕えすること」だけど、その為に何かを犠牲に出来るか?

………出来そうにないかも。徳川家康って息子を信長の命令で殺したって聞いたけど、俺は多分殺せないな。寺に入れるので精一杯かも。



ーーーーーそれが仕えるってことだ。


は?息子を殺させるのが?


ーーーーー家康殿は信長公への義を貫いた。


確かにそうだけど、俺には理解出来ないな。


ーーーーー理解出来なくて良い。それにしても、お前は信頼していないのか?


は?


ーーーーー景勝様がそんな下知を下すとでも?


っ、ンな訳あるか!景勝様は上杉の義を継ぐ方!そんな命令なんかしない!


ーーーーーならば答えは簡単だ。


ああ…



「景勝様に一生仕える…それが俺の義だ」




命が軽んじられている乱世は、まだ俺には厳しいかもしれない。

三成(春人)はどうしているかな…




これから亀更新になりそうです

模試は私を休ませてくれない………!

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