息子の好きな子は少しおかしい
ちょっと思いついたので書いてみました。
「直也(息子)に好きな子が出来たらしいのだが、恥ずかしがって何も教えてくれない」と、妻に愚痴られて興味がわいたので直也を書斎に呼んで聞いてみた。
「母さんから聞いたぞ。好きな子が出来たらしいじゃないか」
「何で言っちゃうんだよ、もう」
「母さんを責めてやるな。で、どうなんだ?」
「う、まぁ、好きな子って言うか気になる子?って感じかな」
顔を若干赤く染めいかにもな雰囲気を出している。
「ふ~ん、どんな子なんだ?」
「転校生なんだけどね、すごく優しくて気が利くんだ」
これだけ聞くとなかなかいい子のようだな
「それでね。僕がちょっと気落ちしちゃったり悲しくなったりすると“いつも”一緒にいてくれるんだよね」
ん?『いつも』?
「しかも図書室とか職員室の前とか“いつも”ばったり会うんだぁ。これって運命って奴かな」
え、また『いつも』?
「え、ちょっとまて。その『いつも』っていうのは言葉の綾だよな」
「え、いや、違うよ。ほんとにいつもなの!」
それってストーカーって奴じゃないのか!?
「明日、ラブレター出してみようかな?って思ったから書いてたんだけどお母さんにばれちゃって・・・」
「直也、スト―いや、彼女にラブレターを渡すのは待ちなさい」
「え~どうして?」
「え、そ、それはな――」
ここでストーカー云々を言うのは逆効果に為りそうだ。何か良さ気な理由はないものか・・・・・・。あ!
「直也は彼女のことをよく知っているのか?」
「え、詩織ちゃんのこと?」
彼女の名前は『しおり』と言うのか。
「勿論知ってるよ!」
「じゃあ、彼女の好きな食べ物は?」
「イチゴだって」
「嫌いな食べ物は?」
「えっと~」
直也は言葉に詰まってしまった。はぁ~知らないようだ。
「誕生日は?」
「う、え、あ、っと~」
「彼女の前いた町は?家は?家族のことは?」
「・・・知らない」
直也はよくよく考えたら彼女のことをほとんど知らないことに落ち込んだようだ。
「知らなくても“まだ”大丈夫だ」
「え?」
「これからちょっとずつ知っていけばいいんだよ。だからまだラブレターを出すのはよしなさい」
「そっか、わかった。あ、でもね詩織ちゃんと仲のいい人達なら知ってるよ!朱羽先輩に潮見君でしょ。あと保健室の加倉先生!」
え、今上げたのって全部男じゃなかったか?最初の彼は生徒会長、次はヴァイオリンの天才、最後も男の先生だったはずだ。
「女の子で仲のいい子はいないのかい?」
「う~ん、どうかなぁ。あんま話してるとこ見たこと無いんだよね。だいたい朱羽先輩と一緒に歩いていたり音楽室で潮見君のヴァイオリン聞いたりしてるみたい」
ここにきてまさかの3股か!?おいおいストーカーですら怖いのに3股とは・・・
「え、彼女は誰かと交際しているのか?」
「誰とも付き合ってないよ」
キープか!?キープなのか!?
「直也、彼女と仲良くするのはちょっと待ちなさい」
「え、どうして!!」
「お父さん、少し心配になった。1週間でいいから直也から話しかけるのを待ってくれ。お願いだ」
「え~」
「おねがい!」
「しかたないなぁ分かった!」
「あ、そうだ彼女の名字は?」
「末摘だよ。漢字はね本末転倒の『末』にお茶摘みの『摘』だよ」
「ありがとう。1週間待ってくれよ」
「は~い」
直也は機嫌良く俺の書斎から去っていった。俺は手早く携帯電話を取り出してなじみのことろに電話をかける。
『はい、こちら瀬良探偵事務所ですが』
「私だ。遙だ。調べて欲しいことがある。それは――――」
この調査で分かったこと―――彼女は、末摘詩織は異常だ。




