8話 かいこん!
やぁやぁ、8話ですよ。はいー。
本文の数字を半角から全角へと変更しました(一部そのまま)
1~7話のは気が向いたら変えます。
やっとの思いでもみくちゃの群勢から逃れられた。よし、文句言ってやる。さっきの野郎に。
「あのー」
「どした?お前の席は隣の席だぞ」
「知ってるよ。何で助けを求めたのに、無視したの?」
「当ててみろ。当てれたら今後味方になってやる」
当ててみろ?ふふふ、相手を間違えたわね坊や。私には思詠の目があるのよ?
というわけで、目の合わせ…………あー。
「怒ってもいい?」
「だめ、起こるな」
「《面倒だったから》なんて理由で助けなかった人を怒っちゃダメなんて!」
「まぁ、正解だ。いいだろう、これからは協力してやる。『諏訪部 春姫』だ。春姫でいい。字は春夏秋冬の春に姫だ。だから、はるひめって呼んだら許さない。ご主人様でもいい」
「人の話を聞けー!そして、ご主人様とは絶対に呼ばない!」
チャララ、チャララ、チャララ、チャララ、チャンチャララ、チャンチャララ、チャーン、チャーン!春姫くんが仲間になった。……って何これ。
「おや?もう仲良くなっちゃったのかな?凄いね~、ハル。オチた?」
「お前は何言ってんだ」
え~と、誰だろう?春姫くんの友達なのは分かるけど。
「あ、ボクは『沢城 颯』っていうんだ。一応言っておくけど、執事じゃないよ。あと、ボクのことも颯でいいよ。よろしく~」
「よろしくお願いします」
なんか、2人してスペック高いな。顔だけで恭介時代の全スペックと同等かそれ以上だね。
気怠いオーラを纏った、クールでちょっとSっ気がある春姫くん。マイペースそう。
明るく暖かい雰囲気の、人懐っこい好青年みたいな颯くん。意外と腹黒かったりしそう。
これ、乙女げーじゃないだろうね。実は自分が2次元のキャラだったなんて、嫌だよ!
「あ、あの~。千早……さん」
「へ?あ、なんですか?……って可愛い」
「ふぇぇ!?」
「俺とは初っ端からタメだったのに」
知ったことか!野郎と美少女相手で区別するのは当たり前だよ。差別じゃないよ。ここ重要。
「えっと、前の席の『大山 莉菜』です。よろしくお願いしますっ」
「うん、よろしくね。あと、もっと砕けた口調でいいよ」
「本当に?じゃあじゃあ、杏歌ちゃんだから、杏ちゃんって呼んでも良い?」
「う、うん、それでいいよ。私も莉菜ちゃんって呼ぶから」
その下からのぞき込むの卑怯だよ!何でも許しちゃうじゃないか!にしてもお母さんと同じ呼び方か……。
「おっ?いいなぁ莉菜、もう千早さんと仲良くなったんだ」
「あ、みぃちゃん。うん、莉菜ちゃんって呼んでくれるんだってー♪」
「ふーん、嬉しそうだねぇ。あ、私は『桐野 美衣』、美衣でいいよ。よろしく、杏たん!」
「うん、よろしく美衣ちゃん。ん?杏……たん?」
「そ、杏たん」
「たんはヤメてください」
呼ばれる度に恥ずかしくて仕方ないよ。
それにしても、2人とも可愛いなぁ。
莉菜ちゃんの方は私と同じ(少し小さい)くらいの身長で、守ってあげたくて、ギューッてしたくなる可愛くて幼さのある美少女。頭撫でたいな。
美衣ちゃんの方は身長が160㎝ぐらいのサバサバして健康的な大人っぽい女性。スタイルが良くて顔も良くて、女の子にもモテそう。
この2人を見てると、初めて鏡を見たときに可愛すぎるだろ!って思ったのが馬鹿みたいに思えてくる。
「ふに~……もういい?」
「へ?……あぁ、ごめん。可愛かったからつい」
無意識のうちに莉菜ちゃんの頭を撫でていたらしい。気持ち良かったのか、ウトウトした莉菜ちゃん、萌え~。
まぁでも、私も現在進行形で美衣ちゃんの腕が首に巻かれてるんだけど。
「なんかお前ら似てるな。アホっぽいところとか。まぁ実際、莉菜はド天然のアホだしな。美衣は頭良いけど」( ̄△ ̄春)
「天然じゃないもん!」(莉*`Д´*)
「……ニヨニヨ、この人たち見てると面白いよね~、本当」( ´艸`颯)
「頭良いのは元からだよ。ていうか、アンタたち全員、今までのテスト、何一つ私に勝てたことないじゃん」(美・∀・)
なんかカオスだ。この人たち、自由に喋らせたらフリーダム全開のカオスゾーンになる。
「……って、みんないつから一緒なの」
「あー、俺と颯と莉菜は幼稚園から一緒だ。美衣は小6の時に転校してきた。帰国子女なんだと」
「へぇ、つまり集団で私を変なグループに入れようとしてるわけだ」
「まぁ、そうなるな」
認めた。あっさり認めやがったよこの人。変なグループだってこと、自覚あったんだ。
「変じゃないもん!春くん変なこと言わないでよぅ」
「そう?十分変だと思うけど」
「私も」
「みんなと一緒にしないでよ~。わたしはマトモだもん」
可愛ぇ~。涙目になりながら健気に頑張る莉菜ちゃん、可愛ぇ~。美衣ちゃんにナデナデされて、気持ちよくなってる。
莉菜ちゃんを愛でてるときの美衣ちゃんもなんか凄い美人。母性本能が溢れ出してるよ。実際はただの変態脳なんだろうけど。
そして、この人たちの話を聞いてて聞き逃してたけど。
『あーあ、やっぱりあっちに行ったなぁ。』
『そりゃそうだろ。高いスペックの人は同類に惹かれるんだろよ』
『俺たちには関係ないな』
『ハハッ、ちげぇねぇ』
え?なにこのギスギス感。なんか嫌だな。
私が困った顔をしていたのか、颯が事情を説明してくれた。
「彼らはみんな、この美少女たちにことごとくフられた人たちだよ。なんでも2人とも恋愛とか興味ないらしいね。2人だけで百合カップルみたいになってるから。杏歌ちゃんも気をつけた方がいいよ。百合トライアングルとか」
「野郎と付き合うよりは絶対にいいから百合に走るかもね」
何を隠そう元男だしね。
「野郎って……」
ハヤテくん曰く、その見事な百合っぷりが一部の野郎には大好評らしく、2人のことを『百合姫』や『双萌娘』と呼んでいるらしい。
それ以外にも、この4人にはそれぞれ個人のあだ名があるらしいけど教えてくれなかった。
「はいはーい、席につくつくー」
一限目の担当教師が来た。授業の事忘れてた。
「どしたのみんな?……ってあぁ、なるほどねぇ」
私を見つけるや否やニヤァっと笑う教師。
「4月に転校なんて、珍しいですよねー。よし、自習!」
また揉みくちゃになった。誰も助けてくれず、飽きた人たちは遠くで駄弁っていた。莉菜ちゃんだけは助けようとしてくれたけど。全然輪に入れず、やむなく美衣ちゃんに抱きかかえられて退場。
その後すべての授業が自習となり、みんなと一通り喋った後私は疲れて意識を手放した。
なんか、日に日に地の文が減っていく気が……。
いつか、アフレコとか演劇の台本みたいに喋りばっかりになるかも。
(実際の台本は基本上下半分くらいに分断されカットごとにも分断されて、上にセリフ、下に場面や表情が書いてあります)
それはさておき、8話です。学園生活本格始動です。
なぜ今、莉菜ちゃんを推しているかというと、それはギャルゲーとかやってる人なら分かると思います。莉菜ちゃんの話に入るからです。莉菜編が終わったあたりで、キャラの詳しい説明もそろそろ出そうかな……と考えてます。
では、また次回