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こんなのありえない!~偽りと記憶の鍵~  作者: 脱力先生
第一章 違和感と性転換
2/12

2話 杏チャンネル

遅くなりました、すいません。


文章的には1話の3倍ぐらいかな~と思います

 ───母さんは俺の叫び声にすぐに答えてくれた。

そして俺の姿を見るや否や───


「あらら~、可愛いですね♪」


 喜んでいた……。

この上なく、喜んでいた。俺が高校に合格したときより……喜んでいた!

クソッ、このBBAが……!


「……手伝ってほしくないんですね。分かりました。お母さんはババァなので寝させてもらいますね」


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」 


 思いっきり心を読まれた。

迂闊だった……。忘れていたよ、この人が読心術の天才であることを。


「まったく、もう!確認しますけど、恭くんで合ってますよね?」


「うん、あんたの息子の恭介だ」


「抱きしめてもいいですか♡♡♡?」


「ダメ」


「じゃあ手伝いません」


 ……絶対楽しんでる!この状況をこの上なく楽しんでるに違いない!

 しかし、このまま何も対策を練らないっていうのも適切ではないし……。

 嫌なんだけど!すごく嫌なんだけど……やむを得ない。


「分かったよ。でも、絶対に助けてよ」


「まっかせなさーい♪お母さんに任せておけば安心ですよ。杏ちゃん♡」


 ────ッ!?今、とてつもない寒気が俺を襲った。

 そして何だろう、今、《恭ちゃん》のニュアンスが違った気がした。

 それよりも、この人の余裕な感じは何なんだ。まるでこうなることを知っていたかのような気がした。……気にしすぎかな。

 ところで既に分かっているとは思うけど、今俺と話しているのは、俺の母親である『千早 美鈴』だ。実年齢は40代前半なのだが、大学生と間違われるという訳の分からん容姿の持ち主で、しかも2児の母である。

 また、このことから親父はロリコンではないか説が俺の中で絶賛急上昇中だったりする。

 ちなみに2児とは、俺と兄貴の2人。


「で、具体的にはどうしてほしいんですか?お洋服ですか?そうですよね!?」


「…………………………」


 もはや絶句である。この人はダメだ。趣味丸出しになることが目に見えてる。

 というか、今更なのだがなんで丁寧語で喋ってんだろう。俺は無性に気になったので訊いてみた。


「ところで、何で母さんっていつも丁寧語なんだ?」


「あ、それは、ですね。昔、ちょっと嫌なことがあって、それで、人に心を読まれないようにするために、感情を出さないような丁寧語にしたんです」


 「……そうなんだ。まぁ、それはいいとして、とりあえず今日は学校休んでいいかな?」


「そうしなさい。いろいろとしなければならないこともありますしね」


 なんだかドッと暗く重い空気になったから話を切り替えた。そのことが分かったのか、母さんはボソッと「ありがとう」と言っていた。


「で、具体的には俺は何をどうすればいいんだ?」


「え、それはもちろんお着替えですよ。お・着・替・え・♪」


「……やっぱりですか」


 どうあがいても母さんのオモチャになることからは逃れられないらしい。


「まぁ、お着替えもそうですけど、とりあえず、お父さんと秋くんにもこの事を言わないといけませんね。お父さん、きっと大喜びしますよ?」


「だろうねー」


 あの子供LOVEな親父のことだ、絶対喜ぶに決まってる。護身術でも習うべきかな。


「護身術なんかいらないですよ~。お父さんのこと嫌いになっちゃうよ!って言っておけば万事解決です♪」


「サラッと自分の旦那を侮辱するなよ。そして心を読むな!」


 とにかく、親父たちを起こしに行ってもらおう。俺はそのうちに心の準備をしておこう。


「あーそうそう、家族以外には俺って使っちゃ、メッ!ですよ~」


「……あんた、本当にいくつだよ」


「43歳です。イェイ!」


「……そうは見えないから言ってるんだよ。大人になろうよ、母さん」


「どうせ私は子供っぽいですよーだ、ふん!お父さんと秋くんを起こしてきます!」


 そう言うとムスッとした顔のまま2階へ上がっていった。この人はお婆ちゃんになってもこんな感じていそうだな。


~数分後~


──────静寂──────


 ただひたすらな静寂だけがこの空間を支配していた。親父も兄貴も、驚いた、というよりはどこか険しい表情で俯いたのだ。なんだよ。何隠してんだよ。皆してなにを知ってんだよ!クソッ!

 しかし、その静寂も長くは続かなかった。やっとの思いで兄貴が口を開いたからだ。

 そして、その内容が……


「……頭、撫でてもいい?」


「やっと、喋ったかと思えばそれかよ!ったく、状況が落ち着いてからなら1回だk────「父さんもいいよなぁ!?なぁ!!??」──ッ!?げほげほ、うぅ……」


「真哉サン────チョット──オ話ガアリマス。モチロン──断リマセンヨネ?──ネ?」


「は、はい!勿論でございます!」


 俺が言い終わる前に親父が口を挿んできた……が直後、笑顔のまま目の据わっている母さんに連行された。

 こればっかりは俺も兄貴も怖くて手が出せない。現に兄貴は俺の正面で必死に目を逸らしている。

 一応説明しておくと、母さんが秋くんと呼んでいたのが、俺の兄である『千早 秋人』、優しくて背も高く顔もいいという典型的なイケメンなので、俺は兄貴が憎くて仕方がないのだ!

 真哉さんと呼んでいたのが父親の『千早 真哉』、家族への過剰なスキンシップのせいで家族からの扱いが雑になりつつある。


「……とりあえず話を戻していいかな?」


「……そうだな、親父たちが帰ってくるの、いつになるか分からないし。兄貴が学校に行くまでの間、付き合ってもらうよ」


 しかし、いったい何から話したものかよく分からなかったのでとりあえず朝からのことを話した。


「……ツッコミどころがいっぱいだね。なんで1度目を覚ましたときに『まぁいいか』で寝ちゃうの?」


「まぁそれは、夢かと思うじゃんw」


「笑ってごまかさない。まぁそんなに心配する事じゃないよ。むしろ心配すべきところは恭介が《記憶していなかった》というところだしね」


───ドクン───


 まただ。またこの感じだ。母さんも兄貴も何か知ってる。そして、俺にその『何か』を隠してる。この様子だと多分、親父も知っているんだろうな。


「なぁ、兄貴!アンタらはいったい、何を知っているんだ!なぜ俺に隠す必要があるんだ!!」


 気がつけば俺は兄貴にたいして怒りの叫びをぶつけていた。


「………ごめん恭介。確かに僕らはこの事態について知っている。でも、内容は、言えない。隠す理由……それは恭介、君の記憶だ」


「俺の……記憶───だと?」


「うん。それ以上は今は言えない。今の恭介には絶対堪えられないから」


 と、そこまで話したところで母さんと変態……もとい、親父が帰ってきた。……生きてたんだな、親父。

 仕切り直そうとしたのか、親父は大きく1つ咳払いをした……首からリードを付けながら。いつも、頼りになるときは(滅多にないけど)頼りになる親父だけど、これでは威厳も何もなかった。


「まぁなんだ、心配するな。もう秋人から訊いたんだろうけど、父さんもこの事は分かっていた。だから安心していいぞ」


「……気に食わねぇ」


「なんだ?なんて言ったんだ?」


「気に食わねぇって言ったんだよ!何でだよ!安心なんかできるか!俺以外の家族が俺に対して隠し事しやがって、安心しろだ!?っざけんなよ!!!!」


バンッ!と思いっきり机を叩いた……はずだったのだが、あまり音は鳴らず自分の手が痛いだけだった。

 弱い……弱すぎるぜこの体


「……すまん、今は言えないんだ。というか、自分でも気がついたと思うが、可愛い声で怒鳴られても、父さんは嬉しいだけなんだよな」


「死ネヨ、ロリコン変態セクハラ親父」


「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」


 親父の謝り方、俺と同じだった。


「さて、本題に戻らせてもらうが。恭介。まずお前には女の子としての名前と新しい学校を教える」


「ちょっと待て、『女の子としての』ってなんだよ。前から決めてあったとでも言うのか?というか、入学したばっかりで転校って」


 俺の質問に、誰も答えてくれなかった。


「とにかく、お前の名前だが杏歌だ。杏の歌で杏歌。お前はこれから『千早 杏歌』として生きていくんだ。学校は私立の月霜学園に通ってもらう。知り合いが理事長をしていて、この事態についても知っている。もし恭介美少女化が起きてしまったら。そこに転校させて貰えることになっていたんだ」


「恭介美少女化ってなんだよ」


 まったく分からなかった。親父の思考回路がまったく分からなかった。

 俺が親父を睨みつけ、親父がそれに興奮し、兄貴がそれを見て落胆していると、やっと元に戻ったのか、母さんが会話に参加してきた。


「恭くん、あなたにはこれから色々なことを覚えてもらいます。覚悟していてくださいね」


「何やらせる気だy──「それです、それ!」──は?」


「恭くんは口が悪すぎます。まずはそれを直して、『俺』じゃなくて『私』にしなさい。あと、親父とか母さん、兄貴も禁止。ちゃんとお父さん、お母さん、お兄ちゃんって呼んでください!『杏ちゃん』になってください」


「杏歌から『お父さん』呼び……ぬぉぉぉおおお!!たまらん!これは、いかん、襲いそう」


「……オ父サン、大ッ嫌イ」


「ゲフッ────!」


 もはや、この場の空気がカオスすぎた。というかこの人、本当に警察に突き出そうかな。俺───わ、私のどす黒いオーラを感じ取ったのか、あに、お兄……ちゃんが席を立った。


「じゃ、じゃあ僕はそろそろ学校行ってくるよ」


「行ってらっしゃい。気を付けてくださいね。……ふふ、心の中でも呼び方に葛藤が合ったんですね。可愛い杏ちゃん♪」


 クッ───この人ムカつく!でも今敵に回したら厄介だし、我慢我慢。


「恥辱と屈辱の表情で涙を溜ながらの上目遣いの杏ちゃん、可愛すぎますね!」


「───ひッ!?」


 パシャ───写真を撮られた。速攻で奪い取ったはずなのに、既に鍵が掛けられていた。もしかしたら、お父さんよりもお母さんの方がアブナいのかも。

 私は今更ながらこの人の恐ろしさを知ったのであった。

アレですね、主人公の家族ってやっぱり変態にしたいですよね(笑)あと、一応キャラの読み方とかはキャラ紹介の時にまとめて紹介しますので、それまではお好きな読み方で(笑)


まぁ、それはそれとして謝辞を

なんと1話投稿日の時点でお気に入りに5件!嬉しかった!ヒャッハーーーーー!(某ゆる?キャラ風)


不平不満などの感想もドシドシ下さい!コメントされているだけで嬉しいですよ。


今後ともよろしくお願い致しますですよ!

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