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現実ダンジョン部 ―存在証明の試練―  作者: hourglass
見えない世界の入り口
3/39

選ばれた3人

目の前に広がる光景に、思わず息を呑んだ。まるで、今までプレイしてきたRPGのダンジョンが、そのまま現実になったかのようだ。石畳の通路は幾何学的に入り組み、壁には意味不明な記号が浮かび上がっている。空はなく、青白く光る天井――いや、“空間の天井らしきもの”が、どこまでも続いていた。


「なあリト。この“試練”って、結局なにすればいいんだ?」


颯が軽く腕を回しながら、歩きながら尋ねる。


リトは彼の肩にぴょんと乗ったまま、胸を張って言った。


「簡単です! “選別”! あなたたちが“適性者”として、このダンジョンを進むに足るかどうかのテストです!」


「選別って、何か戦うとか……そういうの?」


美紅が少し眉をひそめて聞いた。


「いえいえ! 適性には“戦闘”だけじゃありません! 思考、協調性、決断力……まあ、全部見ます!」


「つまり、全部ってことね……」


俺たちは通路を進んでいた。


進むにつれ、空気が冷たく、重くなる。

後ろに戻ろうとしても、扉はすでに閉ざされていた。


 


しばらく歩いた先に、開けた空間があった。

まるで学校の体育館ほどの広さ。中央には、古びた石像が3体立っている。


「……なにこれ?」


「判定ポイントですね! この石像、それぞれに問いが用意されています!」


「問い?」


リトが腕――じゃなくて前足を上げて説明する。


「“何を選び、何を捨てるか”。それぞれに違う“価値”が問われます。答えはありません。ただ、あなたたちの“選択”が、次の扉を開く鍵になります!」


颯が肩をすくめる。


「哲学の授業みたいだな」


「どれか1体ずつ選べばいいんだよな?」


「いえ、3人で“同じ選択肢”を選ばないと、扉は開きません!」


「……なるほどね。チームの意思統一を試してるってことか」


石像の前には、それぞれ異なる言葉が刻まれていた。


 

•A:正しさを選べ。だが、その代償に背を向ける覚悟を。

•B:優しさを選べ。だが、すべてを救えるとは限らない。

•C:力を選べ。だが、誰かが代償を払うことになる。


 


「……えぐいな」


「何を選んでも“代償”があるってわけね……」


俺は静かに息を吐く。


「どうする? 話し合って決めるか?」


 


しばらく、3人で黙って考える時間が流れた。


美紅がふと呟いた。


「私、Aかな。何が正しいか分かんないけど、それでも“正しさ”を信じたいって思う」


颯が苦笑する。


「お前ららしいな。俺はCが性に合ってるんだが、何事も力ずくじゃ解決しないってことも知ってる。……まあ、今は美紅の言うことに乗っかってみるか。」


「決まりだな。Aにしよう」


 


3人が石像Aに手をかざした瞬間――


空間が淡く光り、風が吹き抜けた。


正面の壁が音もなく崩れ、次の扉が現れる。


 


《選択を確認。適性評価:合格》


 


「おおおーっ! 第一の試練、クリアです!」


リトが両手……いや前足を掲げて飛び跳ねる。


「まじかよ……なんか、思ったよりちゃんとしてんな」


颯が軽く笑いながら言う。


「……でも、ただの部活動って雰囲気じゃないよね」


美紅の言葉に、俺たちは黙った。


この“ダンジョン部”――

ただの遊びじゃない。何か、もっと根深い“目的”がある気がした。


 


「よーし、では次! “第二層”へ進みましょう!」


軽快なリトの声が響いた。


その先に何があるのか。

それでも――


俺たちは、扉をくぐる。


そして、“現実ダンジョン部”は、一歩ずつ進み始めるのだった。

リト、けっこうテンション高めですよね(笑)

次回はちょっとだけ緊張感が増す展開になるかも?

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