表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現実ダンジョン部 ―存在証明の試練―  作者: hourglass
見えない世界の入り口
2/39

教室が、消えた


※この物語は「現実世界にだけど子どもしか見えないダンジョン」に挑む、

ちょっと変わった“部活動”ものです。


異能・友情・チームワーク・日常と非日常の交錯が好きな方は、ぜひ最後までお付き合いください!

 

月曜日の朝。

2年A組、教室の窓からは、いつものように太陽が顔を出していた。


「――なあ彰、聞いたか? 隣のクラスのやつ、昨日から来てないってよ」


朝のざわめきの中、そんな声が聞こえてきた。

俺――中谷なかたに あきらは、眠気を噛み殺しながら教科書を開いていた。

遅刻ギリギリで駆け込んできたのは、隣の席の幼なじみ、神崎かんざき 美紅みく


「うぉっす! また寝坊でしょ、彰。机に顔くっつけて起きてないじゃん」


「朝からテンション高ぇな、美紅……」


そんな、なんてことない朝だったはずなのに。


「……ん?」


妙な“違和感”が首筋を撫でた。

視線を落とすと、教科書のページが勝手にめくれていく。

窓の外はまるで、濃い墨を垂らしたように“現実”がにじんでいく。


ざわ……という音。

いや、“音のような何か”が、耳の奥に直接流れ込んできた。


気づいたときには――


教室が、なかった。



灰色の岩肌。

天井も、窓も、壁もない空間。


「どこだよ、ここ……」


足元には、古びた石畳が続いている。遠くにはぼんやりと光る扉。

教室なんて影も形もなかった。


「……夢か?」


自分の頬をつねる――が、痛い。夢ではない。

その時。


「うわああああ!! やっちゃったぁぁぁああ!!」


耳元で叫び声が炸裂した。

慌てて振り返ると、そこには……リス? いや、しゃべるリスだった。


「やべえ、超やべえ……転送ポイントズレた!? しかも子どもにバレたらマズ――」


「……おい、お前しゃべって――」


「見えちゃってるぅぅぅ!? マジで!? 初対面で自己紹介飛ばしてごめん! オレ、リトっていいます! ただのリスじゃないです、管理者見習いです!」


「何言ってんだお前……」


「ここ、ダンジョンです! 正確には“現実に重なってる試練領域”っていう空間! あなたが“適性持ち”だったので招かれちゃったのかと!!」


「……は?」


意味が分からない。だが、目の前のリスが現実にいるのも、もっと意味が分からない。

パニック寸前の俺に、リトが肩に飛び乗ってきた。


「とりあえず安心してください! 死にません! むしろ、これから始まるんです!」



その時だった。


「……おーい、彰ー! 彰も来てたんだー!」


振り返ると、そこにはもう一人の姿。

茶色のロングヘアを揺らし、制服姿で駆けてくるのは――


「美紅!?」


「よかった……やっぱり、あんたもだよね。うちの席、光ったと思ったらここにいたんだけど」


「うわー、マジで2人目出現……やば、マジでチーム形成のフラグ立ってる感じです!」


リトが一人でテンション上がっていた。


「とりあえず話を整理させろ……。ここ、教室じゃない。夢でもない。しゃべるリスがいて、美紅もいる。で?」


「で、ですね! この空間、いわゆる“ダンジョンの最初の試練場”です!」

「条件を満たした“子ども”だけがここに転送されて、最初の試験を受けてもらうんです!」


「子ども限定……?」


「この世界は、大人になると“認識フィルター”がかかるんです! 子どもだけがダンジョンの存在を視認できる! だから、大人は何も気づいてません!」


「つまり……現実世界に重なってる、子どもだけが見える“もう一つの世界”ってこと?」


「そうですっ!」


その時、床に青い光が浮かんだ。

まるでゲームのように、宙に“表示”が出現する。



《第一の試練:選別》

条件:3名以上の適性者による共同突破

制限時間:60分



「……3人?」


「最後の1人がいれば、扉が開きます! それまではここから動けません!」


そのとき、遠くから声が響いた。


「うおおお!? なんだここ!? ……おい、お前ら!? 彰と美紅じゃん!!」


現れたのは、クラスメイトの樋口ひぐち はやて

チャラくて、明るくて、でも根は仲間想いな男だ。


「颯、お前も……」


「気づいたらここにいたよ! なんだよこれ、異世界転生か!?」


「うおぉぉぉぉおお! 条件達成!! 扉、開きます!!」


リトが謎のボタンを空中で押すと、遠くの光の扉が音を立てて開いた。


「では皆さん、どうぞ試練へ!」


その先に何があるのか――

誰も分かっていなかった。


だが、俺たち3人の“現実ダンジョン部”は、ここから始まったんだ。


最後まで読んでくださってありがとうございます!

リスのリト、気に入ってもらえたらうれしいです。


第2話では、さっそく「最初の試練」に突入します。

よければ感想・評価いただけたら励みになります!


初めての作品になります。

暖かい目で見てくれると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ