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短編集  作者: こむぎ
1/1

雪が解けた

『これ私の彼氏ー!どう?』


そんな通知がスマホに表示される。


親友からのLIMEだ。


昨日までは


『私ら親友だから恋人なんていらないよねー』


って


『もうぶっちゃけ私らが恋人同士的な?』


って


一緒にはしゃいでたくせに。


翌日には裏切るクソ野郎だったのか。


そう思いながらスマホの電源を切る。


「品野さん、今日日直だよね?」


「黒板消してないよ」


そんなクソみたいな会話をクラスメートと交わす。


こんな言葉使っちゃいけないのは分かってるけども、


これは『私らしさ』だからしょうがないと思う。


そう思いながら乱暴に黒板を消す。


教科の先生によって筆圧が違うから嫌になる。


しかも今日は筆圧が強い先生ばかりで憂鬱だ。




昼休みに親友の彼氏自慢メールを見たせいで、


午後の授業はあまり集中出来なかった。


そして放課後になるとまた通知音。


予想するも大当たり。


『彼氏と帰るから、1人で帰ってもらっても良き〜?』


『本当ごめん〜!!』


そんなメールの後には可愛い女の子がボードに『ごめんちょ!』と書いてあるスタンプを送ってくる。


実際そんなこと思っていないのに。


アホらしい。


そう侮辱しながらも、メールを返す。


『彼氏との時間楽しんで〜!!』って。


しかも送ったのはゴリラのスタンプ。


あぁ、女らしくない。




家に帰り、


いつもの日々を過ごし、


布団に入る。


今日はやけに寒い気がした。


もう秋だからかな。


そう思いながら久しぶりに本を読もうかと


布団から出て、勉強机に座る。






===




『傘』


『傘』


『傘』




傘は人を雨から守るためのモノ




レインコートやポンチョとは違う。


雨を凌ぐモノ




傘は風に弱い


雨単体には強いが、


風が加わると即死級ダメージ




人間らしい






===






全く意味が分からなかった。


なんでこの本買ったんだっけ?


そう思いながら本の表紙を眺める。


多分。


きっと。


表紙に惹かれただけだろう。


中身は見ないで買った。


それだけだと思う。


「あ、雪」


そう思いながら窓の外に降る初雪を見る。


蛍のようでとても綺麗だ。


少し窓を開けて、指に雪を乗せる。


単純に雪の結晶が見れるかもしれないと期待しただけだ。


が、雪の結晶は見えず


それどころか一瞬で水へと変わってしまった。


「私みたい」


自虐的に笑いながら熱で溶けた雪を見る。


雪は儚い。


初雪はもっと儚い。


そう。


私みたい。


「もう少し長く信じていたかったのになぁ...」


そう呟きを零しながら友人の顔を思い出す。

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