⑤ 外の世界
洞窟を出た瞬間、日差しが俺を照らした
このファンタジー世界に転生して以来の感覚だ
……久しい物ではないな
ラック達を追い駆ける為にエドナルド王国へ出向くか
他の種族を仲間にする為に森を越えるか……
答えはミーニアと決めてある
――ラック達の追跡だ
色々思う節がある、それに一度エドナルド王国を見て
俺の無謀さを確かめた方が良いとも聞いた
冗談のつもりだったのだが……
……。俺は何かの視線を感じ、直ぐに振り向いたが
そこには誰もいなかった……
気を取り直して俺は歩き始めた
なんとか王国に辿り着いた
中へ入る為には検問を行わなくてはならないようだ
様子を見ていると、
人に取り憑いた悪魔のような何かが浄化された
……これは、俺が通ったら確実に死ぬな
いや、ゾンビだから死んでいるのか?
くだらない自問自答はやめておこう
辺りを見渡して見ると、
赤レンガの壁沿いに怪しい箇所がある
近づいて見ると、怪しい箇所の中から声がする
?「……合言葉は」
オール「川」
?「……通れ」
オール「行けるのかい」
?「……新しい顧客か?」
オール「そういう事になるか」
?「……なんだ、確認して見れば邪教の者か。入れよ」
カーテンをめくって出てきたのは……
女……?いや、男か?青髪に猫耳……
さすがは剣と魔法のファンタジー世界、獣人もいるのか
オール「邪教ってなんだ?」
青髪「ん、お兄さん邪教の人じゃないのか?」
オール「一応そっち系の人だ」
青髪「まぁ……合言葉を知ってるからいいか」
オール「ところで、お前は誰だ?」
青髪「男だが?」
オール「性転換って出来るのか……」
青髪「元から男だわ!失礼だなお前!?」
オール「話し方とその特徴的な眉毛以外男要素ないし」
青髪「あ、これ付け眉毛な」
オール「……コンプレックスなのか、女に見えるのが」
青髪「何の事だ?客に舐められない為だからな?」
ムスッとしながらこちらを見上げている
流行りの男の娘というやつか、とりあえず中には入r
青髪「おい、通行料を払え……おい?何無視してる」
オール「検問所は通行料無かったんだが」
青髪「ここは運営するだけで危険と労力がかかる
通行料を取らないとやっていけないに決まってる」
マズイ事態となった
お金なんて俺は1銭も持ってはいない
なんとかして無銭通行しなくてはならない
……猫耳……猫……尻尾……
俺は何も考えずに青髪の尻尾を掴んだ
青髪「ふにゃあぁぁ!?」
オール「お、ビンゴ。通行料タダにしてくださいにゃー(棒)」
青髪「やめっ!ひゃっ!!わ、わかったから放せ!」
オール「通行料タダにゃー?(棒)」
青髪「タダだからっ!無料だからっ!ふにゃあ!!」
オール「よし、こいつチョロいな」
青髪「く……くそ……はぁ……はぁ……卑怯だぞ!
通行料は払え!」
オール「尻尾つーんつーん」
青髪「にゃあ!!わかったから!降参だから!」
オール「よろしい」
青髪「こ……こんなに失礼なやつは初めてだ……にゃ」
オール「男なのか女なのかわからないな」
青髪「男だと言っている……通行料取るぞ……ひゃっ!?」
なんとか中に入る事は出来た
剣聖と魔聖と言っていたから、あの城にいるのか?
俺が見上げていると、隣に青髪が立っているのがわかった
オール「俺に何か用か」
青髪「なっ!?いや……別に……」
オール「そうか、なら俺は行く」
青髪「待、待て!……お前暇……か」
オール「いや、全くもって」
青髪「良ければなんだが……この後……食事に……
って!どこ行くんだよ!?」
オール「ナンパなら他を当たれ、俺はすべき事がある」
青髪「ナ、ナンパじゃない……お前は何者だ?」
オール「……」
青髪「邪教の者ではないだろ?まさか……お前……
ふにゃあ!?やめろ…!!触るなって!!詮索しないから!」
オール「俺は忙しいからな、帰りにまたよろしく」
青髪「…………」
青髪が俺を見ているのを感じたが、俺は気にせずに歩く。
しばらく歩いただろうか妙に視線を感じる……
どうやら青髪が付けてきているようだ
かなり完璧な尾行をしているが、俺にはバレている
俺は突拍子も無く走り出してみた
青髪もバレないように俺を追い駆けて来ているのを感じた
橋を渡り、塀を越えて、路地に入った所で
洗濯物が降ってきて転んでしまった
撒くことに失敗したかと思ったが、
俺に気づかずに走って行ってしまった。
運が良かったのかと唖然としていると
マンホールから何者かが姿を現した
?「ハロー!助かったようで何よりだネ!」
オール「妖精!?」