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第64話 エレメンタルナイツの総攻撃

 彼らの目は虚ろで光が無い。まるで……そうか。


「彼らをお前のスキルで隷属させているんだな」

「そうさ。こいつらはあたしの言うことならなんでも聞くぜ。あたしが言えば恋人でも仲間の女でも平気で殺しちまうのさ」

「まさかお前……」

「ひゃはは……ご想像の通りさ」

「下衆め」


 彼らはスキルで隷属させられ、恋人や仲間を殺させられた。その心情は察するのも恐ろしいものだ。


「本当はお前にもそこの女2人を殺してもらおうと思ってたんだけどよぉ。まったくつまらねぇ。むかつくぜてめえよぉ」

「俺に……2人を」


 それを聞いた瞬間、俺の中に言葉では表現できないような怒りが湧く。


「へっへっへ、その2人を自分が殺したと知ったらお前はどんな顔をしたんだろうな? そこの流星って奴は恋人を自分が殺したと知ったときは泣き叫んだぜ。お前はその2人のどっちかと恋人か? だったら悔しいぜ。あたしのスキルで愉悦を楽しめなくてよぉ」

「貴様……っ」


 ふと、俺は気付く。


「それは寺平重助の指示か?」

「ふん。さあな」

「お仲間のレイカーズがしゃべったぞ。お前も仲間だろう?」

「ちっ、余計なことをしゃべりやがって。まあいい。そうだぜ。下衆いジジイだよなぁ。ただ殺すだけじゃなく、人気VTuberを仲間に殺させて仲良しの企業がスポンサーやってる大会を盛り上げようってんだ。ま、あたしも楽しみだったんだけどな。お前がそこのアカツキを殺してどんな反応をするのかがよぉ」

「……そうか」


 寺平重助。俺にアカネちゃんを殺させようとした野郎。

 ここから戻ったら奴にはあいさつへ行かなければと思う。


「さーてそれじゃあ死んでもらおうか」


 隷属させられているエレメンタルナイツのメンバーがこちらへ右手を向けてくる。


「させるかっ!」


 地面から黒い手が生え伸びる。


「おおっと、おやさしい女王様がこいつらを殺せるか?」

「我を甘く見るな。殺すだけが我のスキルではない」


 生えた黒い手がエレメンタルナイツのメンバーを殴り飛ばす。

 殴り飛ばされた者たちは全員が地面へ倒れた。


「ふん。どうだ」

「どうもこうもないぜ」

「なに? あっ」


 倒れた男たちはなんでもないように平気で立ち上がる。


「な、なんだと? 気を失うぐらいの力で殴ったはずだが……」

「あたしに魅了された男はあたしが指示すれば絶対に気は失わない。痛みも感じない。骨が砕けようと、内臓が破裂しようと生きている限りあたしの指示に従い続けるのさ」

「なん、だと?」

「つまり殺さない限りお前らを攻撃し続けるってことだ」

「だったらお前を狙うまでだっ!」


 女の足元に黒い手が現れるが、


「おっと」


 それを見下ろした女が大きく跳び退る。


「そのスキルは強力だ。しかし射程距離はそれほど長くねぇ。知ってるぜ」

「くっ」


 遠くへ離れた女を守るように、立ち上がったエレメンタルナイツの男たちが壁を作る。そして彼らの手から炎、水、風、雷などのスキルが放たれた。


「ひゃはははっ! 死にやがれっ!」


 放たれたスキルの攻撃が俺へと迫る。


「白面の君っ!」


 黒い手が防ごうとするも、攻撃はそれを避けた。


「なにっ!?」

「こいつらはプラチナ級の上位だぜぇ。これくらいはできて当然だ」


 そう言って卑しく笑う女。

 攻撃はすでに俺の目前まできていた。


「死ねぇ!」

「……くだらない」


 俺は指をパチンと鳴らす。

 するとスキルの攻撃は俺の寸前で消失した。


「な……に?」


 笑顔を固めて女が疑問を漏らす。


 エレメンタルナイツが放ったのは火、氷、水、風、雷、あとは光闇などの魔法で言う基本属性だ。魔王だったころ俺はそれら基本属性を支配していた。大森林を焼く大火事を消し、国を滅ぼすような大洪水を消滅させ、吹き荒れる大嵐を止ませ、落ちてくる雷も消し飛ばす。かつてはそれくらいを簡単にできていたのだ。これくらいの基本属性攻撃を消すなど弱体化した今でもできる。


「な、なにしてやがるっ! どんどん攻撃しろっ!」


 スキルの攻撃が次々と放たれる。

 しかしすべて消失した。


「ど、どうなってやがるぅぅぅっ!」

「うるさい」


 俺は女に近づいて見下ろす。


「あ、あたしを殺すのか? へへへ、白面さんはおやさしいんだろぉ? 女を殺すなんてできんのかぁ?」

「……今までが甘かった。俺はもう、俺の大切な人に害を為す人間には容赦しない。相手が男であろうと女であろうと……」

「えっ? ぐぎゃ」


 手刀で女の首を落とす。

 首の無くなった女の身体が俺の前に倒れる。


「……はっ?」


 その瞬間、エレメンタルナイツのメンバーたちの目に光が戻った。

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