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第274話 降臨した創造主

 清廉な白いドレスに身を包んだ金髪の巨乳美人。

 柔和な表情から伸びる視線が、俺を見てニッコリと微笑む。


「あなたは……?」


 誰だかはわからない。

 しかしただ者ではないような、そんな雰囲気を感じた。


「わたしは神です」


 そう名乗った瞬間、この場にいる者たち全員がどよめく。


「か、神だって?」

「そんなまさか……」


 俺も皆と同じ気持ちだ。


 神が存在していることは知っている。

 しかしまさかこの場に現れるなどとは、信じられなかった。


「本当に神なのか?」

「ええ。疑うのでしたら、この世界を一瞬でゼロにしてみましょうか?」


 その言葉にふたたび皆がどよめく。


 俺もまさかと身構えた。


「ふふ、冗談ですよ。せっかく作った世界を破壊するなんてもったいないことをしたりはしませんよ」

「……」


 この女は本当に神なのか?


 ただ者ではない雰囲気はあるが、神かどうかの確信を持てなかった。


「お前が神なら、なんの目的でここへ来たんだ?」


 俺たちの結婚に異議を申し立てたが、まさかそれが目的とは思えない。


「先ほど言葉にした通りです。あなたたちの結婚に異議があるのです」

「意味がわからない。お前が神だとして、どうして神が俺たちの結婚に異議なんかあると言うんだ?」

「もちろんこの世界のためです」


 ますます意味がわからない。

 俺とアカネちゃんの結婚に神が異議を申し立てることが、どうしてこの世界のためになるのかわからなかった。


「グラディエの行動とも関係があるのか?」


 神だとすれば、グラディエに指示を出していたのもこいつということになる。


「ええ。すべて繋がっています。グラディエがイレイアを使ってメルモダーガにあなたの世界を支配させようとし、世界吸収による全世界の統一をさせようとしたこともすべて世界のためなのです」

「わけがわからないな。メルモダーガによる世界支配や世界吸収がなんで世界のためになるんだ? むしろ世界を混乱させて破滅に繋がることだろう」

「それはいずれわかることです」


 と、神を名乗る女は俺へ向かって人差し指を向ける。


「世界のため、あなたとその女性を結婚させるわけにはいきません」

「なにを……」


 瞬間、女の人差し指が輝く。


 なにをする気かと身構えるが……。


「……なんだ?」


 なにも起こらない。

 周囲の誰かや俺が傷ついた様子も、なにかが破壊されることもなかった。


「なにをした?」

「それはいずれわかるでしょう」

「……?」

「予言……いえ、これから起こるあなたへの災難をお伝えしましょう」

「災難だと?」

「近い将来、あなたを倒すべく最強の敵が現れるでしょう。その災難を払うことができれば、わたしの言った言葉の意味を教えてあげます」

「俺を倒す災難だと?」


 今や俺はかつて魔王として力を振るっていたときよりも強い力を持っている。その俺を倒せる敵が現れるなどありえないと思うのだが……。


「ふふ、それではまた会いましょう」

「あ……」


 天から伸びた光に吸い込まれるように女は消えていく。


 俺も他の皆もしばらくポカンとしながら、呆然としていた。


 ……


 ……結婚式は無事に終わったものの、神を名乗る女の出現に水を差されてなんとも複雑な気持ちを抱えることとなった。


 あの女は本当に神だったのか?

 だとしたら、俺を倒す災難とはなんなのか……?


「ねえコタロー」

「えっ?」


 魔王城の私室にある大きなベッドに隣り合って座っているアカネちゃんが、不安そうな表情で俺を見上げている。


「あの変な女が言ってたことが気になるの?」

「うん……まあ」

「気にしなくてもいいじゃん。コタローは最強なんだし、災難とか来ても簡単にあしらっちゃえばいいんだしさ」

「そ、それもそうかな」


 アカネちゃんの言う通り今の俺は誰にも負けない強さを持っている。

 あの女が神であろうとなんであろうと、災難が来れば振り払えばいいことだ。


「うん。それよりも今は……」


 アカネちゃんが俺へと身を寄せてくる。


「これから大切なことするんだし、それに集中しよ」

「そ、それもそうだね」


 俺は今からアカネちゃんと大切なことをする。

 あんなよくわからない女の戯言に惑わされてそれを邪魔されたくはない。


「じゃあ……コタローの好きにしていいよ」

「す、好きに……」


 好きにしていいと言われた俺の視線がアカネちゃんの胸へと注がれる。


「ふふ、やっぱりおっぱいだ」

「う、うん」


 大好きなアカネちゃんのおっぱい。

 それを好きにできるという期待に震えながら、俺の手がそこへ触れた。


「……あれ?」


 興奮は手から下半身に行くはず……が、まったく反応しない。

 大好きなアカネちゃんの大きなおっぱいに触れているというのに、俺のミニ魔王はピクリとも反応をしなかった。

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