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第271話 乗っ取られるイレイア

「天使……っ」


 イレイアの背後に現れた天使グラディエを睨む。


 こいつは神の意向で動いている。

 しかし神ならばイレイアを使わなくても世界吸収をすることは可能なはず。なぜイレイアを使うのかがわからなかった。


「グラディエ……。私は……」

「大魔王イレイア。あなたには神の意志を遂行する義務があります。奴の言葉に唆されて心を変えるのは神への反逆です。神に背くことは悪に堕ちるということ。正義を愛するあなたにそれができますか?」

「うう……」

「惑わされるなイレイアっ! 神の意向なんてどうだっていいっ! 神の正義じゃなく、自分の正義を信じて考えろっ!」

「自分の正義……」


 イレイアは俯いて黙り込む。そして、


「私は……そうだ。私には私の正義がある。神の意向だとしても、自分の正義に反すればそれは悪。神の意向に反していても、自分の正義を信じて貫くことこそが真の正義というもの……」

「そうだ。自分の正義を信じろイレイア。迫害は正義か? 世界吸収をして世界を混沌化させることは正義か? お前の正義がそれらを許すのか?」

「魔王様……。私は間違って……」

「もういいです」

「!?」


 グラディエが光の塊へと姿を変える。

 その塊はイレイアの身体を覆いつくし……。


「あぐあ……っ」

「イレイアっ!」


 そして脱力したように上半身をダランと垂れさせる。


「イレイア……?」

「くくっ……」


 不意に笑い出すイレイア。

 やがて身体を起こし、邪悪な笑みをこちらへ見せた。


「身体を乗っ取ったのか」

「ご名答です。神の意向に逆らう反逆者の意志などもう必要ありません。わたし自らで神の意志を遂行致しましょう」

「くっ……」


 激しい力を感じる。


 封印が解放された魔王の力。

 それに天使の神法が加わったことで力が膨大へと増していた。


「まずは神の意向を妨げるあなたたちを排除しましょう」

「アカネちゃんっ!」


 俺はアカネちゃんを抱き寄せて神法の障壁を張る。


「力は圧倒的にこちらが上ですよ。そんな障壁などもって数分でしょう」


 光り輝く光線が障壁を襲う。


 グラディエの言う通り、この障壁は長く持ちそうにない。

 破壊されるのは時間の問題だった。


「ど、どうするの?」

「この障壁が破壊される前に転移ゲートで逃げるか……」

「転移ゲートで逃げてどうしますか? 時間が経てば私に勝てる方法が見つかるとでも? ありえませんね。それはあなたもわかっているはずです」

「くっ……」


 集合装置で力が溜められるのは向こうも同じだ。むしろこっちは愛でる教の信徒たちを襲われたら力は溜まらなくなる。ここで逃げて有利になることなどなにもない。


「さあもうすぐ障壁が壊れますね。天へ召される時間ですよ」

「ア、アカネちゃん、君だけでも……」

「ダメっ!」


 そう叫んでアカネちゃんは俺へと抱きつく。


「コタローを置いてなんていけない」

「けど……」


 障壁にヒビが……。

 もう間に合いそうもない。


「コタロー……最後だから」


 そう言ってアカネちゃんは上着をはだけてブラジャーを掴み……


「うおおおっ!?」


 夢にまで見たアカネちゃんの生乳。

 それが目の前に現れ、状況も忘れて俺は歓喜の声を上げてしまう。


「コタローっ!」


 アカネちゃんは俺の両手首を掴んで自身の胸へ。

 そして唇を重ねてきた。


 ――瞬間、俺の中でアカネちゃんへの想いがビッグバンのように爆発した。


「さあこれで終わりですっ!」


 障壁が破壊される。


 ……しかしなんの衝撃も襲ってこない。

 俺たちは衝撃を感じる間も無く消し飛んでしまい、天へ召されてしまったのか?


 そんな風に考えたが。


「な、なぜ……? なぜ私の攻撃が消えた? なにが起こった……?」

「えっ?」


 俺はアカネちゃんの唇から口を離し、状況を確認する。


 生きている。

 生きて俺はアカネちゃんの生乳を揉んでいた。


「貴様なにを……う、ぐ……がっ」


 イレイアの身体を乗っ取った天使が苦しみの声を上げる。

 そして一体なにが起こったというのか、そのままうつ伏せに倒れ伏した。

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