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第262話 デルタデイドと対峙するアカネちゃんたち(小太郎・アカネ視点)

 ……しばらく待っていると、上空の穴にビグラビグイド現れ、翼を羽ばたかせて目の前へと降り立つ。


「お待たせしました」

「どうだった?」

「はい。デルタデイドがあなたと会うそうです。しかし妙ですね。あまりにあっさり承諾したので、なにか思惑があるのではないかと……」

「そうかもな」


 会ったところを襲撃して、俺もろともコタツを始末する気かもしれない。


「そうだとすれば契約するのは難しいのではないかのう」

「無理にでも屈服させて契約をさせる。みんな危険だからここで待っていてくれ。デルタデイドとは俺ひとりで……誰だ?」


 洞窟の暗がりに気配を感じた俺はそちらへと目をやる。そこには見覚えのある2人が立っていた。


「天使か」

「どうやら私の正体は知られてしまったようですね。まあいいです」

「どうして俺たちがここにいるとわかった?」

「ふっ、私は神に生物の管理を任された天使ですよ。あなたほど強い力を持つ者が動けばすぐにわかります」

「動きが気取られているとは厄介だな」

「そう思うのも今日まででしょう」

「どういう意味だ?」

「今日ここであなたは死ぬということです」

「……っ」


 アカネちゃんたちを守りながらこいつと戦うのは困難だ。


 そう思った俺は、アカネちゃんと雪華のいる場所へ転移ゲートを展開させるが、


「甘いですよ」

「なっ!?」


 その転移ゲートを別の転移ゲートが覆い、コタツを抱いたアカネちゃんと雪華、側にいた千年魔導士も飲み込んで消えてしまった。


「し、しまったっ!?」


 俺の転移ゲートが、天使の使う神法の転移ゲートに飲まれた。


「貴様っ! アカネちゃんたちをどこへやったっ!」

「それを知る必要はありません。すぐにあなたも同じ場所へ送ってあげますよ」

「くっ……」


 アカネちゃんたちには魔王眷属の力があるし、千年魔導士もついている。どこへ送られたのかはわからないが、恐らく大丈夫なはず……。


「なぜ天使がイレイアに従う? なにが目的だ?」

「それをあなたが知る必要は無いですね」


 と、天使はこちらに対して臨戦態勢の構えを取る。


「美髯公。あなたはどこかに避難をしていてくれ」

「わたしでは足手まといになりそうですね。わかりました」


 そう言ってビグラビグイドは洞窟の奥へ身を隠す。


「……」


 黒仮面……無未ちゃんが右手に黒い剣を持って俺のほうを向く。


「無未ちゃん……どうして?」


 俺の言葉に無未ちゃんは答えない。


 操られているわけではない。

 ならば俺の声は届いているはずだ。


「君が操られているわけじゃないのはわかっている。どうして天使に従っているんだ? 理由があるなら教えてほしい。俺は……」

「私を無視しておしゃべりだなんて、ずいぶんと余裕ですね」

「くっ」


 天使が放った炎を俺は避ける。


「お前……無未ちゃんになにを言ったんだっ!」

「私はただ、彼女の望みを叶える手伝いをしてあげるだけですよ」

「なんだと?」


 無未ちゃんの望み?

 俺と戦うことになるような無未ちゃんの望みって……。


「さあロゼッタっ! 奴を殺しなさいっ! あなたの望みを叶えるためにっ!」

「……」


 無未ちゃんが黒い剣を振り上げて俺へ攻撃をしてくる。


「くっ……無未ちゃんっ!」

「……」


 呼びかけるも無未ちゃんは答えない。


 反撃するわけにもいかず、俺はただ攻撃を避け続ける。

 ……しかし妙なことに攻撃してくるのは無未ちゃんだけで天使は動かない。


「どうした? お前はかかって来ないのか?」

「ふふ、まあじっくりやりましょうよ」

「?」


 一体なにを考えているのか?


 天使の不敵な笑顔が俺を不安にさせた。



 ―――伊馬アカネ視点―――



 ……転移ゲートに飲まれ、気が付けば別の場所に横たわっていた。


「こ、ここは……?」


 起き上がって周囲を見回す。隣で雪華ちゃんと千年魔導士も同じように周囲へ首を巡らせていた。


「どうやら嵌められたようじゃな」

「嵌められたって……?」

「奴は……天使は最初から魔王様と私たちを引き離すつもりだったようです」

「どうしてそんなことを?」

「恐らくは……」


 千年魔導士が暗がりのほうを向いて見上げる。


「……ほう、どうやら余計な連中も混ざっているようだな」

「えっ? あっ!?」


 アカネもそちらへ向かって見上げると、そこには巨大な竜が鎮座していた。


 色は真っ白く、目は鋭く赤い。

 同じ竜でも美髯公とは違い、殺意に満ちた目でこちらを見下ろしていた。


「どの女かわからんな。まあよい。すべて殺せば同じこと」


 と、竜は大口を開く。


「きゅー」

「あっ」


 竜の口が赤く光ったとき、アカネの腕から離れてコタツ君が飛び立った。

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