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第256話 ロゼッタの正体

「クソっ! ぶっ殺してやるっ!」

「うおっ!?」


 連射される神法のレーザーを避ける。


 避けるのは難しくない。魔法でダメージを与えることはできる。なら、


「それ」

「うわっ!? な……っ」


 全身を凍らせて攻撃を封じてしまえばいい。


「殺しはしない。お前には聞きたいことがあるからな」


 氷漬けとなったナルマストスに対して言う。


 イレイアがなぜ巨乳美女を迫害しているのか? それをこいつから聞き出そうと思った。


「ナルマストス様っ! 今、そんな氷など私が……」

「させませんよ」


 小柄な女が氷漬けのナルマストスに近づこうとするのを、千年魔導士がその前に立ちはだかって阻む。


「邪魔だっ!」


 女は神法の炎を千年魔導士へ放つ。……が、


「な、なにっ!?」


 その炎を受けても千年魔導士はダメージを受けない。

 まるで炎などそこに無いかの如く、平然と神法の炎を身体に受けていた。


「神法とはそもそも神に背く者、神に忠誠を誓う者の敵を罰するためにある力です。心からあなたへの敵意を消せば、神法によるダメージは受けません」

「ちょ、ちょこざいなことを……っ」


 敵意を消す。千年魔導士はそう言っているが、今まさに攻撃をしてきている敵への敵意を心から消すというのは容易ではないだろう。


「だったら……ロゼッタっ!」


 ロゼッタ。そう呼ばれた黒仮面の女が俺のほうを向く。


「男を殺してナルマストス様を助けろっ!」

「……」


 無手だった女の手に真っ黒い剣が現れる。


「あれも神法です。魔王様、お気をつけて」

「わかっている」


 要は当たらなければいいのだ。

 向こうの攻撃を避けつつ、反撃をすれば……。


「お……うおっ!?」


 瞬間、目の前へ現れた黒仮面の斬撃を俺はギリギリでかわす。


 早い。

 避けて反撃をすればいいだけというのは甘い考えだと俺は思い直す。


 うしろへ跳ぶと同時に俺は黒仮面へ向かって炎を放つ。

 しかしそれはかわされ、斬撃がふたたび俺を襲う。


「こ、これはなかなか手強いな」


 かわしつつ俺は黒仮面を見る。


 仮面を被っているので何者かはわからない。

 魔王だった頃にこんな女と会った記憶も無い。けど……。


 なんか……知っているような……。


 理由はわからない。しかしなんとなくそんな気がした。


「なにをしているロゼッタっ! 本気で戦えっ!」

「本気?」


 まだ本気ではなかったのか。

 そう思った目の前で黒仮面の背中から黒い権を持った無数の黒い腕が生える。


「これは……」


 この能力……既視感がある。


「まさか」


 背中の黒い腕たちが伸びて俺へと襲い来る。

 それをかわしつつ俺は黒仮面をじっと見つめた。


「この能力……いや、スキルはやっぱり。いやでも」


 背丈は同じ。しかし身体つき……胸の大きさが違う。けどまさか……。


「無未ちゃん……か?」

「……」


 反応は無い。

 無未ちゃんだとしたら記憶を失っているはず。記憶を戻してやれば……。


 と、俺は黒仮面へ向かって指を鳴らす。……が、


「……」

「……っ」


 攻撃は止まない。


 ということは無未ちゃんじゃない? 俺の勘違いか? けどやっぱり、伸びてくるこの黒い手は無未ちゃんのスキルなような気がしてならない。


「ちゃんと確かめてみるか」


 俺は黒い手の攻撃をかわして黒仮面の懐へと入り、


「……っ!?」


 仮面を掴んで引き剥がす。と、


「あ……っ」


 その下から現れたのは、思った通り無未ちゃんの顔だった。

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