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第207話 ゲーム開始

 それから3日経ち……。


「おいあれ」

「えっ?」


 ニューヨークのタイムズスクエアを歩く人々がビルを見上げる。そこにある街頭ビジョンに、話題の人物が突如として映し出され人々は騒然とした。


「こんにちわー☆アカツキだよー☆さてさて早速だけど、予告したようにゲームを始めるね☆今回、白面さんがいるのはここでーす☆」


 と、ビジョンの映像が切り替わる。


「あそこって……」

「たぶん……グランドキャニオンじゃないか?」


 映し出されたのはグランドキャニオンにある山の頂上で、そこに白面がポツンと座っていた。


「場所はグランドキャニオンのここ☆」


 と、映し出された地図に赤い点が記される。


「制限時間は5時間☆白面さんを倒せる自信のある人はゲームに挑戦してみてねー☆それじゃーねー☆」


 そこで映像は終了した。




 ――グランドキャニオンの白面――




「良い景色だなー」


 グランドキャニオンにある山の頂上で景色を眺める。


 単なる旅行なら景色を楽しんで終わりだが、残念ながら遊びでここへ来たわけではない。


 俺は腕時計を確認する。


 アカネちゃんがニューヨークのタイムズスクエアにある街頭ビジョンをハッキングし、映像を流してから1時間ほど経ったか。


「そろそろかな?」


 ここはアメリカだ。

 まず最初に俺を討伐に来るとすれば……。


「来たか」


 遠くに一機のヘリを確認する。

 実物を見るのは初めてだが、戦闘用ヘリというやつだ。


「まずはあの程度か」


 目を凝らすと、開いた窓から身を乗り出して長い銃を構えている姿が見える。

 瞬間、銃弾が発射され、俺は首を傾けてそれをかわす。


「狙いは正確だけど、相手が悪かったな」


 俺は戦闘用ヘリへ向けて右手をかざす。


 殺すわけにはいかない。ならば……。


 と、俺はヘリを転移ゲートで覆う。

 転移ゲートに飲まれたヘリはその場から消失した。


 あれはただの転移ゲートじゃない。あれは生物だけを転移させるものだ。生物以外は原子にまで分解されて霧散し、生物は全裸で自宅へ帰される。異世界ではデモや暴動に使った不殺に便利な魔法だ。


「うん? またヘリか」


 しかし今度は戦闘用ヘリじゃない。普通のヘリコプターだ。


「あれはマスコミのヘリだな」


 窓から乗り出した人間は銃で無くカメラを構えてこちらへ向けていた。


「さて、期待通りの映像は撮れるかね?」


 ちなみに俺の仮面に仕掛けてあるカメラで撮った映像は動画サイトでライブ配信されている。ニュース番組よりこちらの視聴者のほうが多いだろう。


 ナイトマン:白面さんVSアメリカはじまた


 ぬまっきー︰ひとりでアメリカと戦う男


 マンダ:ひとりでアメリカを敗戦国にしてしまうのか……


 滝のようにコメント欄が流れていく。


「今や世界的犯罪者に仕立て上げられているんだけど、動画サイトのアカウントは消されないんかね?」


 まあアクセス数はとんでもないことになってるだろうし、討伐に協力するためとかなんとか言い訳して消さないのかなと推察した。


ランラン:ほんまに魔人のボスなんかな?


 そらー:アカツキちゃんが違うって言ってたから違う(断言)


 おやつ:巨乳好きに悪い奴はいないから違う


 イグナス:まあ、あの証拠映像はフェイクだろうね。マスコミはアカツキと白面を嫌ってるし、陥れようとしてるんじゃないかな?


 ランラン:マスコミは信用ならんし、まあそうだろうなぁ


 いろいろとコメントは流れているが、古参のファンは俺たちを信じてくれているようだった。


「お、今度は山を登ってきたな」


 軍服を着た複数の人間が山を登ってやってくる。

 やがて目の前まで来ると、俺へ向けて一斉に銃を構えた。


「と、投降しろ。そうすれば殺しはしない」

「そんなものじゃ俺は殺せないよ」

「脅しで言ってるんじゃないっ! 射殺許可が出ているんだっ!」

「じゃあ撃てばいい」

「くっ……撃て」


 その言葉と同時にライフルが一斉掃射される。

 ……しかし弾が俺へ届くことは無い。


「な……なぜ?」

「俺の周囲は魔法の障壁で覆われている。核ミサイルでも破壊できないぞ」

「そ、そんな馬鹿なこと……」

「お前らも家に帰れ」

「えっ? うおお……っ」


 転移ゲートに覆われた軍人たちがその場から姿を消す。


「……さあて、次はお前か?」


 周囲にゲル状の物体がわらわらと集まって来る。

 それがひとつの塊となって人間の形を形成していく。


「……ふふ、俺の名はアンドリュー・マーチス。ブラック級7位のハンターだ。どんな攻撃も俺のスキル『ゲル化』には……」

「攻撃はしないから安心しろ」

「なに? うわっ!?」


 アンドリューなんとかも転移ゲートに飲まれて消える。


 ……それからハンターがぞろぞろと来るも、すべて転移ゲートでそれぞれの自宅へと送り返した。


 ぬまっきー:強過ぎて戦いになってないやん!


 めたどん:もう別次元の強さだよ……


 タイガー:魔人のボスってのはやっぱ嘘だな。だってこんなに強かったら魔人いらないじゃん。全部ひとりでやれるだろうし


 ミサイルを撃ち込んでこようと、戦闘機が飛んでこようとすべて転移ゲートによって消えて無くなる。

 ……やがて5時間が経ち、今日のゲームは終了した。


「次は……どこだったかな? あとでアカネちゃんに聞いてみるか。っと、明日は早朝から会議があるから早く帰って寝ないとな」


 次のゲーム開始は3日後。

 それまでは普通に過ごすかと、俺は転移ゲートで自宅へと帰った。

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