第176話 理想の巨乳美女がベッドに……
……朝、自宅のベッドで眠っていると、耳にもにょもにょした感覚があった。
また雪華が俺の耳を甘噛みしてるんだな。
結構。気持ち良いのでそのまま放って置く。
「ん……はむ……小太朗……はむはむ……」
なんかやたら声が色っぽい。
子供の出している声とは思えなかった。
雪華ってこんな声だったかな? 少し違うような……。
ポヨン
「おおうっ!?」
不意に背中を柔らかい感触が襲う。
この感触……。この素敵な柔らかい感触はまさか……。
隣で寝ているのは雪華だ。
密着されてもこんな感触を受けることはあり得ないのだが……。
気になった俺は背中に手を回して雪華へ触れてみる。
「ん……あっ」
身体のどこかに触れると、雪華が小さく声を上げる。
「な、なんか身体がでかいような……?」
耳の甘噛みから逃れて、振り返ってみると、
「えっ?」
そこに寝ていたのはほぼ全裸の見知らぬ巨乳美女であった。
「うわああっ!?」
驚いた俺はベッドから転げ落ちる。
「な、なに? 誰?」
信じられないくらいの美女だ。
そして乳がでかい。アカネちゃん、無未ちゃんよりも大きかった。
「お、俺はついに理想の巨乳美女を具現化する魔法に目覚めてしまったのか?」
そうとしか考えられないほど、ベッドで眠る美女は俺の理想だった。
「いやでも、まさかそんなこと……。あれ? そういえば雪華はどこに行ったんだ? 雪華っ」
また勝手にどこかへ行ったんじゃ……。
心配になった俺は雪華の名前を呼ぶ。
「……うーん、なんじゃ? もう朝かの?」
謎の巨乳美女がゆっくりと身体を起こして目を擦りつつ俺を見る。
「えっ? あ、その……」
「なんじゃ? まだ朝の5時ではないか。寝惚けおって。ほれ、そんなところにおったら寒いじゃろう。布団へ戻って来るのじゃ」
「は……えっ? も、もしかして……雪華?」
「もしかせんでもわしじゃ。とことん寝惚けておるな」
「ほ、本当に? けどそのしゃべりかたは確かに雪華だし、よく見れば面影があるような気もする」
「うん?」
俺の視線を変に思ったのか、雪華らしき巨乳美女は自分の身体を見下ろす。
「おお、これはいかん。寝惚けて身体をでかくしてしまったようじゃ」
「で、でかくした? えっ? どういうこと?」
おっぱいはかなりでかいが。
「『魔王眷属』で得た力じゃ。魔粒子を大量に取り込むと、このように力を存分に使える状態へ身体が変化するようになったのじゃ」
「そ、そうなのか」
「うむ。使用する魔粒子の量も調整できての。元通りの身体へ戻ることもできるのじゃ」
「じゃ、じゃあ本当に君は雪華……なんだな?」
「疑うなら昨日に見せた異世界の数字を見せてやるのじゃ。ほれここのところにあるじゃろ?」
「い、いやわかったっ! いいっ! いい見せなくてっ!」
子供の状態で見せられるのとは、だいぶ意味が違ってしまう。
「そうかの? ふぁ……。ほれまだ眠いじゃろう? ベッドへ戻ってもうひと眠りするとよい」
「そ、その状態でベッドへ戻るのはちょっと……」
「うん? ふむ。そうじゃな。これではベッドが狭い」
そういう意味では無いのだが。
雪華の身体はじょじょに縮んでいき、やがていつも通りの見た目に戻る。
「ほれ、これでいいじゃろ? 一緒に寝るのじゃ」
「うん。その前に寝間着を着替えておいで。ぼろぼろになってるから」
「うん? おお、身体がでかくなったせいで破れてしまったのじゃ。まあけど、着替えるのは起きてからでいいじゃろう。寝るだけじゃしの」
「いや、それは……」
「なんじゃ? こんな身体に興奮するような性癖ではないじゃろう? いいから早くこっちに来て眠るのじゃ」
「う、うん」
半ば強引にベッドへ戻され、俺は横になって目を瞑る。
背中には雪華がくっついて寝息を立てていた。
「……ううん」
窓からの朝日を浴びて俺は目覚める。
隣に雪華はいない。先に起きたのだろう。いつものことだ。
「起きたかの?」
「うん。って、うおっ!?」
キッチンからこちらを振り向いたのは裸エプロンの巨乳美女……雪華であった。