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第132話 魔王、脱がされる

 脱いだそれ……シルクのパンツを手に持ったアカネちゃんが、俺のほうへと歩いてくる。


「これ、ほしいでしょ?」

「あわわ……」


 家宝として神棚にでも飾っておきたい。

 ……そんなことを言ったらさすがに引かれそうなので言葉は飲み込んだ。


「あげるよ」


 アカネちゃんの手を離れた素敵なお宝が、ベッドへ寝そべる俺の胸へふわりと落ちる。


「お、おおお、おおおお……」


 数秒前までアカネちゃんの大事な部分を覆っていたものが今、俺の胸に。


 元はただの布。

 しかしそれをアカネちゃんが穿くことによって、宝石にも勝るお宝へと昇華する。まるで錬金術のようだ。


 今すぐにでもこれを顔に被って香りを堪能したい。

 ……いやいやそんなことをしたら変態じゃないか。俺は変態じゃないぞ。いや、やっぱり変態でもいいからパンツ被りたい。


 しかし被ったらアカネちゃんに蔑まれるかも。一体どうしたらいいんだ?


 頭を悩ませる俺の側で、アカネちゃんはイスへ座って足を組む。


「それを使ってひとりでやってみてよ」

「えっ? ひ、ひとりでって……なにを?」

「わかってるくせに」


 まさか……。

 しかしそれしか考えられなかった。


「そ、それはちょっと……」

「そんなにしててできないってことはないでしょ?」


 バベルの塔は神に言い訳できないほど、高くそびえ立っていた。


「けど恥ずかしいし……」

「コタローが見せてくれたら、わたしも見せてあげる」


 そう言ってアカネちゃんは、組んでいる足を下ろして少しずつ左右へ開いていく。


 パンツはここにある。

 つまりあの中には男のパラダイスが広がっているわけで……。


「おおおおお……」

「ふふ、大きくなってるそれ、どれくらい保てるかな?」


 おっぱいの神様にバベルの塔が攻略されるのは時間の問題だ。


 こ、これはもう耐えられない。


 俺は震える手で胸にあるアカネちゃんの脱ぎたてパンツに触れる。


 まだ温い。

 今からこれを使ってアカネちゃんの前で……。


「さ、早く。大きくなってるそれをわたしの前に晒しなさい。それからはどうしたらいいかわかるでしょ?」

「う、うん」


 神から与えられし神器でバベルの塔を覆って、それから……。


 やることはわかっているが、女の子の前で晒す勇気が無い。

 その女の子のほうはすでにノーパンなのだが……。


「じれったい。わたしが脱がせてあげる」

「えっ? いやちょ、そ、それは……」


 イスから立ち上がったアカネちゃんが、俺のベルトをはずしてズボンを引きづり下ろす。


「あとはパンツだけだね。あーもう辛抱できないっ! やっぱ遊びは無しっ! このまま本番を始めちゃうからねっ!」

「ほ、本番っ? って、ふぁああ……」


 驚く俺の顔へ、シルクのパンツが被せられる。


 香しい素敵な匂いに、頭がクラクラ……もうなにも考えられない。


「そうしたかったんでしょ? 顔に書いてあったんだから」


 スケベで変態的な本心はバレバレであった。


「その中身に、今からこれを入れちゃうんだからね。楽しみでしょ?」

「あ、あい……」


 これからするんだ。

 ただただ胸がドキドキした。


「あ、でも……」


 俺へと跨ったアカネちゃんは、顔に被せたパンツを少しずらす。


「先に……キス、しよっか?」


 これまで平気な様子で事を進めてきたアカネちゃんの表情に赤みが浮かぶ。

 その少女らしい乙女な顔を前に、俺は胸に別の高鳴りを感じた。


「キ、キス?」

「したこと……ないよね?」

「うん……おほ……」


 跨る状態から前に倒れてきたアカネちゃんの胸が俺の胸板をぎゅっと押す。


「わたしも無いよ。今からするのが初めて。本当は洋画みたいに濃厚なやつがしたいんだけど、最初だからまずはちゅって軽い感じでいい?」

「う、うん」


 俺、アカネちゃんとキスするんだ……。


 逃れるという選択肢は頭に存在しない。

 逃れるなんてできるはずもなかった。


 俺は……アカネちゃんのことが……。


「コタロー……」

「アカネちゃん……」


 桃色の唇が迫る。

 お互いの唇が触れ……。


「はっ!?」


 なにかが急激に近づいてくる気配を感じた俺は、咄嗟にアカネちゃんを抱えてベッドから飛び降りる。


「きゃっ!? コ、コタローっ?」

「なにか来るっ!」


 瞬間、部屋の窓ガラスが割れ、なにかが部屋へと飛び込む。


「くっ……なんだっ!?」


 誰かが部屋へ飛び込んできた。

 飛び込んできた来たそれは、割れた窓の前にユラリと立ってこちらを見張る。


「カカカ……お楽しみ中でしたかねぇ……」

「お前は……」


 紫色の肌。そして額と両肩に角を生やした生物。

 そこにいたのは魔人という生き物であった。

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